読書感想文「ファクトフルネス」 最後まで読めずにわかった自分に必要なこと
■本を読もうとした動機
累計100万部超えのベストセラー「ファクトフルネス」。発売当初からその存在は知っていました。
しかし 食わず嫌いというのか、なんとなく手に取らずきました。
それでも、あまりにもたくさんの方が強く勧めているのを、記事などで読み 「これだけ話題になっているのだから、とにかく読んでみよう」と決意。
本を購入しました。
■結論
結論から言うと、私は、最初の章を読んだ段階で、色々な考えが頭に渦巻き、 読み進めることができなくなってしまいました。
私のような読者は少数派で、共感を得られるものではないと思います。
しかし 自分の気持ちを偽り「この本は良かった」というだけの記事を書く。それはしたくありませんでした。
偏った感想であるかもしれせんが、感じたことを正直に書いてみようと思います。
■最初のクイズから感じた「良い世界」の前提への疑問
この本には最初に10問のクイズが用意されています。 世界の現状に関する3択問題です。
多くの方が、ほとんど正解することができず チンパンジー以下の成績になるそうです。
私がひっかかってしまったのは、質問そのものでした。
これらの問いは、読者が予想と正解が違う体験をすることで、「世界が私たちの思い込みより良い方向に向かっている」と示す目的で用意されたものでしょう。
それらの問いから読み取れる「良い世界」の前提となる考えが、私はうまく受け入れられませんでした 。
なぜだろうと考えた結果、私は「世界が良くなること=幸福な人が増えること」と考えているようです。
だから、例えば電気の普及率に関する問い(世界で電気を好きなだけ使える人の割合は?)にひっかかりを感じてしまったのです。
この問いの前提にあるのは「電気を使えるようになる人が増えれば世界が良くなっている」とみなす考え方だと思います。
確かに今の時代、電気は欠かせません。電気がなければこの記事を書くこともできません。
しかし、電気を使えなかった時代の世界、人々は本当に現代人よりも悪い世界にいたのか。つまり我々よりも明らかに不幸だったのでしょうか。
例えば、ネイティブインディアンは高い精神性の文化を持っていたと聞きます。あるいは江戸時代の日本。
両者とも電気は普及していなかったと思います。それら昔の人々は現代人よりも本当に不幸(自分を不幸せだと思っていた)だったのでしょうか。
現代人は、物質的には間違いなく恵まれているでしょう。しかし幸福感に関しては、少なくとも私自身に関しては、自分が勝っていると断言できません。
平均寿命に関する問いにも、似たような疑問を感じてしまいました。
■今の私に必要なのは異国のファクトではなかった
こうなってくると、疑問がどんどん渦巻いてきて、ダメでした。
そもそもクイズの正解率で、チンパンジーと人間を比較するのはどうなのか?(例えなのはわかるのですが・・)
そこにまで疑問を感じ始めてしまい、これ以上読み進められない状態になってしまいました。
結局、本を読んで分かったのは、今の私に必要なのは、遠く離れた異国のファクトではないということです。
私に必要なのは、目の前で泣いている子供達の育児の仕方、仕事と家事をどう両立するのか。それらの問題に対応するための具体的な方法なのだ、とわかりました。
自分に必要な事がわかったという意味で、この本を読んだ意味はあったと思います。
また、自分が望んでいる世界は、インフラが整備されただけの世界ではなく、幸せな人が増える世界なのだ、ということがはっきりした。これも収穫ではあったと思います。
■おわりに
noteを始めて感じたのは、ネガティブだが重要なことを書くのは、とても難しいということでした。
ですので、本に対してもう少し前向きな姿勢の文章にしようと試みました。しかし、うまくいかず、結局思ったことをストレートに書くことにしました。
本書が読者に伝えたいのは、何をもって世界が良くなっているか、幸せの定義とは何かではなく、認知のゆがみに注意して世界を見ようというメッセージだと思います。
そのメッセージは正しく、大切だと私も思います。その意味でこの本の評価は控えたいと思います。
自分の認知のゆがみに気がついた時、この本を再読する日が来るかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。