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研究していることを、実生活にも応用してみたい

僕は現在、修士1年で、物性物理(物質の性質)を理論的に研究しています。

今、勉強しているのは量子多体系、または強相関電子系とよばれるもの。

以前に、自分の研究テーマについて書いていたので、リンクを貼っておきます。


ここで量子多体系について、ざっくり説明しておきます。

量子多体系では、物質内のたくさんの電子が強く相互作用します。

多数の電子が影響を及ばし合うので「多体」という言葉が使われていて、それを量子力学を用いて記述するので、量子多体系とよばれています。


「そんな話は興味ねぇんだよ。」と思われたかもしれません。

わかります。

僕も、今研究していることを、実生活で直接活かす場面はないので、勉強するモチベーションが、湧かないときがあります。

でも、直接は活かせなくても、物事を考えるときに、多体系の知識が役立つのではないかと感じています。

知識を定着化させることも兼ねて、これまで勉強した多体系の話を人間社会にも、適用して考えてみようと思います。




多体系と人間って同じ?

多体系を昔から研究している方に比べれば、僕の知識はまだまだ浅いですが、僕は多体系と人間社会がとても似ていて、面白いと個人的に思っています。

人間って、たくさんの人と関わり合って、生きていますよね。

僕のような超内向的な人間は、ひとりでいる時間も多いですが、人間は誰とも関わり合わずに、生きていくことはできません。

つまり、人間はたくさんの人と相互作用していると、考えることができます。


ネットの世界でも、そう。

わたしたちはSNSなどで、たくさんの人から情報を受け取ったり、逆に自分が発信したりしています。

世界中で、いろんな人たちがネットを通じて、お互いに影響を及ばし合っています。

まさに、多体系の話が人間社会にも当てはまりそう。




フィードバックという考え方

そんな人間社会にも適用できそうな多体系の話ですが、今まで勉強した中では、フィードバックの考え方が面白いなと思っています。

フィードバックは、いろんな分野で使われている用語です。

多体系では、正のフィードバックと負のフィードバックがあります。(これは、他の分野でも同じなのかな。)


正のフィードバック

正のフィードバックとは、相互作用することで状態が変化して、その変化した状態で相互作用することで、もっと状態が変化していく様子のことです。

 正のフィードバックの概念図

たくさんのものが、影響を及ぼし合う。
        ↓
及ぼし合った結果、状態が変わる。
        ↓
この状態で相互作用すると、さらに変化が大きくなる。

このループを繰り返すのが、正のフィードバックです。


僕はビジネスやアーティストの曲などで、この正のフィードバックが当てはまると思います。

具体的な例を挙げると、Google。

今や、知らない人がほとんどいない企業だと思います。

検索エンジンは使う人が増えれば増えるほど、性能が良くなっていきます。

そして、性能が良くなれば良くなるほど、使う人が増えていきます。

この正のフィードバックによって、現代では、ほとんどの人がGoogleを使って、検索を行なっています。「ググれ」なんて言葉も、あるぐらいですしね。


アーティストの曲も、そうだと思います

YouTubeやSNSで、たくさんの人に拡散されて、そのアーティストの評判や人気は高まります。

評判や人気が高まると、それによってさらに、より多くの人がそのアーティストの曲を聴くという状態になります。

みんながいいと言っている曲は、素晴らしいに違いないと思う効果も、あると思います。もちろん、その曲が素晴らしいことは言うまでもないですが。

これは、以前まとめた「予測の効果」と関係する内容だと思います。



負のフィードバック

反対に負のフィードバックは、相互作用して状態が変化した時に、その状態が変化を小さくするように、影響を及ばし合う様子のことです。

負のフィードバックの概念図

たくさんのものが、影響を及ぼし合う。
        ↓
及ぼし合った結果、状態が変わる。
        ↓
この状態で相互作用することで、変化が小さくなっていく。

このループを繰り返すのが、負のフィードバックです。


先ほど、正のフィードバックの例として、ビジネスやアーティストのことを話しましたが、これらの業界では、負のフィードバックもあります。

ビジネスでいうと、ある企業が業績を上げて、力を伸ばしてきたときに、他の企業も負けないように競争することで、それぞれの企業の持つ力は、相殺されることも考えられます。

つまり、正のフィードバックになるか、負のフィードバックになるかは、そのときの状況によって変わる。


株価の変動なんかも、そう。

株価の動きは、ランダムだ。ランダムウォークと呼ばれたりする。

でも、何かのきっかけで、正のフィードバックに入って、株価が上がることがある。

ここで、負のフィードバックに入ると、株価は下がって落ち着くが、正のフィードバックに入ると、さらに株価が上がっていく。

正のフィードバックに入り続けて、株価が上がりまくった結果起こるのが、バブルだ。

バブルが崩壊するという負のフィードバックに入るまで、株価は上がりまくっていく。リーマンショックとかも同じ。




まとめ

たくさんのものが、相互作用する多体系の話を、人間社会にも、当てはめて考えてみました。

今回はフィードバックという観点から、人間社会がどう変化するのかについて、みてきた。

物理の知識は直接活かそうとしたら難しいけど、人間に置き換えて考えてみると、面白いと感じています。あと、勉強のモチベーションも出る。

物理に限らず、他の分野の知識や経験もそうだと思う。

いろんなところに応用してみることで、面白いアイデアがいっぱい出てきそう。

だから、「こんなん勉強してなんの意味があるの?」なんて思わず、どっかで活きるかもしれないと思って、たくさんのことを学んでいきたい。

おばあちゃんも、人生は一生勉強って言ってたもんな。


これからも多体系の研究をしていくけど、今回の記事みたいに物理の知識を、人間社会に例えるとどうなるか、また考えてみたい。

他に物理以外にも読書で得た知識を、実体験に当てはめて書いたりもしています。

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