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息子と発達検査

僕は聖教新聞に勤めて16年目の記者です。妻、小学1年の息子、幼稚園年少の娘と4人で暮らしています。2019年に第2子が誕生し、翌年にはコロナ禍のステイホームを経験して、子育てにもっと関わりたいと思うようになりました。そうした中、長男が「幼稚園に行きたくない」と宣言。小学校に入学してからも、学校に行ったり行かなかったりという今に至ります。家族と歩む中で、僕自身もメンタルヘルスを崩したり、部署を異動したり、いろいろなことを経験しました。それは、今も現在進行形で、僕という人間を大きく育ててくれています。そんなわけで、「育自」日記として、思い出を含めて書いていきたいと思います。

検査結果を、生かせるように

「発達の凸凹」という言葉を聞いた時から、発達検査のことは、いつも頭の片隅にありました。
※息子の「発達の凸凹」について聞いた際の思い出はこちらに ↓

息子が小学校に入学して1カ月ほどが過ぎた5月、担任の先生と、養護教諭の先生も交えた個別面談があり、「発達検査を受けてみてはいかがでしょうか」との提案を受けました。〝(息子の)得意・不得意を知ることで、学校としても、より適切に関わっていく手掛かりになれば〟とのこと。

〝必要があれば、息子に発達検査を受けてもらおう〟

かねてから、そう考えてはいたので、背中を押してもらう契機となりました。
面談の際、〝最近は、どこも検査の予約がいっぱいで、順番待ちになる〟と聞いたのですが、僕が電話をかけたクリニックもその例にもれず、6月に予約を入れた段階で、ドクターの診察(検査を受けるべきかどうかの判断)は7月、さらに検査の実施は10月という混み具合でした。

ただ、小学校での個別面談から検査までの5カ月間は、僕たち親子にとって〝いい準備期間〟となりました。

発達検査にはいくつかの種類があり、息子が受けたのは、WISC-Ⅴ(ウィスク・ファイブ)という検査でした。

〝臨床心理士と息子が1対1で、60分~90分程度かけて行う〟と説明を受けたのですが、親のそばを離れ難い〝分離不安〟のある息子が、1人で検査を受けられるかどうか、まず不透明でした。

結果的には、約75分間、1人で検査を受け切りました。親子分離の最長記録です。小学校入学から半年、日々の積み重ねの中で、息子が成長していることを感じました。(検査結果を聞く前から〝息子、よく頑張った〟と、妻と一緒にほめまくり、検査の帰りにコンビニで好物の唐揚げを買って食べました)

そして、僕にとっては、夏休みを含めて息子の勉強や行動をじっくりと見守れたことが、その後に聞く検査結果の受け止め方を、より一層スムーズにしてくれたと思います。

検査から2週間後、結果を聞くためクリニックに伺い、臨床心理士とドクターのそれぞれから、説明を受けました。

臨床心理士の話は、次のような趣旨でした。

今回の検査では、本人の得意・不得意が分かるのと、各指標のIQ(知能指数)も分かるようになっています。息子さんの場合は、まず、全般的な知的発達水準(全検査IQ)の数値が、「平均の下」あたりになっています。

各指標ごとに見ると、物の形や位置関係を目で理解する「視空間」、目で見た情報から推測したり周りの状況を理解する「流動性推理」、言われたことを一時的に覚えておく記憶の力である「ワーキングメモリー」の3つも、「平均の下」です。

最も高い値が出たのが「言語理解」で、最も低い値だったのが〝手際や要領の良さ〟を表す「処理速度」でした。この2つの差がかなり大きく出ているので、そこに留意してほしいと思います。

息子さんの場合、頭の中では分かっているんだけど、思ったようにうまくいかないという、もどかしさを感じることがあるかもしれません。

例えば学校等では、言葉がよく理解できるので大人からは〝できる〟と思われがちですが、実際はゆっくりしていて、そのギャップのために怒られてしまうかもしれません。そうした場合には、本人のやる気がないわけでも、サボっているわけでもないということを、周りに分かってもらう必要があります。

そして、以下のような支援や環境の整備を例示してくれました。

  • 何かに取り組む際は、ゆっくり時間をかけ、一度に取り組む量を少なくする

  • 目で見て考える学習の際は、言葉(耳で聞くこと)で説明したり、注目すべき箇所を具体的に示す

  • 学習や活動の際、終わりの問題や時間を明示してあげる

  • 興味や好きなものを用いて、じっくりと考え、〝できた〟という気持ちを育てていく

話を聞きながら、息子と過ごしてきた日々の〝答え合わせ〟をしてもらっているような感覚になり、ほっとしました。

息子と出掛けた休日に

続いて検査結果を踏まえ、ドクターが、僕からの質問への回答も交えながら、このように説明してくれました。


〝一番低いところ(処理速度)を良くさせようとか、平均にさせようとかいうことは、ゆめゆめ、思わないでください。各指標の全部を通して、 1 つの個性です。社会に出るに当たって、こうした特性があるから、どうするかという話。できないところというのは、皆さんにあるわけです〟

〝自己肯定感を育むために、ゆっくり歩める、息子さんのペースが守れるようなところ。そういう環境を整えてあげてほしい〟

〝方法として、特別支援教育制度も利用していいと思います。特別支援教育とフリースクールとの併用もあっていい〟

〝もっと言えば、どの種類の学校・学級かを問わず、良き先生と巡り合えたらいいんです。その出会いを待ちつつ、進級・進学など、状況の変化に対応していってください〟

〝今回、発達障害の診断はしません。今の段階で診断が付いても、デメリットの方が大きい。診断が付くと、周囲は、すぐそういう「ラベル」で子どもを見てしまいますから〟

〝分離不安を心配されていますが、自己肯定感が育まれれば、自然と離れていきます。男の子の場合は、だいたい10歳が目安。そこまでをめどに、環境を整えてあげてください〟

〝今後、定期的な通院は必要ありません。あとは教育、人との出会いです。今回の検査結果を元に、環境を整え、見守ってあげてください。同時に、心配のあまり、先回りして手をかけすぎない(過保護になりすぎない)ことにも留意して。環境を整えることと、子どもさんがいろいろな経験をすること。そのバランスが大切です〟


全ての説明を聞き終え、ドクターの方針に深い共感を覚えました。そして決意しました。

〝検査結果を、生かせる親になっていこう〟

2学期を終えた今、息子とは学校のカリキュラム通りにとはいきませんが、ちょっとずつ、彼のペースで一緒に学習をしています。

そもそも勉強が嫌いな息子は、さらに知恵が付いて、「おれはいま、はんこうき(反抗期)だから」とか、なんやかやと口答えするようになってきました。
そんな時は、僕も「わがまま言ってるだけでしょ!」と半ば本気で怒ります。

そんなやり取りを重ねながらも、〝息子が10歳になる未来へ、1日1日を大切にしていきたい〟と思っています。

(つづく)

聖教新聞の記者たちによる〝井戸端会議〟第2回。多様な親の思いを、お聞きください ↓

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