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古いコットンシャンブレーと真夏のいちご

この夏のドイツは比較的過ごしやすい。
猛暑日も何日かあったが長くは続かず、家が温まる前に気温が落ちつく。

温暖化の影響もあるのか、ここ数年は40℃に迫る熱波に襲われる夏もあった。近所でも屋根裏の部屋などにエアコン(クーラー)を設置する家が増えたが、この感じなら要らない。もともとドイツの夏はこうだった。

例年、8月も半ばを過ぎれば秋風が立つ。
暑さに弱いだなんだ言いつつ、今年のように過ごしやすければ「もう少し夏気分も味わいたい」と思うのだから勝手なものだ。

そんな中、ここ数日は30℃を超えている。
このチャンスに!と、そうめんに冷やし中華、生ハム&メロン(一応イタリア人家庭でもあるのでね)など「夏仕様」を楽しむ。

昨日は朝の涼しいうちに窓を全開にして換気し、いくつかの家事を済ませて(noteを覗いて)も8時前。今のうちにスーパーへ行っておこうと思い立った。
ほぼ家事着となっているひざ丈デニムレギンスとTシャツ、さてどうしよう。夏休みの時期に入ってどことなく街はリラックスムードだ。そのままで行ってしまおうかとも思ったが、やはり手つかずの一日、着替えて出るのも悪くない。

じつはここ10年近く、めっきり服を買わなくなった。通勤するわけでもないし、最近の服は丈夫で長く着られるので、少ない組み合わせでなんとかなってしまう。アイロンをかけられるものにはかけて着る。それがまあこだわりといえばこだわりだ。
というわけで、10年前から着ているユニクロの紺のワイドパンツ(スカンツといったっけ)を手に取った。
柔らかい手触り、ストンと落ちる素材でしわにならない。ほぼこればかり着ているがまったく傷まないし、両脇にポケットがあるのもポイントが高い。


でも。今朝はまったく違うものが着たくなった。

ふと見ると、洋服ダンスの端に懐かしい一着があった。
青いコットンシャンブレーのスカート。
こちらはもう覚えていないくらい前に買ったもので、やはり当時のお気に入りだった。
もうだいぶ着たからいいか、とポルトガルの海に着ていったのが12年前だから、相当古い。

薄いのに透けない優秀なシャンブレーで、くるぶし近くまで丈がある。それでも絶妙なウエストのギャザーにより広がりすぎずふわりと軽やか。もちろん両脇にポケットつき。笑

もう何年もしまったままになっていたが、なんとなくまだいけそうな気がして着てみた。それほど違和感はないし、若干生地がクタッとしているのも味があってよい(とする)。
真っ白なカットソーを合わせ、エコバッグをふたつ提げていざ出発。

こころなしか背筋も伸びる。朝の日差しは強く、日向はもうだいぶ気温が上がっているけれど、元気に歩くと古い相棒は風をはらんで涼しい。

下の写真は12年前の夏、ポルトガルで撮った一枚。毎年家族で夏の休暇を過ごしてきたが、この翌年から息子不参加となった。(まあ家を離れた大学生はそんなものだろう) だからことさらに思い出深い。

実物よりすらっと見えるのも優秀


そんなことを思い出しながら歩き、スーパーに着くと、入口近くの青果コーナーに並ぶいちごが目に飛び込んできた。
紙の箱に無造作に入れられたそれは赤く、小さく、新鮮そのものに見えた。

ドイツのいちごの旬は5月ごろだ。
こんな暑い時期にどこから来るのだろう、と不思議に思ったが、生産地を見るとこの近くのものだった。
熱波が控えめな大暑。思いがけず真夏のいちごにありつけた。

きょうは上空の空気が大きく入れ替わるらしく、午後から雷雨になるらしい。
朝のうちに駐車スペースの草取りを済ませ、一息ついている。

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