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変化のきっかけをくれた娘

僕は聖教新聞に勤めて16年目の記者です。妻、小学1年の息子、幼稚園年少の娘と4人で暮らしています。2019年に第2子が誕生し、翌年にはコロナ禍のステイホームを経験して、子育てにもっと関わりたいと思うようになりました。そうした中、長男が「幼稚園に行きたくない」と宣言。小学校に入学してからも、学校に行ったり行かなかったりという今に至ります。家族と歩む中で、僕自身もメンタルヘルスを崩したり、部署を異動したり、いろいろなことを経験しました。それは、今も現在進行形で、僕という人間を大きく育ててくれています。そんなわけで、「育自」日記として、思い出を含めて書いていきたいと思います。

「パパ、だいすき」と言ってくれることに

今回は「第0話」として、娘(第2子)との思い出を書きたいと思います。息子との歩みが印象に残りがちですが、娘の誕生は、僕に父親としての〝変化のきっかけ〟を与えてくれました。

娘が誕生したのは、2019年11月中旬の早朝でした。産気づいた妻を夜中に病院へ送り、息子を預けていた僕の実家に戻って仮眠していたところ、〝予想に反して〟数時間後に生まれてきてくれました。(息子の時は、陣痛と入院から出産まで約20時間かかったこともあり、もう少し時間がかかるものと見込んでいました)

長男の時は立ち会い出産をしたのに、それがかなわず、妻と娘に申し訳ない気持ちになりました。ただ、落ち込んでいる暇もなく、妻は産後5日間の入院期間に入りました。第1子の息子の時は妻が里帰り出産をしましたが、今度は里帰りを見送ったので、僕の実家の助けも借りながら、息子との〝2人暮らし〟が始まりました。

2019年秋、息子と一緒に娘と対面

〝1週間では短すぎる。1カ月では職場に戻ってこられない気がして、2週間にしました〟

これは、2019年当時、一般紙の記者が〝育休を取ってみた〟という趣旨で書いた記事の冒頭の内容です。(記事を読んだ僕の記憶なので、一言一句まで正確ではありませんが、娘が生まれる直前のことだったので、〝分かる、分かるなあ〟と思ったことを、よく覚えています)

この記者の人と似た感覚で、僕も娘の誕生に合わせ、2週間の休みを取りました。2023年現在、子育てに励むパパたちの意識からすると、短い期間だと思う人もいるかもしれません。当時の僕はバリバリの〝仕事人間〟で、月に数回は一人でリュックを背負って全国へ取材に行き、息子と2人で過ごす時間が少ないことも、当たり前のように感じていました。

そんな僕が、当時3歳の息子と2人きりになっても、なかなか、うまくはいきません。
ママと離れて泣き続ける息子を連れて、中古リサイクルショップで電車のおもちゃを買い、ファストフード店でおもちゃ付きのお子さまセットを買い、ドラッグストアでバスボム(なかに小さなおもちゃが入っているボール型の入浴剤)を買い、息子の気持ちを盛り上げようとしました。

毎日、入院中の妻を見舞うことで、息子もつかの間、安心します。でもまた夜には、寂しくて泣き叫ぶ。息子の頭をなでながら、「パパも泣きたいよー」と思わず本音がポロリ。泣き疲れて眠る息子を見届けて、僕も眠りに落ちました。

ところで、妻の退院前日には、僕の住む地域の創価学会の男子部の会合があり、地域の責任者である「区男子部長」として、抱負を述べることになっていました。

2019年秋、会合で息子を抱きながら話す僕

当時は前任の人から役務を引き継いで間もない頃。その会合は、僕の他にも多くの人が役割を交代して参加する〝交代式〟の意味合いがあり、参加者の大半がスーツ姿で来る予定でした。
フォーマルな雰囲気の場ではありますが、男子部の先輩が「これからの時代は、お子さんを連れて来ることが当たり前だから、明るく楽しく自然に話してね」と言ってくれたので、息子と一緒に会合に参加し、仲間の前で抱負を述べました。

その原稿さえ、育児で書く時間がなく、会合の数時間前に、たまたま昼寝をしてくれた〝息子の目を盗んで〟書きました。でも、内容としては、いま見ても、僕の気持ちというか、決意を、正確に表していると思います。一部になりますが、以下のような内容でした。

私事ですが、つい先日、第2子の娘が生まれました。この5日間は、息子と朝から晩まで一緒にいます。息子は3歳ですが、今までの不足を補うように、パパやってます。
 
皆さまの中には、私以上に家庭に尽力している方がいると思います。
仕事が苦しい中で踏ん張っている方も、病気や経済苦の中で奮闘している方もいると思います。
その他のさまざまな課題と向き合っている方もいると思います。悩みの有無にかかわらず、人のために何かできたらと思って、学会の活動をしてくれている方もいると思います。
10代後半から40歳過ぎまで、世代の違いも含めて、いろんな背景で生活している男子部の皆さんが、楽しく、信仰の実践ができるよう、私も尽力したいと思います。

私の目標は、子どもと共に自分も成長して、おじいちゃんになっても、青年世代の人たちと一緒に、信仰の実践に励むことです。年老いた自分を想像してみてください。今この時を将来、黄金の青春時代として思い出せるなら、こんなに素晴らしい人生はないと思います。

2週間の休みのうち、妻が無事に退院した後の、残りの9日間のことは、正直よく覚えていません。一生懸命、育児をしたつもりですが、おむつ替えも、もく浴も、あたふたノロノロとして結局役に立たず、90%以上、妻にやらせてしまったように思います。あっという間に時間が過ぎて、また、記者の日常に戻っていきました。

ところが、年が明けて立ち現れたのが、新型コロナウイルスの世界的流行、そして、日本での緊急事態宣言でした。

2020年春、ステイホームが呼びかけられ、自分もテレワークを経験しました。娘は生後5カ月になろうとしていましたが、ここで図らずも、〝育休ふたたび〟の生活をさせてもらうことになりました。

2020年春、ステイホームで娘を抱っこしながら

生後5カ月もすると、娘も〝ママが一番頼りになる〟ことを心得たようで、僕が何かしようとしても、なかなか受け付けてくれません。
唯一、僕ができたことがあるとしたら、泣いている娘をあやすために、〝前向き抱っこ〟ができる抱っこひもを購入したことくらいでしょうか。
これにより、大好きなママを見たまま、僕が抱っこをすることが可能となりました。

あとは、外出自粛が呼びかけられる中、家族を代表して買い物にいく〝ウーバーお父さん〟となって、あっちの店は卵が安いとか、短い時間で複数軒の店を回るにはこのコースがいいとか、〝普段とは違う脳〟を使うようになりました。
生活様式の変化とともに、育児・子育てを、より大切なものとして考えるようになっていったと感じています。

ある時、取材時の雑談で、相手の方が子育ての経験を振り返って、こんな話をしてくれました。

「女の子って、プニプニして、抱っこするとマシュマロみたいでしょう」

男女平等の観点からすると語弊があるかもしれませんが、確かに娘は、すごくプニプニしています。抱いていると、溶けてしまうのではないかと思うくらい柔らかくて、いとおしく感じました。それは第1子の息子でも、間違いなく経験できた感覚のはずですが、それに気づくきっかけが、僕には必要だったのだと思います。
※そうした経験ののちに、息子の幼稚園への行き渋り・不登園が始まりました ↓

2023年秋、子どもたちと散歩へ出かけた際に

価値観の変化のきっかけをくれた娘。しかし、その娘に対しては、心のどこかで、ある種の申し訳なさを感じていました。僕と容姿も性格もよく似ている〝繊細な息子〟にかかりきりで、〝しっかりしている〟ように見える娘のことは、どうしても〝ほったらかし〟になるケースが多かった気がします。

そんな娘も、2023年春から幼稚園の年少になりました。息子とは違うタイプだと思っていましたが、月日が経つにつれ〝似ているところが多々あるな〟と感じるようになりました。

顕著なのは、周りの物や人をよく観察している点です。
先日、僕がメンタルヘルスの好不調の波で、体調が悪い時がありました。子どもには心配をかけたくないと思い、笑顔を心がけていたのですが、娘にこう言われました。

「そのえがおは、ほんとのえがおなの?」

ドキっとしました。〝娘よ、鋭すぎないか?〟とも。思わず苦笑いしてしまいました。
※僕がメンタルヘルスを崩した経験はこちらに ↓

また、周りの物や人をよく観察する分、娘が、疲れやすい気質であることも分かりました。年少の2学期の現在、たまに「ようちえんに、いきたくない」と言うことがあります。

息子に続き〝娘よ、あなたもか!?〟と思いましたが、それこそ、娘にだけ幼稚園に行けと言うのもおかしな話。そうした日は「分かったよー」と言いながら、様子を見ることにしました。〝とにかく本人が笑顔を失わないように〟――それが、妻との共通の思いです。

娘が幼稚園で描いた絵

今のところ、娘は元気です。映画に出てくるプリンセスが大好きで、歌と踊りが大好きで、ネイルや髪留めといったおしゃれが大好き。幼稚園に行きたくないと言う日がありながらも、「すき」とも言っています。
おてんばで、元気が有り余っている分、夜はすぐに寝ない日が増えてきました。そんな時は、僕なりにできることをと考え、結構遅めの時間ではあるのですが、寝付けない娘と、2人でトークすることを始めました。

具体的には、キッチンへ一緒に水を飲みに行ったり、息子にやっている「かいかい」(背中をかくこと)を娘にもしたり、逆に、僕の爪に子ども用のネイルをしてもらったりと、そんなことをしています。

娘は、おしゃべりが好きなので、その間も、何らかの話をしてくれます。それを「そうだねー」というふうに聞くだけなのですが、それが僕にとっても、心地よい。そんなふうにして、ぽけーっと過ごしている時に、娘がこう言ってくれました。

「パパ、だいすき」

つい先日、幼稚園のバス乗り場に送って行った際は、バスに乗り込み出発する時に、初めて娘から僕の方を向き、笑顔で手を振ってくれました。(それまでも妻と交代制でバス乗り場まで送り、「バスがいやなの」という日は直接、園まで送ってもいたのですが、実はバスの中から僕に手を振ってくれたことがなかったのですね。トホホです)

「パパ、だいすき」も、バスから手を振ってくれることも、日常のささいな出来事ですが、僕にとっては、うれしい一歩一歩です。

ところで、息子の小学校生活は、どのようになっていったのでしょうか。
2023年4月には小学校の入学式が行われました。卒園式から息つく間もなく、彼は新たな場に臨みました。

(つづく)

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