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LILUA
2023年6月3日 18:14
「失礼ながら信長様の計略には綻びが多く生じております。比叡山焼き討ち後、次々と敵対勢力を滅ぼし、本願寺や丹波を抑え、天下静謐の礎を築かれました。そこで武田征伐に於いて信忠様に戦功を立てさせ、親の威光にあやかっている訳ではないと、格の違いを見せつけるおつもりだったのでしょう……。毛利や義昭が秀吉殿に敗れるのも目前。時間は掛かりましたが、思い描かれていた通りに進んだのでは? しかし思わぬ誤算が。
2023年5月25日 20:21
「こちらへ寝返った武田の家臣は、悉く断首せよ! たとえ『先刻、信忠に赦された』と申してもじゃ!」激しく気霜を吐く信長に従い、後陣の信長軍は英姿颯爽と進む。裏切りを繰り返しかねない立場ある者を、迷いなく斬り伏せながら。 本陣の信忠らは、疾風の如く進撃――。勝頼が迎え撃つ新府城の、目前に迫る。しかし、木曾谷敗退による布陣の乱れを立て直せぬままの新府城では、信忠の勢いに恐れをなした家臣が相次い
2023年5月24日 20:11
―1582年― 褥から起き上がり煙管を燻らせる信長を、光秀は寝そべったまま見上げる。シャープな顎先から流れる美しい輪郭を微睡みの中で眺め、憧憬の身を案じた。ふと注がれた切れ長の視線に彼の心臓は跳ね、無垢な想いが口を衝く。「この先何が起きようと、私を信じてくださりますか……」「無論」すぐさま返された言葉に、光秀の迷いは消え去る。 日成らずして、丹波亀山城に駭きし叫号――。「