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少数精鋭で、筋肉質。“プロダクトを成長させるデザイン組織”の作り方

こんにちは。LINE NEWS企画チームです。LINE NEWS編集部、LINE校閲チームに続いて、企画チームも、LINE NEWSのプロダクト企画に携わるメンバーやプロダクトにかける思いについて、発信しています。
 
今回も引き続き、LINE NEWSのデザインチームから、橋本建吾さん、JT(Choi Jungtae)さん、金周完(Kim Juwan)さんに話を伺います。テーマは、デザインチーム内の連携とコミュニケーションについて。

橋本建吾(はしもと・けんご)
2010年入社(当時はネイバージャパン)。前職ではアートディレクターとして国内大手企業のWebサイトを数多く手掛ける。入社後はNAVER検索、NAVERまとめのデザインを担当し、LINE NEWSへ。現在はLINE NEWSおよびLINEギフトのクリエイティブを統括する。

JT(Choi・Jungtae)
2011年入社。韓国NAVERの検索室でUI、UXデザインを担当したのち、LINEのグローバルカンパニーにおけるBX(ブランド体験)デザイナーに。日本のLINEに異動し、BX、フィンテックサービス、グローバルブランディングチームを担当。現在はLINE NEWSコンテンツデザインチームのマネージャーを務める。

金周完(Kim・Juwan)
2019年入社。大学を卒業後、フィットネス系企業のWebデザイナーを経て、LINEへ。現在はLINE NEWSのUIデザイン1チームのマネージャーとして、サービス全体のUI、UX、プロダクトのデザイン面でのディレクションを担う。

デザイン組織のあり方次第で、プロダクトの成長スピードが違う

― LINE NEWSが属するポータル & サーチカンパニーのデザイン室はLINE本体のクリエイティブセンターからスピンアウトして、橋本さんが一人で立ち上げた組織だと聞いています。組織をゼロから組み上げてきた背景には、どんな目的、意図があったのでしょうか。
 
橋本:僕はLINEのクリエイティブセンターに在籍していた頃から、当時は企画だった島村武志さん(LINE株式会社 取締役)と一緒にNAVERまとめを始めとするプロダクトを作ってきたんですが、その中で、デザイナーという立場でも、プロダクトのKPIや経営課題、目指すべき数年後の姿といったところまで理解するようになりました。それで、セントラルの組織にいるよりは、よりサービスに近いポジションでプロダクトをエンパワーメントした方がいいなと思うようになって、スピンアウトしたという経緯があります。

橋本:そうすれば、意思決定者の方々と細かいコミュニケーションをすることも容易になりますし、よりクイックな対応もできる。それがプロダクトの成長を後押しする。僕たちのデザイン組織は、デザインでビジネスの成長速度を上げるという大きな目的のもとに立ち上がったチームなんです。僕一人で始めたチームも、今ではコンテンツデザインチームとプロダクトデザインチームの二本柱になり、プロダクトデザインとブランドデザインが一体化できる体制になりました。マネージャーのJTさん、Juwanさんはお二人とも韓国出身ですし、多国籍のメンバーが集まっています。
 
JT:日本、韓国、中国、台湾…。国際色が豊かで、それぞれの国・地域のトレンドや情報を得られる強みを感じています。違うバックグラウンドを持つ仲間だからこそ得られるもの、刺激があって、純粋に楽しいですね。

橋本:そうですね。現在デザイン室は13名の少数精鋭なので、たとえ多国籍のチームだとしても組織の方向性や意思共有に苦労はないのだけれど、先ほどお話しした「プロダクトの成長速度を上げる」という点では、巨大かつスピード感のあるサービスからの要請にクイックに応え、的確に捌いていく必要があります。そうなると、チーム内外での連携、運用をひと工夫しないといけない。

“デザイン開発”という視点で取り入れた“アジャイル”

橋本:さらにLINE NEWSが属するポータル & サーチカンパニーでは、企画からワイヤーフレームを提案されてデザインを進めていくというよりも、企画が実現したいことをコミュニケーションし、それをクイックにビジュアライズ、モックアップに落として、そこから議論を重ねていく、という進め方をすることが多いのも特徴です。つまり、ウォーターフォール的な動きではなく、併走することが求められます。そこで取り入れたのが、アジャイル開発のエッセンス
 
Juwan:特にUIチームでは、通常の案件とは別で広告チームからの依頼が走っているので、各案件が入り組み混乱しがちでした。それでアジャイルの進め方を参考にバックログを作り、全てのプロジェクトを一覧化したんです。スケジュール、優先順位の把握、意思決定のコストはかなり減ってきたかなと思いますね。加えて、スマートシートでの運用も始めています。
 
橋本:スマートシートは、いわゆるWBS(Work Breakdown Structure)。デザイン室全体で抱えているプロジェクトを細かい粒度で全てタスク化して、WBS上でスケジュール管理もしています。

橋本:進行中のタスクを可視化することで、ボトルネックや負荷の分散を調整できますし、全体を俯瞰して次に備えることもできる。デザインも“開発する”と捉えて、開発で活用されている進め方のメリット、エッセンスは積極的に取り入れ、やってみています。あとは、Juwanさんのいるプロダクトデザイン、JTさんのいるコンテンツ(ブランド)デザイン、それぞれのチームでも連携に工夫をしていますよ。

プロダクトデザイン:風通しの良いコミュニケーションが、“有機的なデザインシステム”を作る

ー ではまず、プロダクトデザインチームから、具体的にどんなコミュニケーションで連携をしているのか、教えてください。
 
Juwan:UIデザイン1チームでは、定期的に下記のような場を設け、連携をとっています。

・UI定例(毎週)
・デザインOps(毎週)
・別案件ディスカッション(週2回)
・1 on 1(月1回)
・デザインナレッジ共有会(月1回)

Juwan:特徴的なのは、毎週行っている「デザインOps」。ここでは、メンバーが感じている課題、悩みを気軽に出してもらって、それらに優先順位を決め、改善するにはどうしたらいいかを話し合います。アジャイル開発におけるレトロスペクティブに近いかもしれません。ですが、個々の案件の改善点を話し合うというよりは、より機能するデザインシステムを、メンバーと一緒に構築することが目的です。

Juwan:過去の事例でいうと、「マーケティング施策に関連するUIのデザインをチェックする」という業務。マーケティング企画担当者、デザイン制作担当者、プロダクトデザイナー(LINE NEWS)という3つの部署とのコミュニケーションが負担になっていることが課題で、デザインOpsでは、いったんデザインチームで効率が上がりそうなワークフローを考えることにしました。

Juwan:それから各部署とミーティングを開き、そのワークフローを提案。実際にその通りに2カ月くらい動いてみて、また各部署の担当者たちと集まり意見交換をしました。結果としては、相互のコミュニケーションがシンプルになり、効率が上がったという声が聞けて良かったです。組織が大きくなればなるほど、上手く機能するには風通しの良さが大切だと思いますし、それがいいアウトプットにも繋がると考えています。ユーザーにも、社内の仲間たちにも信頼してもらえるデザインチームに育っていきたいです。

コンテンツデザイン:成長に欠かせないインプットと経験値の獲得で、“しなやかな強いチーム”を作る

ー 一方でコンテンツデザインチームでは、どんなコミュニケーションをとっていますか。
 
JT:私たちが定期的に行っている連携の場は、主にこちらです。

・ビジュアル・トレンド共有会(毎日)
・チーム定例1(毎週)
・チーム定例2(毎週)
・1 on 1(隔週)
・飲み会(ほぼ毎月)

JT:ビジュアル、ひいてはブランドを形作るデザインチームとして、私たちが大切にしているのは、一つの組織として万能に成長すること。得意な領域だけを伸ばし、それぞれ一つのことだけに長けたデザイナーの集団になるのではなく、足りない部分を補い伸ばしながら、誰がどんな案件を受け持っても一定以上のクオリティを安定して維持できる。そんなしなやかな組織を目指しています。

JT:なので、あまり経験のない技術が求められる案件でも積極的に担当してもらい、私がサポートに入って、実際に手を動かしながらコミュニケーションし、経験値を上げていくという進め方をすることが多いです。ただ、私は正解を与える人ではなく、伴走者。私は基本的に、現場の担当者が最高のプロフェッショナルであるという認識ですので、チームメンバーの視点や力が最も効果的に光を放つことができる形で、コーチング・マネージングを心がけています。
 
JT:また、アウトプットの経験を積み重ねるだけでなく、インプットも大事にしています。例えば、毎朝行っている「ビジュアル・トレンド共有会」。デザイナーとして、トレンドをキャッチアップし、インプットすることは大事だと誰もが分かっていると思うんですが、正直、面倒臭いですよね(笑)。ですから、朝、仕事を始める前の一杯のコーヒーのように、気軽に取り組めて、かつ、インプットの時間を習慣づけられるよう、「ビジュアル・トレンド共有会」を行っています。

JT:この共有会では、それぞれが、自分の興味ベースでリサーチし、みんなに共有するんです。もともと自分が興味のあったことに対する知見が深まるし、視野も広げられるいい機会。チームメンバー同士がお互いを知り、理解を深め、意識をすり合わせていくことが、強く、しなやかなチーム作りに繋がると思っています。

プロダクトもデザイナー自身も成長し、磨かれていく組織を目指して

橋本:Juwanさん、JTさんのお話の通り、デザイナーが伸び伸びとパフォーマンスできるようなチームマネージメントを意識して実践しているものの、“居心地のいい場所”だけではいけないと思っていて。例えば、数字への理解。“デザイナー”というとアーティスティックな一面が強調されますが、デザインされたプロダクトはマーケットに出て、その結果が数字に出ます。ビジネスを成功させるためには、ビジネス的な観点とデザインの持っている本質的な価値のバランスをとることがすごく重要。バランスをとるにはセンスがいりますし、自分が良いデザインだと信じてきた“居心地のいい場所”から、一歩出る必要があるかもしれませんよね。
 
橋本:確かに数字には、ニーズやユーザー属性、メッセージ性など様々な要因があります。が、「ユーザーに支持されている」という事実の背景にあるものは何だろう、という問いかけを、プロダクトもデザイナー自身も成長するために考え続けてほしい。この点は、意識して伝えている部分です。そして成長していく中で、個々がプレゼンスを発揮していってほしいなと。
 
JT:「何かを達成したということが大事ではなく、他ではない“この人がやった”部分がバリューだ」と、私がNAVERに在籍していた時に、へジン氏がおっしゃっていた言葉を思い出しますね。大きなサービスの中でデザイナーを務めることは、脱個性が求められることでは決してありませんから。

橋本:そうですね。脱個性化はつまり、均質化、陳腐化していくことにも繋がると考えています。人が使うものは、やっぱり最終的には人が作った方がいいだろう、と僕は思うんですよ。もちろんデザインシステムの良さは取り入れて効率化するんだけれど、プロダクトもデザインする人間も新陳代謝し、さらに強く、筋肉質な組織になって、人間にしかできないものを作り続ける。そんな組織でありたいと思っています。

photo / Keiko Ichihara

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