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【ニュースで学ぶESG用語#17】「ステークホルダー」とは?

1. 用語解説

そもそも、「ステークホルダー」とはどのような定義で使われているのでしょうか。いくつかのサイトでの定義をまとめてみました。

ステークホルダー(Stakeholder)とは、ある企業の意思決定や活動に関わる全ての利害関係者のことです。金銭的な利害関係をもつ株主などの投資家や顧客だけでなく、従業員・債権者・取引先・地域社会などを含み、広義には社会全般を意味します

このように広域にわたるステークホルダーは、あらゆる面において企業の意思決定や活動に関わり、各ステークホルダーの利害や関心事項は企業自身の業績や活動自体に重大な影響を及ぼすため、企業にとってはステークホルダーのニーズを把握することが非常に重要となります。そこで企業は、彼らの意見を意思決定や活動に反映するために、ステークホルダー・エンゲージメントを実施しています。

Sustainable Japan

2020年1月のダボス会議(世界経済フォーラム)の主題となった、ステークホルダー資本主義。これは、企業は株主の利益を第一とするべしという「株主資本主義」とは違い、企業が従業員や、取引先、顧客、地域社会といったあらゆるステークホルダーの利益に配慮すべきという考え方である。

具体的には、環境破壊の防止や、企業がオフィスを構える地域社会への投資、従業員への公正な賃金の支払い、労働者間の格差の是正、適切な納税などが求められている。

IDEAS FOR GOOD

2. ニュース・記事でどのように使われるか

それでは、「ステークホルダー」という言葉が実際のニュースや記事でどのように使用されているのか、いくつか見ていきましょう。

2019年には日本にものすごく大きな台風(台風19号)が来ましたね。その損害額は国土交通省の発表によれば約1兆8600億円だと言われています。そういうことがしょっちゅう起これば、日本経済は危うくなります。長期での気候変動対策は、日本全体の経済を安定させるためにも必要なんです。

 個人投資家なら、気候変動の影響を受けないような企業だけを選んで投資することもできます。しかし、日本の国民年金全体を扱うような場合、多くの企業に分散して投資しなければいけません。それは債券投資でも同様です。長期に安定する経済を実現するには、長期で安定する社会や環境が必要になりますから、ESG投資が重要なのです。ESG経営は、そのような投資家の声に応えるためにあるものと考えられます。

 このときに、コーポレートガバナンス・コードの基本原則2「株主以外のステークホルダーとの適切な協働」が関係してきます。

 株主にとっても長期で考えれば考えるほど、株主以外のステークホルダーが大切な存在になります。環境だけでなく、取引先、従業員、自治体など、いろいろなステークホルダーと共に発展していかなければ、長期の経済発展や会社の成長はないからです。

 そのような流れのなかで2019年に、米国の大企業が加盟するビジネスラウンドテーブルにおいて、「ステークホルダー資本主義」が提唱されました。

BIZ ZINE

企業コンサルティング会社EYとオックスフォード・アナルティカがこのほど共同で発表した「サステナビリティ情報エコシステムの出現(The emerging sustainability information ecosystems)」レポートが、企業による環境・社会・ガバナンス(ESG)への投資および報告は、存在意義を問われる問題に直面し、インフレ進行とウクライナ情勢によって問題がさらに難しくなっていることを指摘している。

このレポートでは、ESGの信頼性と成功を揺るがす重大な問題のひとつとしてグリーンウォッシング(環境配慮をしているように装いごまかすこと)が増加していると言及。ESGの取り組みをステークホルダーに認めてもらうためには、サステナビリティ・エコシステムに携わる多くの関係者が責任を持ってこうした問題に対処し、ESGに対する信頼性を高めていく必要があるとしている。

トラベルボイス


用語の意味を理解したうえで、実際のニュースや記事を読んでみると、また違った視点から新たな発見が見えてくるのではないでしょうか。

それではまた、次の用語解説でお会いいたしましょう。

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