あの日のタクシーのはなし。
閲覧ありがとうございます。
今日は、先月、福岡の博多座に観劇に行ったついでに、隣県に遠征しましたが、その時に乗ったタクシーの話しを書いておこうと思います。
あの日は、日本に凄い寒波が来ていて、朝起きたら、全国「アナ雪」状態。アナ雪といえば、エルサはコロナ前から、他人をそばに寄せ付けないソーシャルディスタンスが取れてましたよね。さすが、女王さま。コロナで寝込むわけにはいきません。
あの日は、15時に公演が終わり、夕方に隣県に到着。駅から、宿泊施設に向かうために、タクシーに乗りこみました。
「すみません、○○までお願いします。」
「はい!シートベルトお願いします!」
「あ、はい、(乗ったばかりだからまだしてない)」
「いやー、今日は、寒波でね。調子悪くて、、」
走り出して運転手が話しだしました。
「(体の調子かな)寒いです。びっくりしました」
「病院も、無くてねぇ、、困った困った」
(は??調子悪いなら止めてくれ)
「あ、あの、、お体の調子が悪いなら、わたし、降りますけど、、」
「え?あー!!いやいや、私じゃなくて!寒いから年寄り連中の病院送りが無かったんで、売り上げがね!うふふふふ!」
「あ、そうなんですか。(うふふじゃない)」
落ち着いて、良く前を見ると
運転手さん、補聴器をしている。
もっと、よく見ると、ハンドルの真ん中に
「あわてない!!よく見て!」
と、書いたシールを貼っている。
そのシールを見たら、後部座席のお客様は慌てるんじゃなかろうかと思いました。
(高齢ドライバーさんなんだな。)
にわかに緊張してきたわたしは、
運転手といっしょに前後左右確認しながら、移動する気持ちになりました。
運転手さんは、本当は17時に上がりで、帰るところを売り上げが上がらないから粘っていたそうです。
「お客さん(私のこと)が、乗ってくれて助かった!」
「昼間しか乗らないんですね。」
「わたし、83だからね!夜は、早く寝るんだよ!」
83!!
「何歳くらいまでお勤めできるのですか?」
「さぁね!会社次第かなぁ。」
(いや、自分に向き合って聞いてみて欲しい)
「でもね!今の情勢にはついていってるよ!ナビとか!クレジットカード処理もできるしね!」
(それは、「今」じゃなくて「少し昔」)
「お客さん、地獄見る?」
!!
善良な観光客のわたしが、なぜ地獄を見なければならないのか!ウシジマくんみたいなことを言い出した運転手をガン見しました。
まさか、デーモン閣下なのか!
って、よく考えたら、有名な観光スポットなんですね。
「いえ、まっすぐ行ってください」
「まっすぐ行ったら市役所だよ!」
がははと笑うじいさん運転手に、いささか疲れてきたので、目的地まで、眠りの小五郎になりました。
目的地に着き、paypayで払おうとしたら、
「いゃー、研修受けたけど、わからなくて。。
現代は、難しいなぁ」
(いや、頑張って、そこはしがみついてちょうだい!)
と、思いながら、現金で払いました。
「タクシー」という営業車のドライバーさんだから、定期的に厳しい検査は受けてはいると思いますが、運転はテクニックだけでは、絶対にカバーは
できない領域だと思います。
あと、長年の自分のドライビングに対しての過信。
「加齢を素直に受け止めること。」
「年齢による変化を前向きに考えること」
「進化するシステムにギブアップする勇気を持つこと」
それって、人によっては、人生を終焉に向かわせるようで、寂しくかんじると思います。寂しいですが、誰にでも、平等に来る瞬間ですよね。
わたしも、いつか、来る道なんだなと、
立ち去るタクシーを見送りながら、思ったあの雪の日でした。
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