見出し画像

PERFECT DAYS|映画エッセイ#1

2023年、最後の映画はこの映画と決めていた。

「PERFECT DAYS」
監督:ヴィム・ヴェンダース (Wim Wenders)
主演:役所 広司
受賞:第76回カンヌ国際映画祭 男優賞

PERFECT DAYS@2023

とても素晴らしい映画だった。
役所さんとヴェンダースが生み出す美しいセッション。
小さい子供から社会人まで、多くの人に本当に見て欲しい。

そうだ、小学校では「道徳」の授業に、
中・高学校は「社会」の授業に、
大学では必須科目として「人文」の授業に
この映画を取り入れればいい。そうすれば皆に届く。

是非、教育機関にお願いしたいところだが、非現実的だ。
せめて自発的に世間が気づいてくれるのを祈るしかない。

ヴェンダースの映画はとても哲学的だ。
映画に示唆が籠りすぎている。だからセリフがとことん良い。
映画「ベルリンの天使」はまるで詩歌と思えるほどで、
凄く言葉を大事にしているのが分かる。

そして今回のテーマは「木漏れ日」である。
海外でも、”Komorebi” として知られていると思う。

日本の情緒、日本人の”美的感覚”が「木漏れ日」にはある。
ヴェンダースの手腕と役所さんの至宝の演技で、
見事にそのテーマが表象化された映画になっていた。
様々なシーンで形成された”Komorebi” を楽しめた。

一映画ファンとして、2024年の初めての映画に
「PERFECT DAYS」を選んで後悔はしない。
退屈したら役所さんのしわを数えてもいい。
見終わったら渋谷区のトイレを回ってみても良い。(実際に僕は回った)

子供には、公共トイレの清掃員の苦労を見せてやって欲しい。
大人は情緒と、僕たちが汚したものは誰かがきれいにしている
ということに気がついて欲しい。
高齢のお方は、60年や70年の音楽も懐かしいだろう。

多くの人たちにこの映画が届くことを願って、良いお年を。

ーーー 以下、参考 ーーー
ネタばれを避けたいので、映画の内容は極力省く。
Filmarks(フィルマークス)では、
もう少し内容に触れてレビューしているので是非。

↓羊の感想
MrSeepさんの映画レビュー・感想・評価 | Filmarks映画
「木漏れ日、Komorebi」
木々の枝葉の間から差し込む陽光。
言葉通り、木から漏れた光のこと。
枝葉は風によってゆらぎ、その光と影は多様な形を成す。


【補足】
ヴェンダースは「旅する映画監督」と呼ばれている。
次回はヴェンダース自身について記事を書くつもり。

この記事が参加している募集

おすすめ名作映画

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?