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CSR・環境報告書の第三者認証を依頼するときに押さえておきたいポイント

TBMでは、企業単位の温室効果ガス可視化のサポートをさせていただく中で、温室効果ガスの削減施策を提案して欲しいなどのニーズに応えたり、可視化後のサポートも行っていますが、意外と多いのが算定の第三者認証を専門機関に頼みたいというニーズです。
新規事業部のメンバーが、第三者認証機関を選定するとき念頭に置いておくポイントについて解説していきます。


第三者認証とは


企業のサステナビリティやCSR、ESG報告の重要性が高まっている中、こうした非財務情報の開示情報の正確性や網羅性を第三者機関にチェック、是正アドバイスを行なってもらう第三者保証を取得することで、情報開示に対する信頼性が高まり、株主や顧客、取引先からの評価向上に繋げられます。

CSR・環境報告書などの非財務情報をチェックする際の国際基準としては、国際会計士連盟の国際監査・保証基準審議会(IAASB)が公表している「ISAE3000」と、英国のNGO、AccountAbilityが公表している「AA1000」などがあります。

それぞれ特徴があり、ISAE3000は、財務審査基準をベースとした内部統制、サステナビリティ、法律および規制の遵守を監査するための規格で従来の財務監査の流れを汲んだもの、AA1000は、CSR活動の評価行為をベースとし、ステークホルダーへのアカウンタビリティ(説明責任)を果たし、さらにその取り組みを向上させることを目的とした新しい考え方によるものと分類できます。

第三者認証の必要性


上記のような第三者認証は、以下の4つの理由で必要とされます。

1 信頼性と透明性の向上:第三者認証を行なうことで透明性の向上は勿論ですが、信頼がある機関から認証を受けることで、顧客や投資家などステークルホルダーに対しての信頼感を高められます。

2 市場競争力の向上:第三者認証を取得しているという企業という形でブランド価値を向上させ競争力強化を得られます。また、顧客は信頼性とセキュリティに配慮した企業やサービスを選ぶ傾向にあり、その面からも競争力の強化を見込めます。

3 業界基準と規制の遵守:第三者認証を受けることで、企業がCSRや環境に対する取り組みに対する業界基準や規制に準拠していることを証明できます。

4 企業担当者の負担軽減:開示(開示内容)に対してルールの変更が頻繁に行なわれる中、企業の担当者がそれを全て把握することは困難です。その部分を専門家の認証を得られることで負担の軽減と安心感を得られます。

第三者認証機関を選定するポイント


第三者認証のサービスを提供している機関は、大手監査法人、会計事務所、ISO審査機関などが行っていますが、費用は300万~1,000万円と高額で、さらに各社からさまざまな価格帯で見積りが出てくることが多く、担当者が戸惑われるケースも多いです。

大手企業で海外での取引なども多い場合は、外国人投資家の厳しい視線がありますので、ネームバリューがある(取り組みを確実に行なうことが大前提ではありますが、海外の投資家が安心します)大手監査法人の下、グローバル対応も行なってもらいながらの第三者認証を受けられるのが良いと考えられます。

予算をそこまで出せない、まずはどういったものかを試したいという場合は、柔軟に応えてくれる機関を探して、面談やメールで質問してみましょう。訪問なしでオンライン上で完結させる、全てをチェックするのではなくランダムチェックで行う、Scope1・2のみで行なう、Scope3の不安な部分をまずはお願いする…などのパターンが想定されます。第三者からの認証をもらうことはもちろん大事ですが、第三者認証を行なうことを意思表示することがまずは大切になり、対外的にも評価を得られますので、大きな見積もり金額が出た時点で断念しないようにご注意ください。

また、機関選定において実績の確認も大きなポイントです。説明ページで実績を公表している会社もあるのでそちらを確認するか、第三者保証をしている会社はHPなどで発表していますので、同業他社がどの機関でやっているか、ベンチマークにしたい会社がどの機関に頼んでいるかを探してみましょう。

スケジュールについては、昨今はニーズも増えていることから認証機関も多忙になっています。なるべく早めに依頼することをお勧めします。認証を依頼する範囲、業種、タイミングなどに応じて1ヵ月ほどで認証を受けられることもありますが、長い場合ですと4か月以上かかることもあります。

第三者認証機関の紹介
▼サスティナビリティ会計事務所
https://www.susa.co.jp/

▼一般社団法人非財務情報保証協会
https://hosyo.org/assurance/

▼デロイトトーマツ
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/audit/solutions/ec/csrreport.html

まとめ


第三者認証を実際に受けるとなると、数値の裏付け資料の取りまとめ提出、工場等の現場でのアポイント調整、現地同行、機関からのインタビュー対応、指摘事項や修正事項があった時の対応などの工数はかかります。その意味で大変な仕事ではありますが、このように認証を受けるための作業を確実に行なうことで、自信をもってステークホルダーに結果を開示できるという結果につながります。是非一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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