あの頃の空気

失ってしまったものを思って悲しみに暮れる時。
あれがなくなって悲しい、これが出来なくなって悲しい。
この思い出も消えたから悲しい、こんな未来も無くなったから悲しい。
そうやって毎日、毎日、毎日、毎日、空をみながら何度も何度も何度も何度も思っていた。
悲しい理由を何個も何個もあげた。

でも、3ヶ月経って神様に願うものが変わった時、自分が悲しんでいたことがここにあったのか、と驚いた。

そうか。わたし、あの頃の空気を感じるすべを失って悲しいんだ。
幼かった時のあの空の色、幼かった時のあの気持ち。あの空気の匂い。
未来に向かって考え事をしていたのか。
空をみながら歩いていた幼い自分が目に浮かぶ。
自分の心の底にあった幼い時の記憶。

幼い心で感じていたものを思い出すすべをも、あの瞬間に、わたしは無くしたんだ。

だから悲しかったんだ。

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