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防音室を作ってみた

音楽をやっている者です。
アパート暮らしをしていた頃に配信したりギターを弾いたりしていたら騒音苦情が来てしまいました。
引越しを期に家族と同居することになりまして、この機会にと念願の防音室をDIYしてみることにしました。

ひとりで作るにあたってネットにあるたくさんのブログや記録などを参考にさせて頂いたので、私も作業工程やかかった経費などをここに残しておこうと思います。
これから防音室を作ろうと思っている方に、何かひとつでもお役に立てたら嬉しいです。

前置き

防音室を作る目的と、達成したいこと

・まずは同居の家族、近隣住民に騒音で迷惑をかけないため。
(ギターの演奏や歌声、配信などの音をできるだけ外に漏らさないよう、万が一漏れてしまってもうるさく感じさせないくらいにしたい。)
・時間帯を気にせず安心して音楽制作や配信をしたい。
(自分の部屋の真上が家族の寝室な上に、電話の話し声も聞き取れてしまいそうなほど床?天井?が薄いので、何としても対策はしたい。)

出来合いの防音室を買えばいいのでは??

・余っている大量の木材を活用したい。(後述)
・低予算かつ、ある程度広さのある空間がほしい。(今回欲しい広さの防音室を既製品で買うと50万くらいしてしまう。)
(サウンドハウスからプラダンの防音室が出ましたね!それでも16万…)
なんでも自分で作ってみたいという好奇心を満たすため。(これが一番大事だったりする。)

きちんとやろうとして調べれば調べるほど大量の情報が出てきて頭がパンクしそうになったので、とにかくもう手を動かしながら考えていくことにしました。(しかし後々つじつま合わせに時間を取られたので、ある程度の設計は大事です。)

間取りと環境


防音室を作る部屋の間取りはこんな感じです。
元おばあちゃんの部屋です。
6畳の和室にくっついている納戸?物置部屋というのか、かつてはタンスなどが置かれていた部屋の一角を選びました。
10年以上も空き部屋だったこともあり床がかなり傷んでいたため、防音室を作る前に一度古い塗装を削り、新しくニスを塗り直してきれいにしました。

床の傷みが激しい
サンダーで古い塗料や汚れをガシガシ削っていく
表面はきれいになったが、よく見ると床が波打っていて怪しげ
踏むとわずかに凹む部分もある

工具と材料について

マキタの10.8V電動ドリルドライバー
掃除機や他の電動工具にも共通のバッテリーが使用できる。

電動ドライバーはあったほうがいいかなと思います。
私が使ったのはマキタの10.8V。スペックはこれで充分だと思います。(そして女性に18Vは少し重たいのです。)
コードレス掃除機やジグソーも共通のバッテリーが使えて重宝しています。

アパート時代に規格材とラブリコで作った棚と机

またアパート時代に2×4や1×4といった規格材で壁一面に棚を作っていたのですが、すべて捨てずにバラして一緒に引っ越ししてきました。
後ほど出てくる会計報告にはこれらの材料費は含まれていません。
そのためゼロから作る場合はその分プラスでかかることになります。


制作

床作り

『防音室は遮音材など重い材料を使うため、床には結構な重量がかかる。』
という情報を見ていた私は、すでに傷んでいる床にかかる負担を考え、床作りから始めていくことにしました。
バラした棚の棚板として使っていた1×4、1×6などがあったのですが、後々反ったりして床材には向かないとの情報も多く、床用に新しく材料を買うことも考えました。しかしそこは実際やってみないとわからんということで棚板を再利用してみることにしました。

健康敷紙と断熱シートを敷いてみる

床板の下には健康敷紙(クラフト紙のような見た目で防虫・防カビ効果があるらしい)と断熱シート(100円ショップで購入)を敷きました。
あとは棚板を床のサイズに合わせて切り、敷き詰めていきます。

床を敷きおわったところ

なかなか好みの見た目に仕上がりました。床が変わると部屋の印象がガラッと変わりますね。

幅木の幅を調節

天井と床で幅木の厚みが違ったので、床板を押さえる目的と後の作業のために小さな角材を打ち込みました。

柱を立てる

ラブリコという2×4の規格材を突っ張り棒化できる大変便利な製品があります。アパートから解体してきたこちらを使って、まずは柱を立てていきます。
ひとりで作業するにあたって壁同士をつなげて建てていく方法は無理があると思ったので、まずしっかりした柱を立て、枠組みから作っていくことにしました。

2×4の柱を建てていく

遮音シートを貼る

アパート時代に騒音苦情が来た際、対策としてスポンジ状の吸音材を壁に貼ったりしていたのですが、防音について調べていくうちにそれではあまり意味がないことが判明しました。
どうやら防音とは
【吸音】+【遮音】
がセットになって、はじめて成立するものらしいです。
遮音材もいろいろあるようです。石膏ボードを使うパターンもよく見かけましたが、ひとりでの運搬が大変そうなのと、捨てる時に産業廃棄物扱いになってしまい色々と面倒なので今回は却下しました。

検討した結果、遮音シートというものが1番安く手頃で扱いやすそうだと思ったので購入しました。

遮音シート(10メートル、2500円ほど)

防音は重量が大事であるというのをここで実感しました。とにかく重い。ゴム状のシートがギュッと巻かれていてずっしりきます。
ギリギリひとりで持てましたが力のない女性や腰を痛めている人にはちょっと大変かもしれません。

遮音材をどこに貼っていくか

遮音材をどこに貼るかも迷いました。もともとある部屋の壁に直接貼るパターン①にするのか、それとも立てた柱を利用して内壁を作り、そこに貼っていくパターン②か。
②の方が防音性能は高そうですが、予算、手間、広さなどを考慮しパターン①を採用しました。

ガンタッカー
柱の裏側にも隙間なく貼っていく

天井の高さを決め、それを少し上回る長さに遮音シートをカットして貼っていきます。
ひとりだと片手でシートを持ってお腹などで壁におさえつけながらガンタッカーを打っていくのですが、重たいし地味に大変です。

ぐるっと壁一面に貼ったところ、部屋の反響が少し抑えられている感じがありました。これは期待できそうです。

ドアを作る

開口部をなるべく小さくする

ドアを作っていきます。隙間があっては意味がないので慎重に。まずは開口部の寸法を決め、ピッタリサイズの扉を作ります。あまりドアが大きいと設置や防音が大変になると思ったので、屈んで入る感じの高さにしました。小さいドアは慣れないと頭をぶつけますが、秘密基地感があります。


蝶番の厚み分を削る
地味に疲れる
もちろん扉にも遮音シートを貼る


無事に取り付けできました
ちゃんと閉まって安心しました

番外編:買い出し

さて、木材の買い出しに軽のバンでもあれば楽だったのでしょうが、コンパクトカーでなんとかしようとすると大変なことになります。
ホームセンターによっては軽トラックの貸し出しもあると思いますので、そちらを利用することをオススメします…

マネしないでください…

色々と悩みましたが5.5ミリ厚のヒノキ合板を使ってみることにしました。
ヒノキにしたのはお風呂みたいでリラックス効果がありそうだなと思ったからです。
水にも強いらしいので、湿気にも良さそうと思いました。

天井づくり

ドアの取り付けもでき壁面と床面はなんとかなりましたので、いよいよ天井に取り掛かっていきたいと思います。


梁を1本渡しました


天井にも遮音材を貼ります
当たり前だけど天井つけたら中は暗くなる

一気に秘密基地感が増しました。ワクワクします。

吸音材と内壁づくり

遮音対策はできたので、次は吸音対策をしていきます。
吸音材もいろいろあります。フワフワしてたり、スポンジ状だったり、毛布とか絨毯にも多少の吸音効果はあるようです。(そして穴の沢山あいた有孔ボードに吸音の効果があることもはじめて知りました。学校の音楽室の壁とか有孔ボードだった気がする。)

色々検討した結果、断熱材のグラスウールを使ってみることにしました。


断熱材を買う日が来るとは思いませんでした


開けたらすごいボリュームになりました。これは吸音してくれそう。


半分に切って切り口を新聞紙で保護してみます

グラスウールについていろいろ調べると、ガラス繊維でできているのでチクチクして大変などと書かれているので、おっかなびっくり手袋をして慎重に作業を進めましたが意外と大丈夫でした。
1枚1枚フワフワのグラスウールがビニールに包まれています。このビニールのまま付けていきますが、長いので半分に切って、繊維が飛び出さないように切り口は新聞紙で保護しました。


大変過ぎてこれしか写真が撮れてない

先ほどの吸音材の上からヒノキの合板を貼っていきます。

サイズが合うように切ってもらったはずが数センチ大きくてぴったりハマらない…という事態が発生し、ジグソーで(まっすぐ切るのが難しい)180センチの直線カットをしたりと、きちんと設計せず見切り発車した自分を恨んだりしましたが、なんとか四方の壁を覆うことができました。

細かい部分を詰めていく

ドアをガッチリ締めるにはどうしたらいいものか…と悩みました。
音楽スタジオのドアみたいなレバーハンドル?調べたらすごく高価でした。

そんな中、中華料理屋でご飯を食べ、お手洗いを借りた際に素晴らしいヒントを得ました。


ぬらりっチではない


ドリルで穴あけ


これを上下に取り付けた

どうでしょうか、なかなかいいかと思われます。


何度も開け閉めすると木に負担がかかるので穴を保護


余った木材でドアに取手を付けました。ビスを打ったらちょっと割れてしまった。


ひたすら孔を開けまくった自作有孔ボードでドアの内側を作る。

ドアのロックや内側をつくったり、カーテンを付けたり、隙間をうめたり…細かい部分を作っていきます。


余った木材で机も自作

完成!


感無量

そしてとうとう完成しました!
女手一つで大変な作業もありましたが、防音効果と天秤にかけて素材選びを工夫したらなんとかなりました。
ドアを閉めるとシーンと静寂が訪れ、とても落ち着きます。
作ってみて本当によかったです。
完璧な防音とはいきませんが、アコギを弾いて歌っても二階ではほとんど聞き取れません。
当初の目的は達成できたと思われます!

経費など

さて気になるのがどのくらいお金がかかったかというところだと思います。
今回柱と床は手持ちの木材を使用したため、その分の2×4と1×4はお金がかかっていません。
木材が高騰する直前に板などを調達できたこともあり、いま同じものを作ろうとすると少し高くなるかもしれません。
それも踏まえて参考にしていただけたらと思います。

完成してみたらこんな感じの構造になりました。

あまりにも下手な図

内訳

①内壁+天井(5.5mmヒノキ合板) 9枚
1,078円×9=9,702円

②遮音シート 約1ロール半
3,250円×1.5=4,875円

③グラスウール 1パック
3,025円

④枠組・梁用角材(30×40×1820mm 杉野縁)21本
294×21=6,174円

⑤蝶番(2個セット)
437円

⑥ドアロック用金具(ヌリラッチ)
272円×2=544円

⑦隙間テープ(ドア用)
110円×2=220円

⑧木材カット加工代 11回
50円×11=550円

⑨吸音材(スポンジ状)12枚入り
2,599円

①から⑨の合計=28,126円

参考:2×4と1×4も購入していた場合


❶2×4材(8F=2438mm) 5本
1本あたり約1000円として 5,000円

❷1×4材(6F=1820mm ) 12本
1本あたり約400円として 4,800円

❸それぞれ天井や床の大きさにぴったり加工するカット代
50円×17本=850円

❶から❸の合計10,650円

①〜⑨と❶〜❸の合計=38,766円

その他ビスなどの消耗品、細かいものを含めても4万円程度には収まるのではないでしょうか?
これは市販の完成品防音室に比べると破格です。

終わりに

防音室づくりは手間と時間はかかりますが、音楽好きでDIYが好きな方に、これほど趣味と実益を兼ねた制作物はほかに見当たりません。
一家に一台、手作り防音室はいかがでしょうか?

追記

この防音室が完成したのは1月あたりですが、夏になったら(当たり前ですが)めちゃくちゃ暑くなりました。
室温は32度になり、中にいると人間は熱中症になりそうだしパソコンも熱暴走します。

というわけで次回は、『暑すぎる防音室に換気扇つけてみた編』をお送りしたいと思います。


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