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簡単な言葉で深い内容を表す英語という言語と、社会問題を扱うフィクションの力を感じる歌「Luke(ルカ)」

「Luke(ルカ)」は、1959年アメリカ出身のシンガーソングライター、Suzanne Vega(スザンヌ・ヴェガ)が1987年に発表した歌。

"My name is Luka."(僕の名前はルカ)という簡単な英文で始まり、最後まで簡単な言葉でつづられている。歌の語り手は子どもで、階下に住む住人に向けて話している設定だ。

話している内容は自分が受けている暴力について。これは、児童虐待という社会問題を扱った歌なのだ。

日本語でも簡単な言葉を使って深い内容を語ることはできるが、英語の、ごく簡単な単語と文法構造のみで深遠な哲学をも表現できる力、魅力にずっと引かれてきた。

また、つらい現実をフィクション(創作)でこそ多くの人に届くように語ることもできる。「Luka」がしているのはまさにそれだ。

我慢するしかない(と本人は思っている)つらさ、周囲の人に知ってほしい、助けてほしいだろうに、知られればもっと殴られるだけと諦めさせられている理不尽さ、同情なんかされたくない、憐れんでほしくないという自尊心、平気だと強がることで保とうとする自己の存在。それに、知られれば親が責められる、逮捕されるとわかっているから、どんなにひどい親でも葛藤があるのかもしれない。

児童虐待の複雑な背景と子どもの心情を、本当にシンプルな英語で表している。

そんな出合いや気付きがあるから、外国語学習はやめられない。


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