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あぁ、大病院。。な、話し。



閲覧ありがとうございます。


今日は、先月のことになりますが、祖母の定期検診に
付き添い、とある大病院に行ったコレアレを
書いておこうと、思います。


祖母は、とりあえずには、近所のクリニックを利用しているのですが、70代のとき、手術を行い、その経過は、ずっと診る必要があるので、月に一度は、
予約をとり、出かけていきます。
通常は、一人でも、大丈夫だと言いますが、母が
できるだけ、付き添いか、送り迎えはしていました。
2月の予約の日は、母が行けず、前から、わたしに送迎は行ってくれないかと頼まれていたので、平日に休みを取り、車を出すことにしました。


その日は、雨が降っていて、(車で良かった)と、
思いながら、祖母の家の前が見えてくると、傘をさした祖母の横に、ちんまりと、お地蔵さまみたいな
おばあちゃんが立っていました。

「絵手紙の会のお友達なんだけど、今日、同じ病院だし、雨だし、一緒に連れていって。」

祖母が、乗り込みながら、言う横で、「よろしくお願いします。」と、ルパンみたいなベリーショートのおばあさんが言いました。

(うひゃ~。早く出たつもりだけど、車が混んでる)

結構交通量が多いし、通学時間帯で、通行できない道路もあるからか、あまり進みませんでした。

「雨だから、保護者が、車で送るのよ!」

「カッパ着て、自転車乗る子供は、いまどき、いないよねー。」

後ろの老婆二人が、べらべら話しているのを聞きながら、カッパ着た警備員さんの誘導で、無事に駐車場に着きました。


朝の8時から、ロビーはたくさんの人で溢れていて、自動チェックイン(?)機に、次々と、カードを通す人たち。老婆二人も、ベテランらしく、さっさと
並びました。機械の横には、(ボランティア)と、名札を下げた年配女性が、次々と入ってくる人並みから
目ざとく「初診者」を、見極め、さっさと近寄っていくのは、「プロだなぁ」と、感心しました。



耳を噛られ、病院


「水分買ってきたよ」

検査を待つ二人に、お水を差し出すと、お友達おばあさんは、「あ、わたし、結構です。ありがとう」
と、言ったので、水分を取ったらいけないのかも。と、思い、「あっ!いえいえ」と、返していたら、
祖母の名前が呼ばれ、すぐあとで、お友達おばあさんが呼ばれました。


しばらくして、祖母が帰ってきて、ちょっとして、
お友達おばあさんがしょんぼり、焦った風で、
こちらに早歩きできました。

「困った!出ない!」

「え?!血液が??」

すっかり、血液検査と思っていたら、尿検査のことでした。血液が出ないなら、ここには、いないよなとか、あとで思いました。

祖母は、血液検査なんで、結果を待って診察なんですが、お友達おばあさんは、尿が出ないと、検査できません。

「泌尿器科なんで、尿が要るのよねー。○○(お友達おばあさん)さん!朝からおしっこ出た?」

看護士さんが、聞くと、

「朝起きて、行って、それから、出てない。」

「水分取った?」

「取ってない。」

「取らないとダメよ。尿が出ないよ」

とりあえず、水分とって、尿が出たら、お願いね。

と、言って、看護士さんは診察ルームに帰りました。

「だって、先生が、日常的な尿カテーテルを付けるって
言うんだよ。あたし、あんなの付けたくないよ。」


聞くと、お友達おばあさんは、尿の出が悪く、重くなると、尿毒症になるので、お薬を飲んでも、尿がたまる状態なら、カテーテルを付けるほうが、いい。と、言われたそうで、尿がたまらないように
水分を取らなかったそうです。

「年取ると、あちこち連鎖して、悪くなるもんね」

「100歳のじいさんも、カテーテルして、動いてるとか、医者が言うんだよ。あたし、まだ90だよ!」

(え!!まだ、90歳?!!)

わたしの感覚からしたら、充分お年寄りかと思うの
ですが、90歳の世界は、自分が、なってみないと見える景色は、わからないなぁと思いました。


とりあえず、水分を取ったほうが、いいので、
お茶を飲んでもらい、お友達おばあさんは、修行僧のような厳しい表情で、自分の膀胱に集中していました。そうこうしていると、祖母の番号が、表示されて、祖母と二人で診察室に入り、ドクターと、問診したあと、特に変わりはないから、また来月。ということでした。


待ち合いに戻ると、お友達おばあさんがカオナシみたいな顔になって座っていました。

「まだ出ないのよ。。」

看護士さんが三時間後くらいには出るよ。リラックス!リラックス!と、励ましてくれたそうですが、
人体は、素直なもので、念じても、ストレスになるのか、自然には行かないようでした。


「え?!出なかったの??」


誰かの声がして、お友達おばあさんが、びくんと
しましたが、その声は、近くに座ったおじいさんに
看護士さんが言った言葉でした。


「今朝は、便が出なかった??」

(あっちは便か。。)

おじいさんは耳が遠いのか、看護士さんは結構、声を張っていたので、丸聞こえでした。

「ふにゃふにゃ。出ない」と、おじいさんが言うと

「おくすりは?お通じのおくすり飲まなかった?」

「飲んだ飲んだ。白い丸いやつ」

「…。」

多分、白い丸い薬は、とても非常に種類が多いので、じいさんが飲んだのが下剤なのか、判断しかねるところです。


人間の答え合わせは、血液、尿、便、なんだなと、
しみじみと思いました。
今日から、食生活には、尚一層、気をつけようと、
決意していると、


「遅くなるから、お先にお帰りになってください」

弱々しい声で、お友達おばあさんが言いましたが、
さっき見たら、まだまだ雨が降っていたし、彼女を
一人にはしたくないし、、でも、残ったら、それが、心の負担になるだろか。。
でも、「それじゃあ、お先に」
とかは、絶対に、言いたくないなぁ。。


「ほら、内科の△△先生!いなくなったよね。あの、無愛想な先生!」

祖母が、テケトーに、話題を変えました。

「あー、あの先生、自分でクリニックを開いたんだよ。今は、めちゃくちゃ愛想がいいらしいよ。知り合いが驚いてた。」

「経営者だもんねぇ」

「売り上げに響くから、営業スマイルだいじだよねー」

二人で、病院あるあるを話しながら、なんだか、
リラックスしているようでした。

そうこうしていても、中々、尿意が来ないみたいで
お友達おばあさんは、とうとう、トイレに立てこもり、わたしが、様子を見にいくと、

「もう、帰りたい、、」と、個室から、うめき声がしました。

一応、看護士さんに、「ご本人がとても、疲弊していて、帰りたがっている」と、言ったら、先生が、じゃあ、
また薬を出すけど、異常があれば、すぐに救急外来にでも
来てください。と、言ったそうで、お友達おばあさんは、ホッとしていました。


会計を待つあいだ、お友達おばあさんは、尿意が来たみたいで、お手洗いに急いでいました。緊張が解けたせいかもしれません。


会計を待っている皆さんは、もれなく、お疲れみたいで、自分の番号が、点滅するのを、合格発表みたいな食い付きで見ていました。
会計カウンターのスタッフに、話しかける人は許さない、それだけ計算が遅れるだろうみたいな目で、
前のカウンターを猛禽類の目で見ていました。


帰りは、下校中の子供たちを見かけ、
「あー、今日は、授業の時間はずっと病院にいたのだな」と思いました。

後ろの老婆、二人は、うたた寝していました。


昭和の名曲で、あみんさんの「待つわ」という
曲がありますが、

「待つわ~♪いつまでも待つわ~♪」

という歌詞が、非常にしっくりくる大病院の1日だったなと思いました。


病院は、癒し、、治癒に、行く場所ですが、
病を持って、通う方々は、もれなく「戦士」だなと
思いました。弱っているけど、「戦う」エネルギーが、ある程度は、無いと、行けない場所です。


後ろで、軽くいびきをかき出した、お友達おばあさんが、カテーテルを付けることなく、絵手紙を楽しめますように。とか、願った、雨の夕方でした。




ドラちゃん、救急外来now

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