マガジンのカバー画像

NHK大河ドラマ『光る君へ』/『枕草子』

22
2024年放送NHK大河ドラマ『光る君へ』および清少納言『枕草子』について取り上げた記事をまとめています。
運営しているクリエイター

2024年5月の記事一覧

失速する光~「光る君へ」第20回までの総評(2)

失速する光~「光る君へ」第20回までの総評(2)


『枕草子』の読者は多い「光る君へ」制作陣の大きな誤算は、『源氏物語』のみを特別視して、『枕草子』を一段下げて位置づける姿勢を取ったことにも認められる。

NHK出版で発行された「大河ドラマガイド 光る君へ 前編」で大石静先生は次のように述べている。

大石先生自身はそのような感触を抱いても、いざ脚本を執筆する段となったら大切な仕事だから、大人の対応をなさるだろう、あだやおろそかには扱わないだろう

もっとみる
失速する光~「光る君へ」第20回までの総評(1)

失速する光~「光る君へ」第20回までの総評(1)


はじめに&おことわりNHK大河ドラマ「光る君へ」は、2024年5月19日に第20回が放送された。次回の終盤からしばらく、舞台を越前に移す。物語は大きな区切りを迎えた。

そこで、本稿では第20回までを「第一次平安京編」と位置づけて、総評的な意見を書いてみたい。

…と意気込みつつ、大枠を設定した下書きを作っていたが、「こんなはずではなかった」と、正直ぐったり疲れている。ドラマ放送を機に『枕草子』

もっとみる
温泉とほうとう

温泉とほうとう

早くも真夏日が到来している昨今、いささか季節はずれのタイトルをつけてしまったが。
『枕草子』のお話である。

『枕草子』お勧めの名湯?『枕草子』の一部の本には、以下の記述が掲載されている。

現在一般の書店に流通している『枕草子』の本に、この段はない。『枕草子』には”三巻本”と”能因本”という、異なる系統の写本があるがゆえの現象である。

平安時代にはもちろん印刷やコピーの技術はない。書かれた作品

もっとみる
【光る君へ】第19回「放たれた矢」

【光る君へ】第19回「放たれた矢」


はじめにお礼ですSNSを見ていたら、「光る君へ」第17回・第18回についての本noteレビュー記事を紹介している方がいらっしゃった。過分にも、好意的なご感想をいただけていた。

no nameさん、この場を借りてお礼申し上げます。お目に留めてくださりありがとうございました。

平安時代や文学作品についてのわが知識は、はるか遠い昔の受験生時代のままで止まっています。今回大河ドラマで平安時代中期を取

もっとみる
【光る君へ】第18回「岐路」

【光る君へ】第18回「岐路」

今回も簡単に済ませたい。

大石先生や制作統括さんは、道隆一家(中関白家)に何か個人的な恨みでもあるのだろうか?道長を少しでも良く描くために負のバイアスをかけなければならないという固定観念にとらわれすぎていないだろうか?道隆も道長も、当時の貴族の常識に則って政を進めていたはずである。

今回描くべきだったできごと伊周の「皇子を産め」暴言ハラスメントは正視に耐えなかった。前回の道隆は病身で余命いくば

もっとみる
【枕草子】再び、香炉峰の雪

【枕草子】再び、香炉峰の雪


ドラマで作ってくれないのならば「光る君へ」では、『枕草子』のエピソードをあまり取り上げてくれないみたい。宣孝御嶽詣での時は期待したが、あれはまひろにも関わる話だから採用したということなのか。そもそも藤原道隆一家の描き方が雑過ぎ、下げ過ぎと感じる。貴族の傲岸ぶりは道長政権になってからもそう変わらないと思うが…。

嘆いていても詮なきこと。ドラマで作ってくれないのならばnoteで書こう。スキの数など

もっとみる
【光る君へ】第17回「うつろい」

【光る君へ】第17回「うつろい」

長文を書いて、消した。
思うところはいろいろとあるのだが。

かなふみをひとつ作った。
まずは楽しもう。

「ステラnet」のサイトで定子さまが、「もし(井浦)新さんがあんなふうに責めてきたら、自分の記憶を改ざんしそうですね。」と仰せになられていた。

せっかく素敵な役者さんを呼んでいるのに、演じていてそのような思いを強いる脚本って…どうなのよ。

井浦さんにプライベートで「ヴィラン(悪役)の関白

もっとみる