#12 どうすれば、競争に勝てるのか!?
4.競争戦略
マイケル・ポーターの競争戦略やフィリィップ・コトラーの競争地位別戦略は、「いかに競合に対して、優位なポジション(地位)を築き、勝つか?」の戦略論です。
従って、戦略を考える上で、競合分析は重要なポイントとなります。
競合分析の一つであるSWOT分析の「O:機会」と「T:脅威」は、自社と競合との関係性の分析になります。
例えば、大きなシェアを持ち、経営資源が豊富な競合が業界にいれば、自社には脅威(Treat)ですし、業界に多数の競合がいて、どんぐりの背比べ状態だと、業界のリーダーになる機会(Opportunity)になります。
他の競合分析としては、STP分析のPositioningです。
これは、競合製品に対して、自社製品がどう差別化できているか?を分析します。
4-1. マイケル・ポーターの競争戦略
マイケル・ポーターの競争戦略は
(1)コスト・リーダーシップ戦略
(2)差別化戦略
(3)集中戦略
の3つの考え方があります。
(1)コスト・リーダーシップ戦略(低価格戦略)
競合より安い価格で売るというシンプルな戦略ですが、単なる安売りでは成長は見込めません。ここで重要なのは、原価を下げる仕組みを作る事です。
今は5,000億ドル以上の売り上げを誇るアマゾンですが、1995年の創業時から赤字続きで、2001年にようやく黒字化しました。赤字の間はステークホルダーに散々たたかれながらも、大都市近郊に巨大物流センターとその情報システムに積極的に投資を続けて、他社より「安く・早く」商品を届けられる仕組みを作り上げたのです。
巨大物流センターと言えば、巨大物流センターを舞台にした映画「ラストマイル」を見ました。ピッキングした荷物を載せたコンテナが、縦横無尽にしかも三次元で走り回っている様子は圧巻でしたね。
ネタばれになるので、これ以上は書きませんが、とても面白い映画でした(^_-)-☆
話を元に戻します。
ファミレスや回転寿司チェーンなどの飲食店やスーパーの総菜などでは、食材を一括仕入れ・下処理・調理する工場(セントラル・キッチン)を作って、そこから各地の店舗に配送する仕組みを採用しています。
セントラル・キッチンは、大量仕入れで原価を下げるだけでなく、どの店でも同じ美味しさを担保し、フード・ロスを減らし、店舗側のスタッフも特殊な調理スキルは必要のない最小限の人数(人件費)で対応できます。
これらの巨大倉庫やセントラル・キッチンの例は、もちろん先行投資は必要になりますが、規模の経済が働くと、単価を安くすることができて、原価を下げる仕組みとなります。
他にも顧客へ提供するサービスのプロセスを減らす事でコストを下げた例など、様々な努力や工夫で原価を下げて低価格を実現している例があります。
QBハウスは、シャンプーやドライヤーをしないで、カット後に吸引機で髪の毛を吸引するだけで、顔そりも止めました。その代わり10分で仕上げるという、まさに時間の薄利多売ビジネスで、さらに全ての店舗、席についてのデータをITシステムで集計・分析し、生産性改善に努めているそうです。
LCC(格安航空会社)は、専用ターミナルからの発着や、機内食などのサービスの廃止や有料化、動画視聴や注文も乗客のスマホを使うなどで、サービス提供は最低限にして、その代わりチケット料金を安くしています。
低価格は、顧客にはもっとも分かりやすい訴求ポイントなので、例えば相見積もりで競合と勝負とかになると、ついつい安くしたくなる誘惑にかられます。
しかし、「気合で安くしました」というのはなく、ちゃんと原価を下げられる仕組みを作る事が重要で、さらに言うと、競合がまねできないような差別化をして、 製品の提供価値に見合った価格設定にするのが王道です。
この差別化については、次章で書きます。