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「学校行きたくない」という息子を、ひっぱってでも連れていく理由

金曜日。1週間お疲れ様、私。
今週は、元気に「いってきまーす」と一人で登校することがなかった息子。
毎日、8時半過ぎ登校。母同伴。
ちなみに荷物は私が先に持って行って、その後息子をひっぱって行く形式。

荷物だけ持って学校に行くと、同じクラスの子や息子の友だちが声をかけてくれる。
「ケンのお母さんや!」
「ケン、まだ来てないん?」
私はいつの間にか、みんなに顔を覚えられてしまった。


荷物を持って学校に行くと、先生が今日の予定を教えてくれる。
「今日は2限目がプールです」
「今日は1限目から図工でねんどしますよ」
息子が喜びそうな授業について、教えてくれる。
「来れるといいですね」と言って。

私が先に荷物を運ぶことも、息子が毎日遅刻することも、先生は責めたりしない。
それどころか、「ケン君が落ち着くなら、おりがみ持たせてください」なんて言ってくれる。


息子を無理やりひっぱって学校に連れていくと、大概息子はジャングルジムに登る。
ここで、私は学校にヘルプの電話をする。
「すみません。ジャングルジムに登っているので、どなたか先生来ていただけませんか?」

すると大概、主幹先生か支援の先生が来てくれる。
来てくれた先生は、「おい、なにしとるんや。もう学校始まっとるげんぞ。はよ入れま」なんて言わない。
「おはよう。今日も暑いなぁ。またジャングルジム登っとるんか。元気やなぁ」と声をかけてくれる。

そして、しばらく息子に付き合ってくれる。
私も仕事があるので、どうにもならないときは「後はお願いします」と言って帰ってくる。

ジャングルジムから校舎に入った息子は、教頭先生や主幹先生と遊びながら、クールダウンをしているようだ。


息子は、「お母さん、帰らんといてー」「学校行きたくないーーー」と言って泣いて暴れる日もある。
最初は私も辛くて、というか最近まで、息子と一緒に泣いていた。
「なんで息子だけこんなんなんだろう」とか「私の育て方が悪かったのか」とか、いろいろ考えて、泣いていた。
ヘルプで来てくれた先生は何も言わず、ただ、泣いている息子と私を見守ってくれた。

そんな毎日の繰り返し。会社の先輩、学童の先生、スクールカウンセラーの先生、市の児童相談。できるところには全部相談した。
いろんな人に話していたら、私もちょっと気持ちが楽になった。
「お母さんは十分頑張っとるよ」「うちも行き渋りひどかったけど、なんとかそれなりに成長してくれたよ」なんて声をかけてもらった。

「先生との連携が取れてるから大丈夫」とも言われた。
確かに、そうなのだ。
担任の先生は毎日のように、連絡帳に息子の様子を書いて知らせてくれる。
電話がかかってくることもある。

ヘルプで来てくれる主幹先生、支援の先生、教頭先生、保健室の先生。みんな、息子のことを覚えてくれていて「また星野さんか」みたいな顔で迎えてくれる。

先日は主幹先生から「ケン君、おりがみが上手ですね。それと、立体パズルもすぐできてました。1年生でできる子ってなかなかいないんですよ」と言われた。

学校の廊下に貼ってある、七夕飾り。
「みんながたのしく、かしこいくらすになれますように」
息子のクラスの短冊にはそう書いてあった。
「それ、ケンが考えたんやよ」と息子は得意そうに言った。


息子は、学校が嫌なのだ。
それは十分わかっている。
勉強も嫌だし、座っているのも嫌だし、みんなと同じことをしなきゃいけないのも嫌だし、時間通りに動くのも、何もかもが決められた時間割も、嫌なんだろう。
でも、それでも、迎えてくれる先生や友達がいる。
親としては、それが本当にありがたいと思うのだ。

ただ、そんなこと、息子には関係ないのかもしれない。

でも、私は、教室に入って「にじ」を大きな声で歌って楽しそうな息子も見ているし、「たのしくかしこいクラスになれますように」と望む息子も見ている。朝顔の水やりを、自分の分と周りの友だちの分もあげている息子を見ている。「"を"がうまく書けるようになった」と喜ぶ息子を見ている。

辛いけど頑張ってる。
嫌なこともあるけど、ちょっと楽しいこともある。
勉強は嫌いだけど、頑張ったらできるようになったこともある。
それが、学校なんだろうと思う。

いま通っている学校以外、または通常クラス以外の選択肢もあるかもしれない。
それはそれで考えつつ、「今、私が息子を毎日ひっぱってでも連れていけるのは、まわりのサポートがあるからこそなんだな」と気づいたので、忘れないように書き留めておこうと思った次第です。

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