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新しいことに積極的に挑戦する福島県・磐梯町をフィールドに、自分のやりたいことに挑戦して欲しい。〜磐梯町地域おこし協力隊募集に向けて、町長・先輩隊員からのメッセージ〜

「会津磐梯山」という民謡を聞いたことはありませんか?その民謡の舞台である福島県会津地方にある、磐梯町。町の70%が森林で占められており、冬には毎日のように雪が降る、自然に囲まれた地域です。人口わずか3,400人ほどの小さな町ですが、現在、ある取り組みで全国的に注目されています。それが、行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)。デジタル技術により業務やビジネス改革を進めていく活動のことですが、磐梯町では、誰もが自分らしく生きられる共生社会の共創を目指して、DXを手段とした共創・協働のまちづくりに挑戦しています。
磐梯町では現在どのような課題を抱え、何に取り組んでいるのか。また、この町で地域おこし協力隊としてどのような活動が出来るのか。
今回は、町長の佐藤淳一さんと、地域おこし協力隊として東京から移住してきた森谷裕輝さん、蛯名有里さんの三人にお話を伺いました。

「小さい町」だからこそできる、町全体のDX事業

大正時代から昭和時代にかけてピークに達していた磐梯町の人口。しかし、現在は減少し続ける一方です。

“佐藤さん 人口減少を食い止めるため、町の将来像としているのが子や孫の代まで住み続けたいと思ってもらえるような魅力的な町作りです。そこで大切にしていることは、「誰一人取り残さず、町民全員を幸せにする」ことの実現。手段の1つとして現在、DXを使ったまちづくりに取り組んでいます。

今すでにある町民へのサービスを、DXの活用で「いかに改善するか」が重要だと佐藤さんは話します。

“佐藤さん 高齢化率も上がっていることから、子育てに対するサポートに特に力を入れていこうと考えています。2019の11月から、全国の自治体で初めて複業の民間人材を行政にCDO(デジタル最高責任者)に登用し、同年7月にデジタル変革室を設けました。これを核にして行政のサービスの改革を行い、最終的には町の仕組み自体を変えていきたいと考えています。

DXは、近年注目されているキーワードですが、地方の行政として取り組んでいる前例はまだ多くありません。そのDXを積極的に進めているチャレンジングな磐梯町。しかし計画を進めていく上では、様々な課題を抱えているといいます。

“佐藤さん 最も大きな課題は、DXを通じてして町活性化の基盤をどう作っていくのかということです。これまでの行政は、トップダウン型でまちづくりを行っていたため、行政と町民の間に乖離があり、町民本位の取り組みができていませんでした。そこで、「町民が持っている課題を、どう行政側で解決するのか」を重視するようにしたんです。役場の各課をまたいだ情報共有を行いながら、「縦割りではなく、横串を刺す組織」を目指して役場全体でまちづくりに取り組んでいます。

一方、地域おこし協力隊として移住してきた森谷さんは、どのようなことを町の課題と捉えているのでしょうか。

“森谷さん 協力隊員の目線で考えると、住む場所の問題が大きいと感じます。磐梯町には民間のアパートに空きなく、空き家バンクに登録している住居も数件しかありません。。協力隊員に限らず、外から人を呼ぶにしても「住む場所をどうするのか」という問題にいつも直面します。

“佐藤さん 空き家対策については、磐梯町も本格的に取り組んでいこうと考えています。LIFULL HOME’Sを運営し、全国版空き家バンクの運営や空き家の相談員の育成等にも力を入れている(株)LIFULLと連携協定を締結しています。今回、地域おこし協力隊として「空き家の相談窓口」の担い手も募集します。2021年度から掘り起こしから活用まで行う体制を整備し、空き家のマッチングにつなげていきます。また、磐梯町に住みたい人の情報を可視化し、民間事業者にアパート等の建築を提案し、もうすぐ町内にアパートが増える予定です。

“森谷さん 町を歩いている人が少ないことも課題に感じます。中心エリアに町のコミュニティスペースがなく、住民同士が関わるイベントなどが不足していることが大きいのだと思います。コミュニティスペースとなる空き家などがあればいいのですが、そうしたスペースもまだありません。現在は、住民同士が関わることの出来る機会を設けようと、誰でも気軽に参加できるようなイベント開催の話を協力隊員みんなで進めています。

“蛯名さん 町の課題は日本全国大きな違いはないと思います。人口減少などで、徐々に行政などのシステムが機能しなくなっているので、これから新しく何を作るかが重要なのではないかと考えています。それによって、将来、地域差が出てくるのではないかと感じています。

「町民のため」を第一に考えたサービスの提供

佐藤さんが町長に就任したのは、2019年6月。それまでは、磐梯リゾート開発の取締役総支配人として活躍していました。様々な課題がある中で、佐藤さんが初めに着手したのが、役場の職員間の情報共有です。以前は情報共有がほとんどされておらず、町長となった当初はかなり驚いたそうです。

“佐藤さん 民間の企業に勤めていた頃は、1日100通ほどのメールのやり取りがあったのに対し、磐梯町では1日3通ほどのメールしかありませんでした。そのため、町の経営状態を知らなかったり、自分の役回りを把握できておらず、やるべき仕事が見えていなかったりする職員が多くいるという現状がありました。
また、行政は「この人しかできない」という暗黙知の仕事が多いので、標準化することで誰もが同様に業務に取り組むことが出来るような仕組みを作っていきたいです。来年4月からは、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を通じて業務の棚卸しを行い、できるところからペーパレス化・オンライン化により職員業務の改善を図っていこうと計画しています。各課職員同士の風通しをよくすることで町民にとって最も良いサービスを提供していきたい考えています。

データ化にすることにより、具体的にどのようなサービスを提供していこうと考えているのでしょうか。

“佐藤さん 「役場に行って届け出を出す」という当たり前の仕組みを変えていきたいと考えています。具体的には、子供が生まれた時には各課での様々な手続きが必要ですが、役場が自動的に必要な手続きを行ってくれるような。まさしく町民視点での深度の深いDXは、小さな町だからこそ実現できることだと思います。全員の顔が見える分、ワントゥーワンマーケティングのように、一人一人が持つ課題や要望に添って、カスタマイズしたサービスを提供することが可能だと考えています。

現在計画している施策は、その土台となるもので、「マイナンバーカード普及率100%」や「地域デジタル通貨」の制度です。町のお金のベースを地域デジタル通貨にして、町の中でお金を回す仕組みを作っていければと考えています。町民の幸せを最優先に考え、当たり前の生活を町民全員が出来るような制度を整えていきたいですね。

他の地域では事例が少ないということで、磐梯町の事例が先進事例になっていくのではないでしょうか。

“佐藤さん 他のエリアに広がっていけば良いなと思っていますし、実際いくつかそうした事例もあります。会津地方のいつくかの市町村では磐梯町の事例を参考にしてDXを進めていこうとする動きも進んでいます。現在、コニカミノルタさんやKDDIさんと連携協定を結んで、プログラミング教育などを中心にDXを進めています。失敗事例も成功事例も共有して、会津地域全体でDXを進められたら嬉しいですね。

磐梯町だからこそできた、自分の理想の仕事

協力隊員から見た町の魅力はどのような所にあるのでしょうか。

“森谷さん やはり、小さい町であることが魅力だと感じます。人口が少なく、移住後はすぐに町の人と顔見知りの関係になれるので、今ではどこにいけば、誰がいるということが分かるようになりました。小さい町であることから、集落ごとの課題や現状にも気づきやすいですね。

“蛯名さん 磐梯町の役場職員の方々がとても魅力的です。風通しが良くて、とても協力的で、まるで民間の企業で仕事をしているかのようなスピード感もあります。他自治体の協力隊の話を聞くと、特に感じます。

現在はどのような業務を行っているのですか。

“森谷さん 狩猟関連の資格を持っているので、鳥獣に関する仕事は全部引き受けています。デスクワークでは、予算関係と来年度の計画づくり、関連した打ち合わせを行っています。フィールドワークでは、直接現場に行って鳥獣を捕獲するための罠を仕掛けるなど、鳥獣被害を減らすために毎日奮闘しています。

捕獲された動物の止め刺し


“蛯名さん (株)LIFULLが運営する磐梯町のコミュニティスペースLivingAnywhere Commons会津磐梯」のコミュニティマネージャーを担当しています。この場所を活用した関係人口創出に取り組んでいます。

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磐梯町で活動するうえで苦労した点はありましたか。

“森谷さん 鳥獣害対策は人があっての仕事なので、初めは町民の方の信頼を得るための人間関係の構築が難しかったですね。よそものでかつ、若者なので、「この人は何をしているんだろう」と不審に思っていた方もいたと思います。このままではまずい、どうにか信頼関係を構築しようと思いファーストステップとして行ったことが、自分が腹を割って話すことです。私は専門員というポジションですが、あくまでも相談役として町民の方の話に耳を傾けるよう心がけました。今抱えている悩みを全て吐き出してもらった上で、アドバイスをし、どのように対策をすべきか、一緒に考えています。
また、鳥獣害対策に対して意識が高い人もいれば低い人もいます。対策は集落ぐるみで行わないとうまくいかないので、集落の住民の意識を同じ方向に持って行くことが難しかったですし、今でもそれは大きな課題ですね。でも大変なことが多い分、やりがいも多いです。直接感謝の言葉を頂くと、「この仕事をしていて良かったな、町の方のためのなっているんだな」と感じますね。

小学生向けのお話


“蛯名さん コミュニティマネージャーという仕事の性質もあるのですが、日々の情報量や関わる人がとても多いので戸惑いました。スピード感もとても速い。そのスピードに追いつくためには、判断基準、そして自分の軸がとても重要だと思うのですが、初めは人のせいにしてしまったりと失敗した面もありました。その後、「自分が何をやりたいのか」ということに向き合い、周りの人にそれを伝えることでリカバリーできたのは良い経験でした。

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「よそもの」「若者」だからこそできる挑戦

町長の佐藤さんは、そんな協力隊員たちの挑戦が町の活気に繋がっているといいます。

“佐藤さん 協力隊員には、全部自分で考えて行動してほしいという思いがあります。「これをやってください」という指示をすることは簡単ですが、自分自身が成長したいという思いから移住を決断したはず。なので私は、「町のために仕事せず、自分のために仕事してほしい」と常々言っています。町のためだとどうしても活動が義務化されているように感じてしまいますし、何をしないといけないと重荷に感じてしまうと思うんです。「自分をどう磨いていくのか」を考えていった結果、自ずとそれが町のためになってくるはずだと考えているので、協力隊員の方には「町をサポートする」という意識を持つのではなく、「自分のやりたいこと」をやってほしいです。

地元の人同士では柵があることも、協力隊員が「よそもの」、「若者」だからこそ、思い切って踏み込んだ結果、住民のハブとなることが出来ていると思います。大変な仕事でも根を上げずに一生懸命に取り組む姿勢は、私も学ぶ所があると感じますね。

町の中で活動してみて感じたことはありますか。

“森谷さん 町長がおっしゃっているように、磐梯町での活動は本当に自由で、自分の好きなようにやらせてもらっています。私自身、成し遂げたいことが明快なので「これがやりたいです」と言ったものは全部通してもらっています。自分で全て計画し、行動に移す分、責任もありますが、だからこそより面白いです。自分がやりたいことを全部実行出来るので、他の仕事には替え難い達成感や、やりがいを感じますね。

“蛯名さん とにかく「セレンディピティ(予期せぬ価値に偶然出会うこと)」が多いです。2020年4月に移住してきたばかりですが、印象的なエピソードがたくさんできました。紹介された方が義兄の同級生だったり、オンラインで紹介した方同士がたまたま出張先が同じでリアルに会えたり、思いもよらぬ繋がりがあって毎日驚きがあります。

今後さらに解決したい課題はありますか。

“森谷さん 鳥獣の対策には着手できているので、その利活用に取り組んでいきたい。捕獲したのはいいものの、ジビエや皮などどのように活用していこうか模索している段階です。
また、よく「共生、共存」というように、野生動物と共に暮らしていこうと謳われることが多いですが、私自身仲良くする必要はないと考えています。人間と動物、別々の世界でお互いストレスのないように暮らせていけたらと思いますし、それを磐梯町で実現していきたいですね。そのための活動として来年度、万里の長城のように山際に柵を立て、集落全体を囲むことを計画しています。

“蛯名さん 情報格差が大きいのでそれを解決したいです。原因はツールではなく、人の意識。みんなが気づかない形で、しれっとギャップを埋められるような活動をしていきたいです。併せてデジタルツールを使って情報も発信していきます。
特にカルチャーの発信が大事だと考えています。
1.磐梯山エリアの環境を扱ったドキュメンタリー映画祭を毎年開催する
2.本屋を介して食文化、生態系、歴史哲学などの発信をする
3.湖から山頂まで、この環境をいかした体験の整備をする
この3つの目標を軸に活動していきます。

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町のためではなく、自分の成長の機会に

磐梯町では現在、森谷さんのように共に町づくりに励む地域おこし協力隊を募集しています。

“佐藤さん 何でも前のめりに挑戦する方に来てもらいたいです。自分自身「何でもやってみないとわからない」という考えのもと、多くのことに挑戦してきました。最終的に町の魅力を高めることに繋がる活動であれば構わないと考えています。協力隊員の方には磐梯町を「チャレンジの場」として活用し、その後の自分の人生に影響を与えるような「何か」を掴んでもらいたいです。
それに私は、必ず磐梯町に定住してもらうことに特にこだわってはいないんです。磐梯町の地域おこし協力隊の中には、東京や北海道、宮城と磐梯町の二拠点で生活している人もいます。彼らは、それぞれの地で、磐梯町と自分自身に還元できるような活動を行っています。磐梯町にいなくとも、自分のしたい活動が出来ることも、この町で協力隊員として活動することの魅力だと思います。何か磐梯町に軌跡を残してもらって、「磐梯町で私は変わった、磐梯町があったからこそ成長できた」とその人にとって磐梯町が特別な場所となってくれたら嬉しいです。

佐藤さんは協力隊員として活躍するためには、自分なりに明確な目的を持って地域を訪れることが大切だといいます。

“佐藤さん 確かに協力隊員の中には、町に来て自分の目標や目的を見つける方もいますが、私としては明確な目的を持って町に来てもらえるとありがたいですね。結局協力隊員として活動する期間を、自分にとっていかに有益な時間にできるのかが重要だと思うので。

町全体でDXという最先端の挑戦を行っている磐梯町。町づくりももちろんですが、何より自分のための挑戦ができるこの町で、あなたも自分を成長のための新たな一歩を踏み出してみませんか?

磐梯町の地域おこし協力隊の募集案件はこちら

空き家を活用して移住・定住をコーディネートする「空き家活用の担い手」
https://note.com/lifull_local/n/n714c15c178d2

子どもが憧れる農業の未来をつくる。 熱い想いを持つ若手農業者たちとともに、新規就農にチャレンジ
https://note.com/lifull_local/n/ndd1647d40249

「鳥獣害対策から考える里山の未来」住民も、獣も、安心して幸せに暮らせる里山づくり
https://note.com/lifull_local/n/nb5fc4034c0e5

宝の山「磐梯山」をジオパークのコンテンツとして盛り上げよう! 近隣市町村と連携し、広域観光のモデル作り
https://note.com/lifull_local/n/neef2415eb58c


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