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住宅業界(注文住宅)の業界特性 1/3

他の業界と比較して、注文住宅業界は以下の特性があると考えている。ここでは地域工務店(地方の中小工務店)の立場に近い角度から考察したい。

①寡占化が進んでいない
自動車業界や家電業界など上位数社で寡占化が進んでいる業界と比べ、住宅業界は大工さん・中小工務店・地域のビッグビルダー・大手ハウスメーカーなどが乱立している。今後経営統合や合併なども進むだろうと考えるが、すそ野が広いためまだまだ時間がかかりそう。

②半年先の業績が分かる
新築住宅の場合は受注してから完工するまで半年~1年以上かかるので、受注がしっかり取れていて着工と完工の時期が分かれば半年程度の売上予想が立つ。その日その日で売上を立てている業態とは大きく違い、経営のかじ取りがしやすい側面がある。

③運転資金が要らない
経営が安定しているときは契約した顧客から先にお金を頂戴できる。また注文住宅事業は受注生産であるため先行する資金が限られる。人件費に加えモデルハウスを建設したり土地を購入したり大規模な広告宣伝を行う以外はあまりないのが特徴。効率的な経営をしておけば運転資金は不要となり、常時潤沢な流動性を確保できる。

④利益先食い型
毎年新築住宅を施工して粗利を得ていく形であるが、アフターメンテナンスの費用などが曖昧であり、場合によっては会社がお施主(家を建てた顧客)に大半の費用負担をしているケースがある。住宅の価格が数千万円と高額なためサービス意識がある事が主因であると考える。例えば(住宅ローンの支払い期間と同じ)35年住むとして、新築時に得る利益を顧客ごとに35等分した形での会計処理などが出来れば適正な利益配分や費用負担が出来るのかもしれないが、現在はその年に新築したお施主から頂戴する利益をもとにその年に発生したアフターメンテナンス費用を負担している形になっている。

⑤経営難易度が低い
数か月先までの経営状況を把握しやすく、年間の経営計画が立てやすい。最初のスタートさえうまくいけば資金的な負担もなく進めることが出来る。地域工務店の場合は営業エリア内での限られた範囲で適切な打ち手を打てば大手ハウスメーカーとも十分に戦うことが出来る。技術的な観点からも外注と連携をすることで社内にリソースがなくともスタートアップが比較的容易。

2/3へつづく

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