青木 隆行

地域工務店特化型経営コンサルタント 売上高8倍にした工務店経営20年の経験を活かしたコ…

青木 隆行

地域工務店特化型経営コンサルタント 売上高8倍にした工務店経営20年の経験を活かしたコンサルティング ・収益改革・社長力強化・事業承継 ・オリジナルセミオーダー住宅 ・分譲&注文住宅のハイブリッド化・多角化 経営アドバイザー(MBA) 新建ハウジング『チカラボ』連載

最近の記事

人口減少時代の地域工務店経営

2020年からコロナが始まり、それに伴ってウッドショック・マテリアルショックが起こりました。住宅の販売価格は坪単価で10~15万円ほど上がり住宅市場が冷え込むことが予想されましたが、逆に住宅着工棟数は増え市況は活況を呈しました。コロナ禍であまり大腕を振って言えないと思うのですが、住宅メーカーはじめ工務店においても過去最高クラスの好業績を残した企業は多くあります(住宅着工棟数の増加は下記野村総合研究所のレポートからも見て取れます)。 好業績を残した住宅会社の特徴としては ①デジ

    • スキルと理念共感の両立

      地域工務店アドバイザーという仕事をしていると、年代別の人員構成がひょうたん型になっているケースをよく見る。40代中盤から50代の社員と20代、という構成で30代が極端に少ない。ベテラン組は一定のスキルがあるもののどうしても体力は衰え始め行動力が落ちる。逆に20代は体力はあるがスキルがない。労働時間の制約が厳しくなっているなか、仕事も限定されてスキルアップの機会を失っているケースも見かけるし、スキル以上の難しい仕事を任せられてもベ教えてくれる人がおらず、一種の閉塞感を感じる事も

      • 長期安定化戦略『日本的経営のススメ』(2/2)

        前回につづき、日本的経営の観点から、地域工務店の長期的安定経営の意義や重要性を考えてみます。具体的な手法についても盛り込みました。  前回述べたような日本的経営を地域工務店が推進するにあたっては、地域への愛着と倫理観を持った経営理念の実践がポイントであると考えています。そして地域密着・地域貢献、コミュニティ形成と長期的観点からみた経営はまさにその中心的な実践方法になります。 【POINT】 ➡「地域への愛着」と「理念経営」の実践が日本的経営=長期安定経営を生む 地域に愛

        • 長期安定化戦略『日本的経営のススメ』(1/2)

          今回は地域の工務店にとって「日本的経営」がなぜマッチしていて、どのような部分が業績を安定させるベースとなるのか。またそもそも「日本的経営」とはなにか、解説をしていきたいと思います。今回が概論、次回でより実践的な内容をお伝えする予定です。 【POINT】 ➡「日本的経営」はゼブラ経営・ステークホルダー資本主義の原点  高い信頼度で受注を得てきた。土台にあるのが「日本的経営」 地域工務店経営者の皆さまは、自社の業績やブランディング・デザイン・性能といった事と同等かそれ以上に、

        人口減少時代の地域工務店経営

          地域工務店の財務戦略 2/2

          【今回のPOINT】決算書は開示できるようにしておこう!その理由は?  過去、私自身の銀行マン~工務店経営を経て、やはり工務店は粗利益確保が大変重要な要素になると考えています。工務店に限ったことではありませんが、特に地域に根差した工務店のような業態は「事業の継続性」がカギになります。例えば創業当初は勢いで成長をしたとしても、収益性が低い場合には思ったほど自己資本がつくれず、安全性に不安を抱えるケースもあるでしょう。また収益性が低い事で社員に充分な給与が出せない(良い人材を集

          地域工務店の財務戦略 2/2

          地域工務店の財務戦略 1/2

          会社の強みを活かして顧客満足を獲得し事業を安定・成長させる事は、お施主様をはじめ社員・取引業者など会社にご縁のある方々の物心両面の幸せ実現に繋がります。この目的(理念)を達成するため、事業を円滑に進めるためには資金が必要です。財務とはこの資金を管理・調達する業務を指します。  今回はその財務を戦略的にとらえる事についてですので、短期的な資金繰りというよりは中長期的な財務面の目標設定という観点でお伝え致します。 財務戦略とはなにか?まず分析の手法を知ろう  財務戦略を練る

          地域工務店の財務戦略 1/2

          地域工務店あるある 協力業者との立場逆転現象

          〇高いレベルが求められる家造りと減少する現場監督 住宅工務店業界では以前と比べて相当に高いレベルの住宅品質や顧客対応を求められるようになった。ここ20年では品確法にはじまる瑕疵保証や性能表示制度など法改正・法規制が進み、より高度な建築知識や技術力が求められる状態になっている。これに対して特に小規模の地方工務店では設計面などで外部の力を借りなければ建築が出来ないなど自社のみで対応が難しいケースも見られる。 多くの工務店では、経験豊富なベテラン社員が退職期を迎えており、現場を

          地域工務店あるある 協力業者との立場逆転現象

          成長痛に備えよう

          事業が上手くいっている時は成長が実感できる一方で、業績向上時に起こるさまざまな事への対応準備が予想できないケースがある。売上が上がると当然忙しくなる。これまで充分な時間をもって対応できていた事も心の準備や前段取りをしていないとバタバタしてしまう。場合によってはミスやクレームにつながる事もある。 他にも、業績向上に伴い会社の認知度が向上すると相応にお客様が求めるサービスレベルが上がるケースもある。工務店の場合、業績アップによるエリア認知度の向上と共に大手のハウスメーカー並みの

          成長痛に備えよう

          地域工務店の課題 消えた30代

          地域で注文住宅・分譲住宅を施工しておられる工務店経営者の皆さんとお話をしていると、いくつかの特徴がある。実際にアンケートを取って状況を聞いてみたいのだが、その一つとして社員の皆さんの年齢分布がいびつな形になっているという点が挙げられる。 〇消えた30代:中堅がいない『ベテランと若手』状態 社員構成としては50~60代のベテラン社員と20代の若手社員が大半を占め、働き盛りの30代~40代が少ない形になっている。20代社員の成長を期待したいが、ひと世代上の社員が少ない事で目標

          地域工務店の課題 消えた30代

          経営の時間を作ろう

          東京五輪が終わり、日本各地で季節外れの低気圧で大雨となっている。高校野球は延期を強いられ満足したグラウンドコンディションではない。まさに世の中は千変万化。天候のような外部環境は自分たちでは変えようがない。 ただ内部環境は自分たちで改善することが出来る。例えば経営者は長期的・戦略的に企業の内部環境を改善していく事が出来る。企業の根幹をなす経営理念(考え方)と経営戦略(実践の方向性)は他人によって変えられることはない。外部環境の変化によって戦略は変更する事はあっても、それは自ら

          経営の時間を作ろう

          PIVOT(戦略的事業転換)

          ウィズコロナの時代になり、多くの業態で業績に影響が出ている。私の経営する下記業態においても大きな影響が出た。 ①通所型デイサービス:高齢者の方々は若年層と比べコロナ感染で重症化する確率が高く、デイサービスの利用を控える動きがあった。(業績2019期比およそ▲20%) ②民泊事業:民泊事業は民泊施設の建設と運営を委託する形をとっているが、インバウンドをはじめ国内旅行も大幅に減少しコンサートやスポーツイベントも減った事などから宿泊する事時代が大幅に減少した。私の場合は契約によ

          PIVOT(戦略的事業転換)

          サブスクリプショントラップ

          世の中サブスクリプション型のサービスがたくさんある。 サブスクリプションとは、『料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができる』形式のビジネスモデルのこと。商品を『所有』ではなく、一定期間『利用』する、というところがポイント。定額で少額なケースが多く『解約もすぐにできるし、この程度の金額ならいいか』という顧客心理をうまく突いていると思う。 しかしながら、サブスク型サービスにたくさん加入してしまい、月のサブスク料金がかさんでいるケースが多くあるように思う。

          サブスクリプショントラップ

          地域工務店は営業利益に目を向けよう

          地域工務店の方々と話をしていく際にはよく『適正な粗利益は何%か』という議論になる。 売上高-原価=売上総利益(粗利益) 私の知る限り、工務店の粗利益は18%~40%まで様々な設定がある。 ひとくくりに粗利益と言っても、原価に含まれる内容が違う(計算方法が違う)場合がある。現場監督など工事に関わる社員の給与は原価に入れるのが建設業のセオリーではあるが、地域工務店の多くは一般社員と同じく販売費・一般管理費(販管費)に入れる形を取っている。理由は、決算年度ごとの収益が分かりや

          地域工務店は営業利益に目を向けよう

          『終わりを考えてはじめる』経営を野球に例えてみた。3/3

          〇企業規模に見る、野球チーム内の各役割と経営者の役割との共通点 企業の規模や経営者の性格・スキルなどによって、経営者の取る行動は大きく違う。特に企業規模の大小は経営者がやる事を大きく変える。それと野球チームにおける役割を重ね合わせてみた。 ①社員3~5人の小規模の事業経営者=ピッチャー:ゲームの行方について70~80%はピッチャーで決まるといわれるほど、野球の試合におけるピッチャー個人のスキルは重要である。相手との間合いを感じ状況判断をしながら1球1球自らが投げる。つまり

          『終わりを考えてはじめる』経営を野球に例えてみた。3/3

          『終わりを考えてはじめる』経営を野球に例えてみた。2/3

          今回は、戦略をもって経営をするという事を端的に切り出すために『終わりを考えてはじめる』をテーマにして『野球の試合』で考察してみた。もっと長い期間や広い意味でチーム編成や育成方針など長期的視点から考える事もできるが、話が広がり過ぎそうなので、あえて『試合』で表現している。 〇野球と経営の類似点 野球に関わらず、試合には終わりがある。スポーツにおける試合の終わり方は大きく分けて2種類ある。サッカーやラグビーのように『時間で終わる』スポーツと野球やテニスのように時間に関係なく『

          『終わりを考えてはじめる』経営を野球に例えてみた。2/3

          『終わりを考えてはじめる』経営を野球に例えてみた。1/3

          『7つの習慣』では第二の習慣で『目的を持って始める(終わりを思い描くことから始める)』が成功の要素であると伝えている。ミッション・ステートメント(人生の構想図のようなもの)を作り、海をさまよう流木のような人生ではなく、目的地に行くために航路を決めて進む船のような人生を生きよう、というものである。 これはスポーツの世界でも置き換えて考えることも出来る。例えば野球の試合で考えてみるとどうなるか考えてみた。 『ゲームの進め方・終わらせ方をゲーム前に考える』試合に臨む際に、ただ我

          『終わりを考えてはじめる』経営を野球に例えてみた。1/3