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『終わりを考えてはじめる』経営を野球に例えてみた。2/3

今回は、戦略をもって経営をするという事を端的に切り出すために『終わりを考えてはじめる』をテーマにして『野球の試合』で考察してみた。もっと長い期間や広い意味でチーム編成や育成方針など長期的視点から考える事もできるが、話が広がり過ぎそうなので、あえて『試合』で表現している。

〇野球と経営の類似点

野球に関わらず、試合には終わりがある。スポーツにおける試合の終わり方は大きく分けて2種類ある。サッカーやラグビーのように『時間で終わる』スポーツと野球やテニスのように時間に関係なく『セットで終わる』スポーツである。僕自身が野球をしていたからだと思うが、スポーツのなかでも特に野球は経営との共通点が多いと感じる。例えばゲーム中に『静と動が繰り返される』ことで作戦立案と実行とを繰り返す点。また『最後の最後まで何が起こるか分からない団体競技』という点ある。あわせて『ポジション別で役割分担が明確』というのもある。テニスやゴルフも似ている点は多いが、団体競技である点で、野球はより経営に活かせる点があると思う。

〇正しい現状把握と状況判断

さて前回記した①球場・②試合相手・③自チームの分析はマーケティングにおける(市場環境)(競合)(自社)という3C分析のフレームワーク。また自チームの分析は強みを活かすと同時に弱みをどう補うかを考える点で基本的な考え方ではあるが大変重要だ。まず経営者は現状認識を的確に行い、現在地を明確にすると事業発展の可能性が高まる。ここからどういう勝ち方をするか、またはどういう在り方をするのかを考える事になる。

⇒チームの現状認識(戦力やモチベーションなど)

⇒今はどの段階か(試合前・試合序盤・中盤か・後半・点差)

このあたりを把握してどう行動するかを判断するべきだろう。

〇目標設定を何にするか。

野球の試合では9回試合終了までに点数を多くとっていた方が勝ちというルールのもとに勝利(目標)に向けたベストの行動をとる。経営者にとっての目標達成(試合に勝つ)は経営者によって違う。1年1年の業績目標・10年後に設定した売上高の達成、スケールさせて事業承継やIPO、イグジット…。いや何より会社に関係する人々が満足する会社づくり(=目的の達成)かも知れない。これらをどのように設定するかで、ルールが変わる。しかしなかには明確なルールも目標も決まっていない会社があるのではないだろうか。いやもしくは、目標設定も必要ないと進んでいる会社もあるのではないだろうか。目標もなく闇雲に進んでいくと、まさに大海を漂う流木のようになってしまうかも知れない。

高校野球で言えば甲子園大会に出場するのが目標か、予選1回戦を突破するのが目標かで考え方は違ってくる。また試合のなかでは打順をどうするか、先発投手をどうするか、その他個々のスキルを活かした戦略をどう立てるか、発奮を促しモチベーションを上げる方法など様々な考えが浮かぶ。(この視点は監督的な要素が強いが、実は多くの経営者は、会社の規模によって監督的な役割だけではなかったりする。)

『いつまでに』『どのように』『何を』

目標達成には、『いつ・いつまでに』『どのように』『何を』するのかを逆算して決めておくと効果的。さらに時間軸で短期・中期・長期での設定もしておくとより分かりやすい。目的目標の内容によってルールが変わってしまうので目標設定とそれを達成するためのルールづくりが必要である。

野球の試合で言えば、序盤・中盤・終盤での点差などを考慮しつつ、その場その場で作戦を考える。例えば出塁しているランナーの走力や打者の能力を考えながらヒットエンドランを仕掛けてみたり、相手投手の制球力を見て待ちの姿勢を取ったりする。他にも次の回の打順を予測して選手を準備させたり、試合に出ている選手のために控えの選手が給水の準備をし声掛けをする。目標達成のための総力戦をするのである。

少し話がそれるが、例えば長期的な視点の目標設定で一例を挙げると、経営者にとって一番重要な目標設定は、自分の後を誰に任せるかという事ではないだろうか。国内中小企業の2/3は後継者不在で、社長の平均年齢は60代後半と言われる。真剣に経営をしていると自分の命が永遠に続くような感覚に陥る事があるが、やはり経営者も人間である。自分のライフステージも考えた企業経営が求められているのは当然の事。事業承継は特に準備が必要で短期的にたやすく解決できるものではない。つまり事前の段取りが重要なのである。逆転サヨナラホームランはドラマティックだが、その可能性はとても低く、なにより準備しておかなければ打てもしない。(かく言う私もいかに場当たり的であるかを反省しながら書いている)

例を出せば終わりがないが、このように・現状把握・明確な目標設定・ルール決め・戦略立案と実行・戦況が変わる中での判断・役割ごとの行動と連携といったところで、経営とスポーツ(特に野球)には類似点が多いと考えている。経営をスポーツや部活に例えて考えてみると本質的な事に気付からかも知れない。

~次回に続く

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