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春のような温かさがいつもある学校に… あとの人が少しでも気持ちよく使えるように 〜心の宝物215

🌷落ち葉がいっぱい


山に囲まれた小さな学校
11月半ばを過ぎ、学校の周囲は、日々、冬の色合いを強めています。勢いよく伸びていた草も鳴りを潜め、上旬に草刈をした土手は、半ばを過ぎてもきれいなまま。これで来春までは、草刈の心配をしなくてもよさそうです。
野山に目を転じてみると、落葉樹は紅葉を終え、風が吹くたびに葉を落として、すっかり見通しがよくなりました。おかげで、雄大や岩山や恵那山をくっきりと望むことができます。

しかし、喜んでばかりいられないのは、体育館のトイレ掃除です。
体育館の、とは言っても、軒でつながっているだけで、実際には外。夜間や休日には、学校開放で地域の方が利用されるため、実質的には開け放し。
木々から散り落ちた葉が、まるで自ら集まるかのように、拭き寄せられてきます。

4年生の彼女は、そこを生き生きと掃除していました。

🌷「後の人が少しでも気分よく使えるように」という願いが決めてだったのだね


月曜は、大量の落ち葉が吹きだまっています。まずはそれをせっせと掃き集めます。大方取り切れた後も、彼女はそれでよしとしません。床と壁の際のところに、欠けて散り集まっている、枯葉の切れ端が完全になくなるまで、視線を低くして徹底的にきれいにします。
それがいかにも楽しそうです。
その故を尋ねてみました。

「きれいにしてくれてありがとう。でも、トイレ掃除は、本当はいやではありませんか。無理していませんか」

少し意地悪く、そんな質問をした私に、彼女は少し考えたあと、きっぱりと次のように答えてくれました。
「ちょっとはいやだけど、あとで誰かが使うときに笑顔になってほしいから」

胸が熱くなりました。
「そうなんだね。これだけきれいなら、笑顔になるに決まっている。小さな子も、おじいさんも、さわやかに、安心して使うことができるよ」
にこっと笑って作業に戻っていく笑顔はとても尊く、このやわらかな感性を絶対に守り切らなければならないという思いにかられました。

「後でそこを通る誰かの笑顔のために」
6年生の美化委員長が、掃除の値打ちを、よくこの言葉で伝えてくれますね。きっとあなたはその言葉を、心深くで聴いたのでしょう。

しかし、そのことと、それを実際に行動することとの間には距離があります。
「分かってはいるけれどできない」ことを、私たちは毎日数えきれないほど経験します。こんな風に言う私だってそうなのですよ。
それで後悔したり、悲しい思いをしたりして、「次こそは」と一人でそうっと決意して、半歩だけでも前へ出ようと挑戦します。

あなたはそんな溝を一気に跳び越えてしまったね。
「誰かが笑顔になれば楽しい」
その一点で、多くの人にはつらいと感じられるトイレ掃除を、楽しんで行う思いに自分を連れていくことができるのだね。
そんなあなたの感じ方と、そう考えて実際に行動してしまう強さをとても大切に思います。

あなたの笑顔を、みんなの笑顔を、私も改めて心に刻み付けます。
みんなの笑顔がもっともっと輝くように、自分の言葉や行動を磨いていくことを、あなたに約束します。

そんな思いで、お伝えしました。

かけがえのないあなたへ
素敵なきらめきをありがとう
出会ってくれてありがとう
生まれてきてくれてありがとう
どうか、ありのままで
どうか、幸せで

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