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沖縄県久米島町に移住した石坂達さんのLOCAL MATCH STORY 〜今後の日本に必要な「新しいまちづくり」を推進する会社をつくりたい〜

移住を経験し、地域で活躍されている人を紹介する「LOCAL MATCH STORY」。
今回は、沖縄県久米島町に移住された地域おこし協力隊OBの石坂 達さんをご紹介します。
そして、この記事は石坂さんご本人に執筆いただきました。

私の自己紹介

石坂 達(いしざか とおる)

埼玉県朝霞市出身
合同会社PLUCK 代表社員

大学卒業後、国内大手ERPパッケージベンダーに就職し、システム導入・保守コンサルタントとして勤務。2012年10月、まちづくりで有名な隠岐の島・海士町へ移住。株式会社巡の環にて、地域づくり・教育事業コーディネーターとして働く。その後沖縄県久米島町に移住し久米島町の移住定住推進を担う地域おこし協力隊「島ぐらしコンシェルジュ」として活動。現在は合同会社PLUCKを起業し、身の丈にあった起業スタイルを実践中。

私が移住した地域はこんなところ

私の住む沖縄県久米島町は、那覇から西へ100km、東シナ海に浮かぶ人口約7,700人の小さな町です。エメラルドグリーンに輝く海や白砂のビーチ、青々とした木々が茂る山が広がり、琉球一美しい、という意味で「球美の島」とも呼ばれています。
近年では海洋深層水を複合的に利用した産業創出と発電実証実験など、革新的な取組みにも挑戦しています。

はての浜遠景

写真:はての浜の遠景

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写真:奥武島(おうじま)の畳石

海に沈む夕日

写真:アーラ浜から眺める沈む夕日

【PR】移住を検討されている方にお知らせ

なぜ移住しようと考えたのか

大学卒業後は東京で、ITコンサルタントとして働いていました。仕事にプライベートに忙しく、楽しい日々を過ごしていたのですが、反面都会での暮らしにだんだん疲れを感じるようになりました。平日は一所懸命働いて消耗し、土日に疲れを癒やし、次週に備える…そんな日々の繰り返しで、人生が進んでいないような感覚を味わっていました。

そなかな中友人が紹介してくれたのが、島根県の離島、海士町のまちづくり会社の求人だったんです。「環境を変えれば、次の人生のフェーズが見えるかもしれない…」そう思い、転職を決意しました。

海士町での暮らしはとても魅力的でしたが、海士町が地方創生の文脈で有名になるにつれて、より黎明期的な地域で自分の力を発揮してみたい、そう思うようになったんです。

そんななか、やはり知人の紹介で知ったのが久米島町でした。

自分の仕事による影響が見えやすいコンパクトなサイズであることや、下見にときた時に魅力的な地域のプレイの方々ヤーとお会いできたこと、あと冬でも暖かいことなどが気に入り(笑)、下見から2ヶ月後には移住することを決めていました。

さとうきび畑と海

写真:久米島町の一面に広がるさとうきび畑

シンリ浜

写真:シンリ浜の夕方の風景

移住するまでこんなことありました

私の場合、久米島町へ移住する前にもっと田舎の海士町に住んでいたこともあり、特に移住自体に関する大きな不安はありませんでした。

一般的に多くの人が移住する際に不安に思うこととしては、平たく言う友達だちができるか」のようです。

私の場合はもともと久米島に関わっていた方と一緒に下見に来た際に、その方経由でいろいろな方を紹介してもらいました。移住前に地域のハブとなっているような人とつながったり友達になったりすると、いろんな心配ごとが解消できるかと思います。

ですがそのような顔の広い人は同様にいろんな地域外の人からの質問を受けていたり相談にのったりしているものなので、迷惑にならないよう、ネットで調べれば分かるようなことは聞かないよが良いでしょう。

移住後のライフスタイル

移住後まずは地域おこし協力隊として働いていたのですが、たとえば1年目のある日のタイムスケジュールは次のような感じでした。

7:30 起床、シャワー、朝食、畑の水やり
8:20 出発
8:30 仕事
12:00 昼食
13:00 仕事
17:00 勤務終了、帰宅、休憩
18:00 アウトドアリクライニングチェアを持ってビーチへ
18:30 ビーチで読書、夕日を見る
20:00 帰宅、夕食、自由時間(本読んだりネットサーフィンしたり庭でBBQしたり)
24:00 就寝

今は独立していますので、日によって大きく時間の使い方が異なります。たとえばこんな感じですね。

9:00 起床、シャワー、朝食
10:00 仕事(ウェブ会議など。予定がなければ午前中ごろごろすることも)
12:00 昼食、昼寝
14:00 仕事(家でやったり島内のコワーキングスペースに行ったり)
18:00 庭仕事(畑を耕したり薪割りしたり)
19:00 夕食、シャワー
20:00 休憩(食休みがてらごろごろしてます)
21:00 仕事(在宅ワーク)
23:00 庭などで小さく焚き火しながら飲む
25:00 就寝

朝が弱いのと昼寝が好きなので、主に夜型の生活になりがちです。

移住して分かった地方暮らしの魅力

やはりアウトドアの遊びが楽しいです。

一時期はキャンプにものすごくハマり、年間50泊ほどしていましよ。良くも悪くも久米島はキャンプ人口が少なく、毎回ほぼ貸し切り状態です。家からキャンプ場まで20分~30分程度で行けるので、気が向いたらいつでもキャンプに行けるんですよね。

仕事終わりに「今日は天気が良いからキャンプに行こうかな」と思い立ったら、1時間後満天の星の空の下で焚き火をする、なんてことができちゃうんです。この環境はキャンプ好きにはたまらないかなと。

キャンプイベント

写真:POTLUCK CAMPという持ちより型のキャンプイベントを開催

パーティの様子

写真:キャンプイベントでテーブルを囲み食事をしている様子

あとは、魚突き。よゐこの濱口さんの「とったどー!!」ってやつですね(笑)。私は移住して2年めに魚突きをはじめたのですが、アドレナリン全開になる感じで、これが楽しいんです。

魚突き1

写真:魚突きした時の様子

久米島は四方を海に囲まれており、島の各所に船に乗らなくてもエントリーできるスポットがあります。陸地から海にちょっと潜れば、サンゴが広がり色とりどりの魚が踊るように泳ぐ、竜宮城みたいな世界が広がってるんです。「今日はどこを狙おうかな」なんて考えるのも楽しいですよ。

ついた魚を拾った薪で焼いて食べる

写真:ついた魚を拾った薪で焼いて食べる

移住先での住まいについて

最初は同期の地域おこし協力隊の子とシェアハウスをしていました そこで数ヶ月暮らしながら、ゆっくりアパートを探しました。

アパートは築20~30年程度の2LDK、家賃は43,000円、敷金礼金は1ヶ月ずつでしが、、当時久米島町の地域おこし協力隊には40,000円まで家賃手支給されていていましたので、毎月の家賃負担は実質3,000円でした。
 
その後縁あって、倉庫や畑、庭もついた6LDKの古民家に住めることに。家賃はここでは言えませんが、かなりの破格です…! 大家さんが「家に誰か住んでもらわないと荒れる」と考えてらっしゃることが、安さの理由ですね。そのため庭の草刈りをちゃんとやることと、仏壇を移していないためお盆などのタイミングでは家を使うことなどが条件です。

畑にはバナナが植えられており、ときどき収穫できます。バジルやローズマリーなどのキャンプ料理で使いやすいハーブも育てています。庭はBBQしやすくてよいです。

ただその分、ぐんぐん生えてくる雑草や、ネズミや「G」などの害獣・害虫と戦う毎日ではあります。

キャンプ体験イベントにてダッチオーブン料理を振る舞う

写真:キャンプ体験イベントにてダッチオーブン料理を振る舞う

移住先でのお金事情について

【収入】
沖縄の平均賃金は全国最低クラスです。データにもよりますが、平均年収は概ね200万円程度。そして久米島は190万程度です。そのためたとえば他の地域では薄謝とされる地域おこし協力隊の給与が、沖縄では「高給」とされます。

私個人の感覚としては、東京やその他大都市で500万円くらいもらえる仕事があったとして、沖縄では同じ仕事内容でもらえる金額は250万円~300万円程度だと思ったらよい気がします。

支出にもよりますが、久米島のみならず沖縄で暮らすなら、単身の場合概ね月収20万円くらいは少なくとも必要かな、と思っています。

【支出】
久米島のみならず沖縄は、固定費がけっこうかかります。つまり「家賃」と「車両費」です。

家賃はだいたい久米島の場合、築20~30年程度の2DKで4~5万円が平均ラインかと。新築の場合は1DKで5~7万円程度のようでけっこう結構高いですよね。

車両費についてですが、島内の移動は軽で十分です。ただ、劣化が早いんです。沖縄の強い日差しと潮風で、みるみるうちにサビていきます。結果として車の寿命は短くなり、その分コストは割高になります。

その他の生活費についてですが、久米島の場合amazonの送料はほとんどの商品で本土と変わりませんし、島内に大型ドラッグストアやスーパーもあります。価格は本土の激安スー並みー並とはいきませんが、「離島」という響きからイメージするほど高くはありません。

ただ、リンゴやレタスなどの、寒い地域でつくられる生鮮食品は割高です。鮮よも良くないものが多いですね。たとえばレタスは、夏場には1玉600~1,000円前後で売られています。島野菜は割安ですが、偏食な方はちょっとつらいかもしれません。

移住先での暮らしで困ったこと

たとえば「生活が職場と家の往復になってしまうこと」。

東京では仕事帰りに寄り道をしてショッピングを楽しんだり、新しい趣味や習い事を始めたり、といったことがしやすいですよね。ですが久米島ではそのようなサービスは限られますので、ともすれば職場と家の往復になってしまい退屈する、なんて自体にも陥りかねません。

私の場合は行きつけの店をつくり、夜そこで仕事しながら常連客さんとの会話を楽しむようにしました。このようなサードプレイスの存在は特に田舎ではとても重要だと思います。

あとはそうですね、仕事の締め切りに追われているときに太陽の光を反射しキラキラと輝く海を見ていると、「なんで俺はこんな日に仕事してるんだろう…」などと思ってしまうことでしょうか。天よが良い日は本当に仕事がはかどらなくて困ります(笑)。

登武那覇(トゥンナハ)園地より

写真:登武那覇(トゥンナハ)園地より

地域おこし協力隊に応募した理由

私は今後の日本に必要な「新しいまちづくり」を推進する会社をつくりたいと思い、久米島に移住しました。地域おこし協力隊に応募したのは起業への足がかりとして、地域内のネットワークをつくりながら起業のアイデアを練るためです。

地域おこし協力隊の活動内容

移住定住推進のためのワンストップ相談窓口「島ぐらしコンシェルジュ」の立ち上げと運営を行いました。久米島町では毎年100人の人口減少が続いており、それに歯止めをかけることがミッションです。

「移住者数」やその背景にある「移住希望者数」を重要なKPIとして定めた上で、ホームページの設計や運営、求人のマッチング、交流イベントの企画などを実施しました。

結果として毎年150人以上の移住希望者、20人以上の移住者(島ぐらしコンシェルジュへ接触後移住した人の数)獲得を実現し、沖縄県内における移住定住推進のモデルケースと言われるようになりました。

事業を始めようと思ったわけ

「なぜ移住しようと考えたのか」の項でも説明したように、もともと起業するつもりで久米島に移住しました。ですが会社としてのビジョンや具体的な事業内容は決まっておらず、地域おこし協力隊の活動を通じて考えていきました。

まず「都会から田舎へ移住する人を増やす」ような事業がしたいと思っておりました。自分が東京から田舎へ移住して、心よら良かったと思っているからです。

また地域おこし協力隊での活動を通じ、「自分のやりたいことで仕事をつくれる人を田舎に増やす」ことや、「今後衰退期を迎える日本でも豊かに暮らす仕組みをつくる」ことに取り組もうと思いました。

事業を始めるまでにやったこと

地域おこし協力隊時代に活動時間と予算の一部を使わせてもらい、研修に参加したり、事業の準備をさせてもらったりしていました。

また同じく在任中から複業にも取り組み、週1~2程度の稼働で、毎月5~10万円くらいは稼げるようになっていました。

このような「助走期間」を持てることは非常に重要です。そのため、地域おこし協力隊から起業を目指すなら、働き始める前に「起業の準備に時間や活動費を当てられるか」「複業はOKか」を確認しておくことをおすすめします。

さらに、地域おこし協力隊は卒業後起業すると最大100万円の起業経費が使える(※)のですが、これには配属先の自治体で起業制度を整備してもらう必要があります。そのため町役場の担当者の人と協議しながら、起業制度の設計を行いました。

この制度設計には半年~1年単位で時間がかかりますので、今時点で起業制度がない自治体に属している方はやはりご注意ください。

※正確には「協力隊最終年次」又は「任期終了翌年」に起業する人

事業の内容について

衰退期の日本に必要な事業づくりに挑戦しています。事業の対象を大きく「公(行政)」、「共(コミュニティ)」、「私(個人)」に分類し、次のようなミッションで活動をしています。

 公:行政のデジタル変革や共創を通じ、衰退期の日本にマッチした行政の仕組みづくりに貢献する
 共:シェアを通じ、生活コストを下げながら豊かに愉快に暮らす選択肢を提供する
 私:身の丈にあったスモールビジネスの作り方を普及し、「身の丈起業家」を増やす

具体的には次のような仕事をしています。
 公:県や市のデジタル戦略策定支援など
 共:久米島内での物々交換コミュニティの運営、地域内の仕事を斡旋する「複業ギルド」の立ち上げと運営など
 私:「身の丈起業」に関する研修や講演。また自分の「身の丈起業」として、アウトドア事業を展開中

事業の今後のプラン

「公」の領域では、自治体におけるデジタル変革のニーズが高まっているのを感じています。現在沖縄県外の案件を請けておりますが、どこか意欲のある県内の自治体さんと組んで、沖縄に貢献していきたいですね。

「共」の領域では、2020年度中に「住んでその日暮らしが楽しめるシェアハウス」をつくる予定です。

そこではキャンプ用品や釣り竿、ボードゲームなそろが揃い、いつでも仲間と利用することができます。また私が島内の遊び仲間を紹介しますので、住み始めてす友達だちができます。希望する方には地域内外の仕事も紹介します。

最後に「私」の領域ですが、自身の「身の丈起業」として運営しているアウトドア事業を拡大していきたいですね。

地方で起業して分かった面白さ、やりがい

沖縄には「なんくるないさ」という言葉があります。「なんとかなるさ」という、とても楽観的な言葉のように聞こえますが、これは正式には「まくとぅそーけー なんくるないさ」という言葉です。

「まくとぅそーけー」とは、「人として『まこと』のことをしていれば」という意味。つまり「まくとぅそーけー なんくるないさ」とは、「人の道として正しい行いをしていれば、自然とあるべきようになるものである」という意味なんです。

地方で起業するということは、この「まくとぅそーけー なんくるないさ」という言葉の意味を特に実感します。

地域にはいろいろな人がいます。正しいことや地域のためになることをしているつもりでも、石を投げられるようなことがあったり、期待が裏切られたりするようなことがあります。

そんなときは、とてもつらいです。腐りそうになります。でもそんなときこそ、「まくとぅそーけー なんくるないさ」のことがとても大事だな、と思うのです。

 特にとりたてて優れた能力や経験があるわけでもない私が今こうして食べられているのも、私なりに正しいと思うことに挑戦してきた上で、色んな人が助けてくれたり応援してくれたりするからだと考えています。

移住検討している方へメッセージ

「田舎 起業」といったキーワードで情報を調べだすと、華やかな経歴を持った人たちが地域で活躍している様子をよく見かけるかもしれません。

大企業の安定を捨て、背水の陣で事業に取り組み、度重なる危機を乗り越え、大きく成長していく…このようなストーリーにはきっと多くの人が心を打たれ、また憧れを持つことでしょう。かくいう私もそうでした。

ですがこのようなやり方がすべてではありません。メディアで紹介されないないくらいに地味で、洗練されておらず、吹けば飛ぶようなビジネスだけど、リスクも負債も少なく、マイペースで死なない起業ができる。そんな選択肢もあるはずです。

私はそんな身の丈にあった起業スタイル(そのまんま『身の丈起業』と呼んでいます)を実験しています。そして自分のやりたいことをやりたいようにやり暮らす人が田舎にもっと増えればいいな、と思っています。

そして田舎での身の丈起業を実践する上で、地域おこし協力隊は非常に良い制度です。

ただし、自治体や担当者によって当たり外れがあります。そしてそのような情報は、ホームページなどのメディアには上がってきづらいものです。

移住推進をしている団体や先輩移住者、周辺自治体の地域おこし協力隊などにあたるなど、ホームページには現れない一次情報にアクセスしてみることをおすすめします。

(終わり)

LIFULL 地方創生からお知らせ

地方移住マッチングサービス「LOCAL MATCH」のティザーページ公開

【未来が描ける移住はじめませんか】
地方移住マッチングサービス「LOCAL MATCH」2021年5月サービス開始

LOCAL MATCH は、未来の「仕事」「暮らし」「将来設計」を事前に描ける移住プラットフォームです。
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