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「空白と準備の3ヶ月」

私は2020年4月に"グロインペイン症候群"と"恥骨疲労骨折"という怪我を患った。

ここまで大きな怪我をするのはサッカー人生で初めてで、こんなにもサッカーと距離を置くこと自体が不思議な感覚だった。

 ドクターからは、「三ヶ月間全ての運動を禁止」と宣告された。さらに、新型コロナウイルスの影響で発令された緊急事態宣言の時期と丸かぶりすることになった。

 チーム練習は活動停止になり、生活の中心であったサッカーをを失った。コロナウイルスで友達とどこかに遊びに行くことすらできない。自主トレーニングすらできない、選手として空白の3ヶ月が始まった。先が真っ暗になった。

 しかし、意外にもへこんだりネガティブになったりはしなかった。むしろ、「怪我でサッカー出来ないんだったら、今しかできないことをやろう、力を注げることにフルコミットしよう。」そんな気持ちに切り替わっていた。普段アプローチしたことのない視点から自問自答を繰り返した。無我夢中でボールを追いかけている日常の生活では気づけないようなことにたくさん触れた。サッカーとそれ以外の生活は本当に密接だなと心の底から感じた。

 自分がサッカー選手として活動していない時間は、誰かがうまくなっている?そんなことは一切考えない。なぜなら考えても無駄な時間だからだ。誰かが上手くなっていようが今現在の自分にはどうすることもできない。このように一つ一つ湧き上がってくる感情を整理整頓した。気持ちはフレッシュになり、自己肯定感が高まった。

怪我が治ったらどうやって活躍する? そのために今必要なことは? じゃあどうやって行動する? そんなことを考えていたら空白どころか、やることだらけの時間だった。

ピッチレベルでは確かに空白の3ヶ月だった。しかし、その空白の画用紙をカラフルに塗りつぶすための材料はこの3ヶ月で手に入れた。準備はできてる、さぁやるぞ。


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