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流行体感から読み解くサービス未来予測 流行予想シリーズ ~コワーキングスペース編~

私たちは「モノ」や「サービス」を選択する際、「みんなが使っているかどうか」を目安にすることがあります。「みんな」とは果たして誰でしょう?よく考えると極めて曖昧なイメージであり、感覚的なものであることがわかります。しかしその空気が私たちの行動を決める1つの要因になっているのも確かなことです。

本シリーズでは「みんなが使っている」という空気感を頼りに、今と近未来の流行の予想をしてみたいと思います。

14回目は、有料で共同利用ができるワークスペース「コワーキングスペース」を取り上げます。コワーキングスペースは仕事に集中できる、ビジネスチャンスにつながる、事務所を構えるよりコストが低く抑えられるなどのメリットがあります。今回は20~59歳の男女を対象に調査を実施。どのくらい普及しているのかという現状から、これから先の流行がどうなっていくのかを探っていきます。

1. 「コワーキングスペース」の現状と認知度

「コワーキングスペース」とは、個人や企業が共同利用できるワークスペースのこと。利用料金は、定額制(月額)もしくは、利用時間により課金される従量制となっており、月額の場合は5,000円~20,000円前後、時間利用の場合は1日数時間目安で、1,000円前後から利用できます。
通信環境やコピー機などの設備も用意されており、自分で借りて事務所を作るよりも、敷金・家賃などの初期費用やランニングコストを抑えられるのがメリットです。さまざまな人が集まっているため利用者間で交流も図れ、勉強会などのイベントを実施するところもあり、人脈作りや仕事のアイデアにつながることも特徴とされています。

「コワーキングスペース」の現状について20歳以上の男女に調査したところ、主な結果は以下でした。


・コワーキングスペースの認知率は全体で52%

・「知っているし、利用している」という現在利用率は全体で2%

・「知っているし、以前利用していたが、いまは利用していない」という利用経験率は全体で6%


「コワーキングスペース」の認知率は、全体で約5割でした。男女別では、男性が55%、女性が50%とやや男性が高くなりました。
ただし年代別では、男女ともに30~50代より20代のほうがやや高い認知率で、もっとも高いのは20代女性で約6割でした。

「知っているし、利用している」という現在利用率は全体で2%、「知っているし、以前利用していたが、いまは利用していない」を含めた利用経験率は全体で6%となっています。利用経験率は、20代男性が1割超、現在利用率も20代男性で5%と他の層よりもやや高いことがわかります。

2.どのくらいの人が利用していそう?~現在の流行体感~

次に「コワーキングスペース」を利用している人が、現在身の回りにどのくらいいると思うかを想像して答えてもらいました。グラフにある流行体感スコアは、100人中どのくらいの人が利用していそうかをスコアとして算出した数値です。

その結果「コワーキングスペース」の流行体感スコアは全体で「5.0」で、およそ100人に5人が利用しているイメージを持たれていることがわかります。
年代別にみると、男女ともに30~50代よりも20代のほうがやや高めのスコアとなっています。

3.1年後はどうなるか~近未来の流行予想~

次に、「1年後、自分のまわりでどのくらいの人が利用していると思うか」を想像して答えてもらいました。グラフにある流行予想スコアは、100人中どのくらいの人が1年後に利用していそうかを算出した数値です。

「コワーキングスペース」の流行予想スコアは全体で「18.6」で、およそ5人に1人が1年後に利用していそうというイメージでした。現在の流行体感から比較すると、1年後には今の3倍以上浸透しているというイメージになります。男女別では、スコアに大きな差はありませんでした。年代別にみると、男女ともに30~50代に比べて20代のスコアがやや高くなっています。

「コワーキングスペース」を1年後に利用していそう/していなさそうと思う、それぞれの意見をご紹介します。

■流行予想として「半数くらいの人が利用していそう」と思う人の意見

「コワーキングスペースが今より増えれば、もっと手軽に安い価格で利用できるようになると思うから。自分も使うようになるかもしれない」(女性/24歳)

「テレワークの普及により利用者が増えると思ったから」(男性/27歳)

「経費削減やコロナで対面での仕事ができなかった分、交流する場として使用しやすいと感じるから」(男性/30歳)

「それぞれが好きな場所で業務をおこなえるように、今よりなっていくと思うので」(女性/46歳)

「昨年からコロナ禍になり、リモートワークが国や都から推奨され、通勤しなくても仕事ができることに気が付いた。家族旅行でも通勤しなくても、どこにいても仕事ができると思うので」(男性/58歳)

■流行予想として「誰も利用しないであろう」と思う人の意見

「コンプライアンスや機密保持の観点から、コワーキングスペースでの業務を禁止する企業が多いと思う」(男性/27歳)

「利用するような職種や趣味のある人がいないし、そもそもみんなそのようなサービス、スペースがあることを知らないと思う」(女性/34歳)

「自宅の近くにないため、知らない人が多いと思うし、都会にしかないイメージで自分の住んでいる田舎にはなじまない」(男性/37歳)

「コロナウイルスが収束すれば、また、会社等に出勤して仕事すると思うから」(女性/53歳)

4.自分は利用してみたいか?~今後の利用意向~

次に、今後の利用の意向について回答してもらったところ、利用意向がある人の割合(「ぜひ利用してみたいと思う」「機会があれば利用してみたいと思う」の合計)は全体で26%となりました。男女別にみると、女性よりも男性のほうがやや高めの割合となっています。年代別では、男女ともに20代の利用意向が高くなっています。

一方、利用意向がない人の割合(「あまり利用してみたいと思わない」「まったく利用してみたいと思わない」の合計)は、全体で49%でした。「コワーキングスペース」では作業がしづらい、そもそも業務が成り立たないなど、業種や職種によっては利用が難しい人もいるようです。

「コワーキングスペース」の利用意向がある人/ない人、それぞれの意見をご紹介します。

■「利用意向あり」の人の意見

「テレワークやリモート授業の普及により、集中できる場所がほしいから」(男性/21歳)

「利用者同士で交流を持てるところが魅力だと思うから」(女性/23歳)

「オシャレでカフェなどの利用もできるようなコワーキングスペースもあり、使いたいときに使える場所があると、いざというときに便利」(女性/23歳)

「環境を変えて気分をリセットしたい」(男性/27歳)

■「利用意向なし」の人の意見

「家から出るのであれば会社に行くのも変わらない」(女性/32歳)

「お金を使ってまでの必要性を感じないから」(女性/36歳)

「仕事に必要な資料が多すぎて、持って移動するのは現実的ではないから」(男性/39歳)

「自宅でのリモート業務で十分だから」(男性/40歳)

「セキュリティーの問題があるので」(女性/52歳)

5.「コワーキングスペース」は今より3倍以上伸びる!?

ここまでの主な数値をまとめてみました。2021年12月8日時点での「コワーキングスペース」の認知率は約52%、現在利用率は2%でした。

流行体感としては、全体で”およそ100人に5人が利用している”イメージを持たれているようです。そして、今から1年後には、現在の3倍以上である”およそ5人に1人くらいが利用していそう”というイメージを持たれています。

男女年代別にみると、今後の利用意向では、20代女性で他の層よりも高く、4割弱の利用意向があります。また、流行体感スコアや1年後の流行予想スコアでは、男女ともに30~50代に比べて20代がやや高めの結果となりました。

有料で仕事場として活用できるコワーキングスペース。全体で約半数の人が認知しているものの、実際に利用している人は2%と少数派。ただし1年後には、5人に1人くらいが利用しそうなイメージも持たれています。利用者間での交流や、作業に集中できるといったメリットから、利用したいと考えている人も多いようです。一方で、必要性を感じない、自宅でも十分といった意見もありました。業種や職種によっては利用が難しい場合もありますが、コワーキングスペースの利用が今後どのように広がっていくか注目です。

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【調査について】
LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査
調査対象:日本全国の20~59歳男女
実施時期:2021年12月8日~2021年12月13日
有効回収数:1582サンプル
※性別年代構成比を市場にあわせてウェイトバック
※表/グラフ中の数字は小数第一位または第二位を四捨五入しているため、合計しても100%にならなかったり、同じパーセンテージでも見え方が異なったりする場合があります

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