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【レポート】クールとコミカルが入り交じる復讐劇!大ヒット韓国ドラマが舞台化!ミュージカル『ヴィンチェンツォ』


ミュージカル『ヴィンチェンツォ』公演レポート

※本記事は、内容のネタバレを含みます。これから観劇される方はネタバレ了承の上ご覧ください。ネタバレされたくない方の閲覧はオススメいたしません。

2023年8月11日よりミュージカル『ヴィンチェンツォ』が開幕。兵庫AiiA 2.5 Theater Kobe公演を経て、東京公演が日本青年館ホールにて上演された。本記事では、その公演の模様をレポートする。
 
『ヴィンチェンツォ』は、「愛の不時着」でもおなじみ韓国のドラマ制作会社スタジオドラゴン制作の全20話にわたる連続ドラマで、イタリアマフィアの顧問弁護士ヴィンチェンツォ・カサノが韓国の弁護士ホン・チャヨンや個性豊かな仲間たちと共に、莫大な富と利権を握る巨大組織に挑む復讐劇だ。
 
2021年に韓国tvNにて放送され、同時にNetflixでも世界190カ国で配信された。主演のソン・ジュンギは同作品で韓国国内のドラマアワードを多数受賞。日本でもNetflix週間TOP10にランクインするなど韓国内外で人気のヒューマンドラマである。
 
世界で初めてミュージカル化された本作は、主演のヴィンチェンツォ・カサノ役を和田雅成、ホン・チャヨン役を日向坂46の富田鈴花、ヴィンチェンツォ達と敵対する凄腕の悪徳弁護士チェ・ミョンヒを佐藤仁美が演じる。
 
冒頭、舞台奥の紗幕から三つ揃えの細身のスーツを着こなしたヴィンチェンツォが颯爽と登場。
ドラマ版の最初のセリフでもある「俺の目的はこのビルを壊すことだ」と発すると、爆発音と共に背景が真っ赤に染まる。不穏な演出と、寸分の隙も感じさせないヴィンチェンツォの佇まいに、一気に作品の世界に引き込まれる。
しかし、緊張感のある始まりから一変、完全無欠なはずのヴィンチェンツォが、ソウル郊外の古いビル「クムガプラザ」の一風変わった住人たちに翻弄されるコミカルなミュージカルシーンが繰り広げられる。
この緊張と緩和、20話分のドラマをギュッと詰め込んだ、めくるめく激しい展開が本作品の特徴の1つで、3時間半(休憩含む)の上演時間を決して長く感じさせない。
 
物語が佳境に入ると、巨大企業「バベルグループ」とヴィンチェンツォ率いる「カサノファミリー」との対決が描かれる。殺陣シーンでは特にヴィンチェンツォがその長い手足を繰り出し、素手と銃で次々と敵を倒していく様に目を奪われた。
 
敵である「バベルグループ」チャン・ハンソクの歌唱シーンは高い歌唱力も相まって、異常なまでの狡猾さと野心が歌に乗り、舞台上を絶望の空気で包んでいた。その「バベルグループ」を支援している弁護士チェ・ミョンヒとヴィンチェンツォの舌戦や駆け引きシーンの緊迫感も痺れる。それぞれの個性あふれる悪党達にも注目して欲しい。
 
また、本作品は親子愛・家族愛もテーマの1つだ。
本当は認めあっているのに、互いを目の前にすると素直になれないホン・ユチャン(演:鈴木壮麻)とホン・チャヨン親子、離れていてもずっとお互いを思っていたオ・ギョンジャ(演:白木原しのぶ)とヴィンチェンツォ親子、愛が欠如したハンソ家、血は繋がっていないが、家族のような絆で結ばれているカサノファミリー。
それぞれの愛の物語が、せつなくもこの作品に深みを持たせており、この作品がただのバイオレンスドラマではなく、ヒューマンドラマであるとわかる。
幕が下りる頃には全登場人物にいつのまにか感情移入している、そんな作品だ。
 
開幕前のインタビューで主演の和田雅成が、ヴィンチェンツォ役はハマり役だと語っていたが、ドラマ版のヴィンチェンツォの雰囲気も踏襲しつつ、和田ならではの繊細な心の機微や秘めたる熱さの表現が加えられていて、和田雅成史に残るであろう好演ぶりといえる。原作ドラマファンも和田版ヴィンチェンツォに思わず惚れてしまうだろう。
 
ホン・チャヨン役の富田鈴花も、5年ぶりの舞台且つ、それ以前も日向坂46メンバー中心の舞台出演が主だったとは思えないほど、ステージ上で堂々としており、百戦錬磨の実力派俳優の中でもパッと目を引くような存在感を放っていた。俳優としても今後が楽しみだ。
 
ミュージカル『ヴィンチェンツォ』は、兵庫・東京公演を終え、8月27日(日)に、大阪のサンケイホールブリーゼにて千秋楽を迎える。
8月24日 7:00現在、一部の公演を除き当日引換券が発売中。
8月27日(日)11:30公演と大千秋楽である17:00公演は配信も予定されているので詳細はホームページ等で確認を。
是非、劇場や配信で、このクール且つコミカルな復讐劇を体感して欲しい。

ミュージカル『ヴィンチェンツォ』公演情報

公演スケジュール

【兵庫公演】 2023年8月11日(金・祝)~8月13日(日)
AiiA 2.5 Theater Kobe

【東京公演】 2023年8月18日(金)~8月21日(月)
日本青年館ホール

【大阪公演】 2023年8月25日(金)~8月27日(日)
サンケイホールブリーゼ

キャスト

ヴィンチェンツォ・カサノ:和田雅成
ホン・チャヨン:富田鈴花(日向坂46)
チャン・ジュヌ:上田堪大
チャン・ハンソ:竹内將人
ハン・スンヒョク:松井工※東京公演は体調不良により出演者変更
ハン・スンヒョク(東京公演):高橋ひろし
ホンシク(東京公演):黒田篤臣
チョ・ヨンウン:高原紳輔
ナム・ジュソン:伊藤裕一
ソ・ミリ:中野郁海
オ・ギョンジャ:白木原しのぶ
アン・ギソク:西川大貴
ホン・ユチャン:鈴木壮麻
チェ・ミョンヒ:佐藤仁美
チャン・ヨンジン:柴崎咲子
キム・ヨンホ:古川雅達
チェシン:高山裕生
レリー・カン:伊東征哉
パク・ソクド:小林遼介

スタッフ

【原作】ヴィンチェンツォ
(製作:スタジオドラゴン、脚本:パク・ジェボム)
【企画・プロデュース】エイベックス・ピクチャーズ
【企画協力】スタジオドラゴン

【脚本・作詞】三浦香
【演出】吉谷晃太朗
【ミュージカル楽曲】tak

ホームページ

ミュージカル『ヴィンチェンツォ』公式サイト
https://vincenzo-musical.jp/

ライター後記

ヴィンチェンツォ面白かったです!観劇前に原作すべてを見ることはできなかったのですが、1話1話かなりのボリュームなので、どうまとめられるのか楽しみにしていました。結果、とても綺麗にまとまっててびっくり!もちろん、多少唐突に感じる部分はありましたが、そこはミュージカルの力であまり気になりませんでした。なので全く原作を見ていなくても楽しく観劇できるかと思います。でも、できれば1話くらいは見ておくと、原作のキャラクター達と舞台版のキャラクター達の比較もできるので良いかと思います。まぁこれがかなり忠実な再現になってるんですよね…。
和田さんは刀ステ感謝祭から5日でこれだけの作品をやってのけたと思うと素直にすごい!ヴィンチェンツォと落語のお稽古が同時並行だったなんて驚きですよね…
日向坂の富田鈴花さんも本当に素敵でした!私一応自称アイドルオタクなのですが、日向坂さんは音楽番組のパフォーマンスと、たまにひなあいを見る程度の一般人なので、深くは存じ上げなかったのですが、あのアクの強い弁護士をさわやかに、でも面白さはそのままに演じられていたなぁと!

チャヨンが急に謎のポーズを取った時、思わずヴィンチェンツォがつっこんでしまうシーンが好きだったので書きました。

唐突にガニ股になるチャヨンと思わず突っ込むヴィンチェンツォ

良いコンビネーションでしたよね笑

ここまでお読み頂きありがとうございました。
3週間ほど観劇予定がないので、次回は過去作のレポートを上げられればなと思います。


<注意>
当レポート記事は、ニュース・情報サイトの記事に近い形式で書かれていますが、あくまで私的な練習用に書いた記事であり、内容や情報が事実と異なる可能性があります。
(※ようは裏取り・確認等はおこなっていません)
本記事の記載内容により読者に不利益等が発生しても、記事作成者側は責任を負いかねます。
正しい情報は、公演公式サイト・SNS等を必ずご確認ください。

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