減塩傾向とバランス
先日紹介した「栄養と料理 デジタルアーカイブス」を見ていたら、平成7年(1995年)の日本人の食塩摂取量の平均値は13.2gという記事があった。
最近はどうなっているのか。
厚生労働省の出している「「令和5年(2022年) 国民健康・栄養調査結果の概要:p.10」では、日本人の食塩摂取量の平均値は 9.8 g(男性 10.7 g 女性 9.1 g)となっている。四半世紀で約27%少なくなった計算になる。
だいぶ減ったな、という印象があるが、目標とされる数値はもっと低い。
最近改正された「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針:健康日本21(第三次):p.27」によれば、7gまでとされている。
自分が一日どれぐらいの食塩を摂っているのかは、意外にわからないものだ。
私の場合、ドイツで外食するとだいたいは塩気が強いと感じる。(検査入院したときに出た食事も)
日本(関東)だとドイツほどではないが、やはり外食や市販のお弁当などは味が濃い印象だ。
暑い季節や運動量の多いとき、また料理によっては多少塩気の効いたほうがおいしく感じることもあるが、概して濃い味を好むほうではないので、一日の摂取量は平均か若干少ないかといったところかと思う。
普段の食事は、和食やイタリアの家庭料理が多い。渡欧した30年前に比べると、こちらで買える日本食材も少しずつ増えていることもあり、和食の割合が増えてきた。
そんななか、朝食はもう長いあいだイタリア(夫の国)の習慣に則って、甘いもの系で軽く済ます。朝食に塩分をほとんど摂らない分、全体の摂取量も減るように思う。
一方、意外な落とし穴は食事のときのパン。意外に塩分が多いと聞く。大量に食べるわけではないが、気をつけておきたいところだ。
だいぶ前にトスカーナ地方を訪れたとき、料理の味つけ全般が濃いなと感じた。でもそのあたりではパンに塩を入れないのが伝統だと知って納得した。白米もまた塩気が入らない。
このあたりはうまくバランスが取られているのだろう。
塩分に限らず、「健康のために」と終始腐心し、結果として大きく偏ってしまうケースも見受けられる。
何事もバランスを見ながら、が大事なのかもしれない。