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栃木県那須烏山市に移住した榎本真紀子のLOCAL MATCH STORY 〜視点を「見る」から「視る」へ変える〜

移住を経験し、地域で活躍されている人を紹介する「LOCAL MATCH STORY」。
今回は、栃木県那須烏山市に移住された地域おこし協力隊OGの榎本真紀子さんをご紹介します。
そして、この記事は榎本さんご本人に執筆いただきました。

私の自己紹介

榎本真紀子

埼玉県久喜市出身
大学卒業後、東京や埼玉で販売・営業・事務の仕事に携わる。協力隊の直前は派遣のOL。
その後、2016年に栃木県那須烏山市の地域おこし協力隊へ応募。採用となり、那須烏山市へ移住。2019年9月に3年間の任期を満了。現在は、同市の観光協会で働いている。

私が移住した地域はこんなところ

栃木県那須烏山市は、人口約2万5千人の市で栃木県の東部に位置し、市内を清流・那珂川や荒川が流れています。八溝山系に属する豊かな自然に恵まれており、里山のエリアでは蛍や国蝶オオムラサキなどが生息しています。また、450年の歴史を誇る「山あげ祭」は、“ユネスコ無形文化遺産”・“国の重要無形文化財”にも登録されています。
おすすめスポットは、「山あげ祭」の紹介を行っている「山あげ会館」、江川流域にある迫力のある滝「龍門の滝」や、市内の酒造「島崎酒造」さんのお酒を貯蔵している「どうくつ酒蔵」などです。また、那珂川や荒川など大きな川が流れているので、さまざまな形の橋を見たり渡ったりすることができます。那須烏山市は豊かな自然と歴史が魅力の街です。

那須烏山市の風景(龍門の滝)(榎本真紀子)

写真:那須烏山市の風景(龍門の滝)

那須烏山市の風景2(榎本真紀子)

写真:那須烏山市の田園風景

那須烏山市の伝統ある祭「山あげ祭」での一コマ(榎本真紀子)

写真:那須烏山市の伝統ある祭「山あげ祭」での一コマ

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なぜ移住しようと考えたのか

ずっと会社員をしてきたのですが、働き方を変えたいと転職を考えていました。会社員以外の働き方に興味があり、最初はNPO団体などの転職先を探していたのですが、その中で、友人に地域おこし協力隊の制度を教えてもらいました。移住よりも先に働き方を変えたいと思ったのが最初です。
また、通えるからずっと都内で働いてきましたが、働くのはなにも東京でなくてもいいのでないかという思いが生まれてきたのもあります。自分はたまたま東京に生まれ、埼玉で育ち、なんとなく東京で働いてきたけど、地方で働く・暮らすという選択肢もあるんじゃないかと。

移住するまでこんなことありました

地域おこし協力隊の制度を利用して移住しましたが、制度を知ってから一年くらいは会社員をしながらいくつかの自治体を見て回るなどしていました。自治体によって受け入れ態勢に差があるということが分かり、先輩隊員からも、気を付けないと草刈り要員や雪搔き要員になっちゃうよ、というアドバイスをもらいました。
また、知り合いゼロで大丈夫だろうか、という不安もありました。ですので、気になった場所は実際に足を運んで、自分の目で見て話しを聞いたりしましたね。
いくつかの自治体に足を運んでみて、あまりに実家に遠い場所は現実的ではないというのも分かってきて、実家に帰りやすい田舎がいいという思いが生まれてきました。足を運んでみると移住後の生活を想像しやすくなると思うので、気になる所があったら実際に行ってみるのをおすすめします。

移住後のライフスタイル

通勤時間がほとんどない生活になりました。今まで2時間くらい通勤時間で取られていましたが、それがなくなり今は車で5分くらいしか掛かりません。通勤ラッシュと無縁です。通勤時間がない分、時間に余裕はありますが、以前は帰りに寄り道して駅のカフェで一息つくなどできましたが、今はそういった息抜きの仕方はできなくなったなと感じます。
また、地域おこし協力隊のときは役所に籍もあったのですが、自由度の高い受け入れ体制だったので、どこで活動してもいいスタイルでした。役所以外にも地域おこし協力隊の拠点を設けてくれたので、そこで作業やミーティングをしたり、地域の方のお宅にお邪魔したり、外で活動することも多かったです。毎日がフレックスでした。今は観光協会にいるので、シフトに沿った働き方をしています。

移住してわかった地方暮らしの魅力

自分は農業はやっていませんが、以前に比べるとたまに農作業に触れる機会があり、農と近い環境になったと思います。がっつり農業をするのはハードルが高いですが、少し触れられるというのは田舎ならではだと思います。少しだけ農に触れたい自分にはちょうどいいですね。
変化したところは、夜に打ち合わせをすることが多くなりました。地域おこし協力隊のころから関わっている地域のNPO団体があるのですが、メンバーの職種がバラバラなので、夜に集まることが多いのです。会社員のころは地域団体と関わるなんて無縁だったので、これも移住して変わったことの一つですね。
また、車社会なので全然歩かなくなりました。移住する前はなんとなくイメージで地方のほうが歩くことが多いのではないかと思っていましたが、その逆でした。東京で働いているときの方が通勤や電車の乗り換えなどでたくさん歩いていたなと実感しました。主な移動手段が電車から車に変わったのも移住後の変化です。

移住先での住まいについて

私はごく普通の賃貸アパートに住んでいました。最初のアパートは役所に方に紹介してもらい見つけました。2LDKで一人暮らしには広すぎるくらいでしたね。家賃は4万7千円で、駐車場料金が月2,000円でした。自分は1階に住んでいましたが、2階はお子さんのいる家族が住んでいましたね。
古民家暮らしや一軒家にも惹かれましたが、すぐに見つかる可能性も低いですし、虫が侵入してくる環境などは避けたかったので、そういった面でも最初は普通のアパートにしてよかったと思います。協力隊の任期満了後にアパートを変えて、今は家賃3万円のところに住んでいます。前よりも狭いですが、今のアパートも2LDKで、この家賃はとても安いと思います。

移住先でのお金事情について

会社員のときのほうが収入はよかったですが、家賃も安いですし、そんなに生活に不便は感じていません。また、最初はやはり収入の心配があると思いますので、その点でも、移住するのに地域おこし協力隊制度を利用するのはいいと思います。3年間は毎月きちんと報酬を頂けるので安心できるかと。また、移住後は車移動ですし、遅くまで開いているお店もあまりないので寄り道もしなくなり、お金を使うことも減ったと感じます。洋服なんかも全然買わなくなりましたね。

移住先での暮らしで困ったこと

文化に触れる機会が少ないと感じます。自分は音楽が好きで、東京で働いていたころはよく仕事帰りにライブなど見に行っていました。そういうのは地方ではなかなか難しいですね。映画館なども1時間くらい掛けてショッピングモールに行かないとないですし。会社帰りに気軽にライブが見れたり映画館に行けるのは都心の特権なんだなと分かりました。
また、一人の時間も意識しないと取れないかなと思います。地域おこし協力隊という立場もあり、地域の方との交流の場に多く出ていました。それはそれで楽しいのですが、たまに一人になりたいと思うこともあり、一人時間も重要だとあらためて分かりました。都心ではカフェや美術館など気軽に一人になれる場所がたくさんありますが、地方はそういった場所が少ないと感じます。ただ、少ないけれど素敵な美術館や個性的なカフェを見つけて、自分なりに息抜きの方法を見つけていきました。

地域おこし協力隊に応募した理由

会社員ではない働き方をしたいと思っていたこと、そして都会以外で働いてみたいと思っていたこと、この2点から地域おこし協力隊の制度を利用しました。この制度は地方移住のきっかけにもなると思います。会社員という働き方しかしたことのない自分にとっては、他の働き方をするという挑戦でもありました。地方でチャレンジしたい、けど収入面で不安がある・知り合いがゼロで心配だ、という人にはとても良い制度だと思います。収入面はもちろんですが、地域おこし協力隊制度を利用すると役所の方をはじめ、自ずと地域に知りあいも増えていくと思います。
また、大学生のときにゼミでまちづくりや地域活性化の研究をして、元々地域づくりなどに興味がありました。まちづくりや地域づくりに関われそうだと思ったのも理由の1つです。
那須烏山市の地域おこし協力隊制度では、独自の起業研修プログラムを設けていて、地域で活動する任意団体やNPO団体へのインターンシップなども用意してくれていました。その点も大きかったと思います。

地域おこし協力隊時代の写真 同僚と一緒に撮影(右端が榎本)

写真:地域おこし協力隊時代の写真 同僚と一緒に撮影(右端が榎本)

地域おこし協力隊の活動内容

主に、情報発信・イベント企画運営・ツアー企画運営・地域の方への取材、などを行っていました。自分がやってきたことはどれも外との接点を作ることに意識した活動といえます。いいものや魅力的な場所や人がいるのに伝わっていない、また、地元の人も認識していないと感じてこのような活動にいたりました。
まちづくりの定義や考え方は人によってさまざまですが、シビックプライドの醸成が欠かせないのではないかと思っています。外からの刺激や評価がシビックプライドの醸成にもつながり、街や地域にも良い影響を与えると考えています。街のことを自分ごととして考える人が増えれば、街や地域はもっと良くなるのでないかと思って活動してきました。

協力隊時代のグリーンツーリズムモニターツアーでの一コマ(榎本真紀子)

写真:協力隊時代のグリーンツーリズムモニターツアーでの一コマ

協力隊時代に開催した合宿&トークイベント1(榎本真紀子)

写真:協力隊時代に開催した合宿&トークイベント

任期終了後の活動について

2016年9月に任期満了し、この4月からは観光協会で働いています。今後、観光協会では情報発信やツアーの企画運営などに力を入れていきたいとのことで、自分にやってほしいこともそこだと明確に提示していただけたのもありがたかったです。お声を掛けていただけたのは、任期中の活動を少なからず評価していただけたのかなと思っています。観光協会の仕事は協力隊のころとはまた違った大変さがありますし、このご時世で観光業も打撃を受けていますが、自分が今までやってきたことを活かせるように今後もがんばりたいと思います。

現在の活動の詳細について

観光協会で働きつつ、協力隊のころに所属していた課からシティープロモーションに伴うSNS運用の業務を請け負ったり、協力隊時代から関わっているNPO団体での活動も継続しています。

事業の内容について

協力隊時代に情報発信の一環として作ったホームページ(ローカルメデェア)があり、任期満了後はほとんど更新していなかったのですが、今後そのホームページを地域のNPO団体のメンバーと動かしていこうということになりました。自分が作ったものを引き継いでくれることにとても感謝していますし、このホームページを作ったころ、ゆくゆくは外から来たよそ者の自分と地元の人とが一緒になって運営できたら、と考えていたので、その通りになってとても嬉しいです。

今後のプラン

これまでやってきた情報発信を続けていくことと、発信する人を増やしていくような活動をしていきたいです。地域のことを発信する人が増えれば今よりもっと市や地域のことを知ってもらうことができますし、何より、発信することで自分の中でも地域を見る目が変わると思います。誰かに伝えようとすると、今まで何気なく見ていたものを注意深く見ることになります。視点を「見る」から「視る」へ変えると、街について考える人も増えていくと思っています。それが街や地域を良くすることに繋がると思うので、自分が発信するだけでなく、地域の中で発信する人を増やしていきたいですね。

移住検討している方へメッセージ

移住を考えるというのは、一度立ち止まって自分の暮らしや働き方、生き方について考えることでもあると思います。自分が大事にしている価値観、譲れないこと、優先順位、などを今一度見つめ直すきっかけになると思うので、自分の想いと向き合って、考えてみることから始めてみるのがいいと思います。その中で、もしかしたら移住という形ではなく2拠点から始めるなど、他の選択肢も出てくるかもしれないですし。動きながら考えるのもいいと思うので、情報収集から少しずつ始めて、時間がゆるす限り現地に足を運んでみるのをおススメします。また、私で答えられることはお話できますので、よかったら那須烏山市にも遊び来てみてください!

(終わり) 執筆時期:2020年9月

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