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君のイヤホンを

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君のイヤホンを その2

「ただいま」、という自分の声がいつもよりも家に響いた、ような気がした。お母さんは普通の反応をしているから気のせいかもしれなかった。まあ、そんなことはどちらでもよく、わたしは階段をかけあがった。
二階の一番奥の自分の部屋、その窓の下に机があり、引き出しがあった。わたしは部屋に入るまでは小走りだった。けれど、カバンを下ろしてからはすこしずつ湧き出す緊張感にひきづられるように、ゆっくり、ゆっくりと机に近

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君のイヤホンを その1

前を行く彼の耳には、それぞれ一条のイヤホンがつながっていた。
たとえその耳が塞がっていなくとも、彼に話しかけることなんてわたしには出来ない。
「でも、、、なんか拒絶されているみたい」
ふと、そう呟いていた。もちろんその声も彼には届いていない。
わたしが彼と出会ったのは中学一年生のときだ。出会った、というか、彼のことを知ったのは。彼は運動ができるのに、男子中学生としてはあるまじきな程に周囲に優しくて

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