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『敵は、本能寺にあり!』

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“本能寺の変”には『黒幕』がいた――。 戦国最大のミステリー“本能寺の変”の『真実』と、信長の隠し子が辿る戦乱の世の悲しき運命……。 幾つ屍を越えようとも、歩む道の先には骸の山が…
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#信忠

『敵は、本能寺にあり!』 第二十八話『翳る余徳の眩耀』

『敵は、本能寺にあり!』 第二十八話『翳る余徳の眩耀』

「こちらへ寝返った武田の家臣は、悉く断首せよ! たとえ『先刻、信忠に赦された』と申してもじゃ!」
激しく気霜を吐く信長に従い、後陣の信長軍は英姿颯爽と進む。裏切りを繰り返しかねない立場ある者を、迷いなく斬り伏せながら。

 本陣の信忠らは、疾風の如く進撃――。
勝頼が迎え撃つ新府城の、目前に迫る。
しかし、木曾谷敗退による布陣の乱れを立て直せぬままの新府城では、信忠の勢いに恐れをなした家臣が相次い

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『敵は、本能寺にあり!』 第二十七話『死を以て一分を立てる』

『敵は、本能寺にあり!』 第二十七話『死を以て一分を立てる』

 ―1582年―
 信忠は二歳になる嫡男 三法師と、側室 寿々と共に岐阜城で暮らしていた。
帰蝶の弟であり、信忠の側近となった 利治が、娘の寿々を側室入りさせたのは、三法師の養母とする為だ。
三法師の生母は公にされていないが、言わずもがな信玄の娘 松姫である――。

 信忠と松姫は帰蝶の取り計らいにより、信濃の木曾谷にて逢瀬を重ねていた。
しかし両家の対立により、松姫が岐阜城へ輿入れする事は叶わず

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『敵は、本能寺にあり!』 【最終章『黒幕と真相』】 第二十一話『忠誠の陽の蜂、月に舞う蝶』

『敵は、本能寺にあり!』 【最終章『黒幕と真相』】 第二十一話『忠誠の陽の蜂、月に舞う蝶』

 岐阜城を離れ、琵琶湖の東畔に新しく築いた安土城へ発つ日――。

 家督を継ぎ岐阜城主となった信忠へ、信長は大切にしてきた愛刀 “星切の太刀”を贈る。
秘蔵の名刀は金銀を散りばめた太刀拵えが輝き、凛々しい信忠に良く映えた。

「なんとまぁ立派なお姿――。母の誇りにございます」
養母となり信忠を育て上げた帰蝶の瞳に、精悍な愛息が滲む。
帰蝶は美濃・尾張の統治を任された信忠の側近に、自身の弟 利治を付

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