見出し画像

自然観察(野山の歩き方)のはなし

今回は小学校の自由研究のヒントになるようなはなしをしたいと思います。

転職を機に愛知に転居して以来、私がよく足を運ぶ場所があります。
そこは自治体や各種団体が協力して自然環境の保護に取り組んでいる地域で、適度に人の手が入っているものの観光開発のそれではなく、あくまで「このエリアに足を踏み入れる人たちの行動を管理し環境を保全するため。」といった印象で、私個人的には非常に気に入っている場所です。

自治体HPや山中の案内板によるとこの辺りには以下のような動植物が生息・自生しているそうです。
・シデコブシ、シラタマホシクサといったこの場所特有の植物
・ギフチョウ、ハッチョウトンボ、ヒメタイコウチといった希少昆虫
・多様な苔類、特にモウセンゴケ(食虫植物)が自生

昆虫好きの私は何といってもギフチョウ、ヒメタイコウチ、ハッチョウトンボが気になります。
いずれも生息環境を選ぶ種のため、私が育った神戸市では幼少期から既に見ることはできず私にとって“図鑑の中の昆虫”の代表格です。
余談ですが、昨春は人生初のギフチョウ観察のために妻や職場の同僚に呆れられるほどこの辺りを歩き回りました💦

あたり一面、歩くたびに水が染み出すほどの湧水湿地


さて、ここからが野山の歩き方の一例(私の場合)になります。
先日の投稿で「インターネットで何でも答えがわかってしまう」と言いましたが、何も悪いことではありません。

試しに「ヒメタイコウチ」を検索すると・・・
 ○ 体調は20mmほど
 ○ タイコウチの一種ではあるが完全な水中生活ではない。
 ○ 水際の草の根元や枯れ葉の間などに潜んでいる。
 ○ 水中生活には適応せず陸上で活動
 ○ 後翅はあるが退化して飛翔できない。
 ○ 4月〜6月に土や苔に産卵する。
珍種とはいうものの、その生態に関する多くの情報が得られましたね。


「こんなに情報が分かってしまっては自由研究にならない!」という声が聞こえてきそうですが、何も心配は要りません。
得られた情報の真偽を1つ1つ実際に確かめていけばいいのです。


私の場合は既に昆虫について予備知識が多少あるので、ヒメタイコウチ探しのフィールドワークに出かける前に以下のような仮説と、確認すべきことを頭の中で準備しました。
 ○ タイコウチは肉食性だから餌となる他の生物が必要なはず。
    → タイコウチの体の構造で歩いて捕食するとなると、その対象は地上性
     で動きの遅い生き物のはず。
 ○ タイコウチである以上、水中生活に特化した体で地上生活に順応している
  はずなので、乾燥には弱いはず。
    → 湿潤な落葉の堆積している場所から探せばいいかな?
 ○ 飛翔できないということは一個体による行動範囲が制限されるから、生まれ
  てから子孫を残して生涯を終えるまで暮らせる環境条件が全て整っている必
  要がある。

ここまで準備できたら、あとはフィールドワークに出かけるのみです!
果たして、ヒメタイコウチは見つかるのか・・・
(ヒメタイコウチは今年の私の観察対象なので、後日報告できるようにが
んばって探します^_^)

このようにして「事前情報」「自己の考察(仮説)」「フィールドワークで実際に目にしたこと」などをノートや画用紙(今の時代はPowerPoint?)にまとめれば立派な自由研究になると思いませんか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?