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情緒を育んてくれたのも思い出を作ってくれたのも、映画だった

映画にまつわる思い出というと、真っ先に子供時代を思い出す。
私は、生涯で見てきた映画の数がかなり多い方だと思う。その理由は、父が映画好きで年がら年中一緒に見ていたからだ。小学一年生の頃から父とともに大量の物語(映画館、DVD、かなり昔はレーザーディスク…)を楽しむようになった。
特に洋画が多かったので、「物語」「英語」への関心が強い人間に育った。

今日は、映画にまつわる思い出を2つ共有したい。いまだに心に残っているエピソードだ。

「アルマゲドン」で初めて物語に涙する

私が初めて物語に感動し涙したのは、6歳の時に見た「アルマゲドン」である。(以下、エモーショナルにネタバレしますのでご注意を)
今は引退してしまったブルースウィリス演じる主人公ハリーは、小惑星の衝突から地球を救うため宇宙へと向かう。小惑星を核爆弾で炸裂させることで、地球に向かってくる小惑星の軌道を変えるのだ。
そして宇宙に向かう仲間の一人には、ハリーの娘グレースの恋人であるA.J.がいた。

当時は、正直細かいストーリーは理解していなかった。だけど、私が号泣したのは、次のクライマックスのシーンである。

小惑星を核爆弾で炸裂させる役割に、くじ引きでA.J.が選ばれてしまう。すなわちそれは、小惑星とともにA.J.が死ぬことを意味している。震えるA.J.。
するとハリーはA.J.の見送りに来ると見せかけ、彼を無理やり宇宙船に戻し、代わりに自分が小惑星を爆発させる役目を担ったのだ。

え!嘘!え!?ハリーーーーー!

そして爆発させるその瞬間、ハリーの頭に娘グレースの思い出が、幼少期から今に至るまで走馬灯のようにフラッシュバックするのだ。

ハリ―――――――――――――――――――――――!!!!!

6歳の私、号泣。涙が滝のように噴出する初めての体験。
生まれて6年目なのに、なぜだか父親の娘を思う気持ちに盛大に感情移入したことを覚えている。グレースでもA.J.でもない、ハリー。
そして涙していることを父に知られたくなくて、必死に顔を隠し平静を装っていた。(実は父も泣いていたことを数年後に知ることになる)
過去を振り返れば、小説を読んでも映画を見ても、私はなぜだか常に「報われないポジション(たいがい中年or老人)」に感情移入してきた。中年に感情移入する小学生。
現役女子大生の時ですら、小説の「妻に恋をするけど容姿が冴えないがため一切愛してもらえない、優しい中年男性」に感情移入していた。(なんでやねん)
その原体験は、ここに在るのかもしれない。
物語のパワーを感じるばかりだ。


映画館は父とのデートスポット

さて、もう一つの思い出は打って変わってワクワクする気持ちにあふれている。
私が10代の頃、父は仕事が忙しく夜中に帰宅することがザラだった。それでも私は父が好きだった。いや、訂正する。大好きだった。笑
だけど平日はなかなか父と会えない。そんな中、たまに父がいつもより早く仕事を終われるときがあった。そういう時は、私たちはよく近所の映画館のレイトショーに出かけた。

ただ、ひとつ問題があった。レイトショーは、(確か)18歳以下は保護者同伴であっても入場できなかったのだ。

とはいえ時は今から〇〇年前。身分証明書を提出することもなく。
私は精一杯18歳に見える服装と挙動をして(不審)、父の斜め後ろに隠れて受付を済ませ、レイトショーを楽しんでいた。
それは非日常でスリリングな体験だった。
無事に入場できたら父と「ひひひ」と笑い合い、人もまばらな映画館でスナックを食べる。それが楽しくて楽しくて。ほかの家族に比べると父と会える時間が圧倒的に短いことなど気にならないほど、幸せな時間だった。

その映画館はもう何年も前に潰れてしまったけれど、今でも大切な思い出になっている。映画館の特別感は、いともたやすく私を非日常の世界に連れて行ってくれたなぁと懐かしく思う。
昨今は手軽に家で映画を楽しめる。私もサービスに加入している。本当に便利。
だけれども、やっぱり今でも映画館が大好きだ。映画館=ワクワク、と、心の中で方程式ができているから。今でも父との大切な思い出になっている。

私の情緒を育んでくれたのも、父との特別な思い出を作ってくれたのも、映画ないし映画館なのだ。

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