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そうじゃない。

近所で変質者のニュースがでた。
思い出す出来事が私にはある。

私は幼児の時
数十分、変質者に監禁された。

なぜ連れて行かれたのかは
今はもう覚えてないけど
祖母がよく
『あなたは人をすぐ信用する』
と言っていたのも
こんな出来事が理由としてあったからかも。

監禁からの解放後
何かいけない事が起こった気はしてたので
当日は親には言えなかった。

翌日警察が来て、事が明るみになった。
近所のお姉ちゃんたちが
私が連れて行かれるところを見ていたらしい。

幼児の私は、似顔絵を描いた。
鬼のような似顔絵だった。
母と警察の人は
『ふざけないで描いて』と言ったが
私は、そっくりなのに…と思っていた。

何をされたかの事情聴取。
大人になった今でも何があったか覚えている。
でも当時は全く言えなかった。
いや、言わなかった。
親に聞かれたくないのと
人が経験するには想像を超えるあの光景を
言葉にするのが嫌だったからだと思う。

警察官が帰った後
虐待が日常化してた母は
変質者から逃げなかった私を
いつもと同じ様に責めた。
完璧主義の母は
世間様に恥ずかしい娘の行動を
プライドとして許せなかったんだと思う。
『そんな風に育てた覚えはない!』
そう言って、玄関の外に連れ出された。
彼女なりの自己防衛の言葉だったんだろう。

「こんな風になるつもりはなかったのに」
ただ自分は、いい子ではなくなったと
その時に思ったのは覚えてる。


この時の記憶から解き放たれるのに
数十年かかった。
もしあの時、監禁されず逃げてたら
もしあの時、親に許してもらえてたら
もしあの時、いい子でいられたら…

大人になって子どもと向き合う仕事に就き
この経験が「糧」になってる事に気付いた。

一つの経験者として話せる事がある
私だから寄り添える事がある、と。

この件の全てが受け入れられて
どんな事にも前向きになったわけではない。
でも少しだけ、人の弱さも感じれるし
子どもの苦しみや痛みを知ってる。

強く見えても、そうじゃない人もいる。 
ベストだと思っても、そうじゃない事もある。

愛を持った優しい社会になるよう
私は出会った人には優しく在りたいです。

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#わたしの舞台裏



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