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春のような温かさがいつもある学校に… ときには気持ちの糸をゆるめてもいいんだよ そんな自分もまた大切な自分なんだと知ってほしい 〜心の宝物213

🌷物静かに しかし 強い視線で


コロナ機の学校
11月に入り、開放した窓から廊下を吹き抜ける風もずいぶん冷たくなってきました。教室の中もそれは同様で、換気と保温をどう両立させるかについて養護教諭の先生を中心に研究を進めてくださっていました。
コロナ機の学校に、最初の冬がやってこようとしていました。

4年生の教室のある校舎は、校地の北側です。これからの季節、廊下の窓からは、遠く、冠雪した白山、御岳山、中央アルプスから恵那山まで、日本百名山の内の5座を一望できる最高の眺望が広がります。しかしその分、北風が容赦なく吹き込みます。
この日の朝、もうすぐ朝の会という時間でしたが、子供達は寒さゆえか、首を縮めながら近くの仲間とおしゃべりに興じ、なかなか切り替えができないようでした。

そんな中、きりっとした表情で背筋を伸ばし、まだ司会者が前に立っていない状況でも、静かに朝の会の開始を待っていたのは彼女でした。そういう選択ができる彼女の強靭さを、頼もしく眺めていました。

🌷ときには気持ちの糸をゆるめてもいい そんな自分もまた 大切な自分なんだと知ってほしい


そんな彼女の選択は、掃除の時間にも決して緩むことはありません。いや、むしろ一層張り詰めるようでした。

教室の隣の学年室の当番でした。担任の先生が常駐しない場所、意外と目が届きづらい場所。それだけ、個の選択が問われる場所です。
教室や玄関など、先生や仲間の目が届きやすい場所に比べると、肩の力を抜く子も多い場所です。そんな自分に出会うことも、なりたい自分を理解する過程の大切な経験です。時折顔を見せると、慌てて居住まいを正す子をいじらしく思いながら、全校を巡っていました。

そんな雰囲気の中で、彼女の背中から伝わる気迫は際立っていました。
隅から隅まで、膝をついて床を全力で磨いています。終えると机を戻すのですが、行動は常に小走り。瞬間瞬間に最善を尽くそうとしている思いが伝わりました。
「たいしたものだ」
思わずつぶやかずにはいられない姿でした。

一方で、彼女を突き動かすものは何かということに思いをはせました。
子どものよさや頑張りに光があたり、些細と思われる行動の背景にある思いやその値打ちの尊さを、全校で共有する営みを続けてきました。
コロナ機にあって、それが互いの存在を認め合う温かな学校文化として定着してきたことに手応えを感じつつ、「だからいい子でいることが善なのだ」というメッセージが、子どもたちの心の中に偏重しないようにという思いは常に持っていました。

いつどんなときも、そのときの最善を選びとろうとし、実行するあなたの姿には心から敬意を表します。今のあなたには、「した方がいいこと」と「したいこと」がほとんどの場面で重なっているのだろう。

でも、そうならない場面もきっとくる。これから学年が進むにつれて、そんな自分にあなたが戸惑うこともきっとあるだろう。

そのときに、自分を決して責めたり「本当の自分じゃない」と自分を否定したりしないようにしてほしいんだ。
揺れて、迷って、失敗してしか得られない学びもある。私なぞは、そんな経験の方がはるかに多いんだよ。

ときには気持ちの糸をゆるませてもいいんだよ。そんな自分にもぜひ出会ってほしい。そういう自分もまた大事な自分なんだと知ってほしいんだ。

あなたの選択への、心からの敬意と同じほど、このことも伝わってほしいと願っていますよ。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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