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夏至と「羊冷え」

今年はきょう6月21日が夏至だそうだ。
と思ったら、日本から7時間遅れるドイツでは20日のうちに夏至を迎えていた。

こちらの一般的な暦の感覚だと、春分、夏至、秋分、冬至に季節が入れ替わるようだ。きょうは「夏になりましたね」という言葉が交わされていることだろう。

12月の半ば、毎日どんよりと曇って気温も0度近くまで下がり、コートにストールで冷たい風に吹かれるころ、「もう冬ですね…」などと話を始めると、「いや、冬は21日からですよね」と言われることもあった。

肌感覚よりも暦を優先するとは、なんと風情のないことよ、と思ったが、考えてみれば「立秋を過ぎたら『暑中見舞い』とはしません」と、まだお盆前の猛暑の中、残暑見舞いを書くのも似たようなものか。(もう書く人少ないですかね)


暦の上では今日からが夏なのだが、気象学上の分類は6月1日から8月31日までが夏とされている。
これまでのところ、春に出されていた6月の月間予報に比べて気温が低い。おそらく雨が多いことが関係しているのだろう。どことなく昔の日本の梅雨のような趣がある。

ドイツには5月や6月に「この時期にしては冷え込む数日間」が出現することが多い。
5月の「氷の聖人 (Eisheiligen)」そして、6月の「羊の寒さ (Schafskälte)」だ。日本には「花冷え」という美しい言葉があるので、ここは「羊冷え」としたい。

羊冷えは、6月4日から20日ごろに北から強い寒気が流れ込み、気温が大きく下がることをいう。雨を伴うことも多い。
春の終わりに毛を刈られた羊が寒い思いをすることからつけられた名だそうだ。
今年もその時期は雨が多く、10℃以下になる朝もあった。(きょうも雨です)

夏至と羊冷えとは、いささか奇妙な取り合わせに見えるが、日本でも関東などいくつかの地域の梅雨入りが夏至と重なったのは珍しいのではないか。
この夏、水害、そして猛暑の被害が出ないことを祈っている。


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