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春のような温かさがいつもある学校に… 君の伸びやかさが またひとつ学級を 全校を安心できる場所にした 〜心の宝物184

🌷和やかに 温かに 誠実に


山に囲まれた小さな学校

秋深まるこの日、この学校の全校朝会、「山びこ集会」では6年生が合唱を披露していました。少し太くなった一部の男子の声と美しいソプラノ。思いの溶け合った素晴らしい歌声です。それを指揮するのは彼女。

自ら歌いつつ、優雅にタクトを振る彼女を、しかし私は、少し意外な気持ちで眺めていました。個性豊かな6年生の集団の中で、一歩引いたところで優しく微笑んでいる彼女の印象が強かったからです。


消極的とか、引っ込み思案とかとは違います。心身ともに十分にそうする力はあるけれど、あえて前には出ない。有能な鷹が爪を身の内に潜ませるような、賢さと奥ゆかしさの表れた生き方としてとらえられる、彼女はそんなたたずまいでした。


いっぽう、人と交差することなく、自分でコントロールできる場面では、そんな誠実な内面をいっぱいに解放していました。例えば掃除。冷たい風が吹き込む校舎の、トイレの床に膝をつき、汗がにじむほど懸命に床を磨いて倦むことも弛むこともありません。同じ場所の下級生が見とれるほどでした。


🌷君の伸びやかさが また一つ学級を 全校を安心できる場所にした


秋が深まった頃、地域の敬老会にお招きいただいたことがありました。そこで妙技を披露した、子供達の和太鼓のチームの中心が彼女でした。そろいの黒い装束、りりしく巻いたハチマキ。下級生と息を揃えた、メリハリある動きで奏でられる和太鼓の演奏は、参加者の大喝采を受けました。流れる汗もぬぐわずに、拍手を受ける彼女の表情はすがすがしさに満ちていました。それからほどなく、地域のバレーボールチームで活躍していることも知りました。


全員から目を切ることなく、自ら大きな口を開けて歌いつつ、すらりと伸びた全身を大きく使って指揮をする彼女からは、自らの内面を、学級の仲間に対して発揮することを決意した気持ちが、ひとつ吹っ切れた潔さが伝わりました。

それは、学級の子供たちの一人一人には、自分たちへの信頼感として伝わったようです。

この頃から、学級の雰囲気が急激に温かなものになりました。

一人一人の強烈な個性が溶け合い、突き抜けた行動力と、驚くような包容力が高い次元で学級の文化となり、全ての下級生から尊敬され、憧れられる、最強の6年生となりました。


学級全員が心から信頼する、担任のM先生の明るさ、温かさ、そうして厳しさ。その旗のもとにみんなが束になった。そうした側面も確かにあるだろう。

しかし、その束を紐解くなら、それは一人一人の決意に他ならない。

仲間を信じ、怯みを振り捨てて、思い切って自分を解放する。その姿を、思いをエネルギーとして、次の仲間が続く。自分も、自分も。そうなら自分ももっと。

もう止まらない。


最強の6年生の集団を形成した一人は、確かにあなたです。

学級を、全校を、温かで幸せな場所にしてくれてありがとう。


そんな思いで、お伝えしました。


かけがえのないあなたへ

素敵なきらめきをありがとう

出会ってくれてありがとう

生まれてきてくれてありがとう

どうか、ありのままで

どうか、幸せで

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