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広報なら誰しもが一度は悩む(?)メディア露出の効果検証に挑んでみた

こんにちは、LIFULLでPRを担当している小田です。

突然ですが、みなさんの会社では何のためにメディアプロモートをしていますか?
メディア露出は必ずしも即効性がある訳ではないから、経営にインパクトを与えられているかぱっと見分かりづらいし、

PR担「露出しましたー!」
経営層「でかした!で、売上上がった?株価上がった?」
PR担「…」
みたいなやりとりも聞こえてきそうです。

KPIの設定だったり、効果検証という部分は広報・PRを担当される方であれば一度は頭を抱えた経験があるのでは?と思うのですが、それはLIFULLのPRグループも同じ。今までは心にわだかまりを抱えながらも「少しくらいはきっと役には立ってる~♪(世代がバレそうですw)」くらいに思いながら働いてきました。

今回はPR業務の貢献を見える化することでモチベーションを上げ、改めて目標に向かっていく決意をすべく、チームメンバーでパンドラの箱を開けてみたお話をしたいと思います。

少しでも参考になる部分があれば最高ですし、参考にならなくても「LIFULLも同じことで悩んでるんだな」と悩みを分かち合えたら嬉しいです。

①Action、Output、Outcomeを思いつく限り洗い出してみる

まず思いつくままにざっと挙げてみました。(きっとこんなもんじゃないハズですが、お許しください…)
ここから自社にとっての最善(かつ取得可能)な指標はどれなのか?吟味をしていきます。

②Outcome指標をピックアップしてみる

まずは③のアウトカム指標から。

「売上高」や「株価」に貢献している!と言えるのがベストではあるけど、当社のように断続的にマス広告をやっていたり、事業部毎にキャンペーンを打っている中でメディア露出との相関を見るのは至難の技です。
また先述の通り、すぐ売上や株価に寄与するかというとそこらへんも難しい…

ということで、
1)指名検索数
2)ブランド認知率 ※ここでのブランドは「LIFULL」を指します。
3)サービス(事業)認知率
4)企業姿勢・事業内容認知率
5)報道認知率

の5つを一旦ピックアップしてみることにします。

③Output指標をピックアップしてみる

バルセロナ原則3.0では

「広告換算はコミュニケーションの価値を測定するものではないよ~」とか
「コミュニケーションの測定と評価は、質と量の両方を含む必要があるよ~」とか提唱されていますので、
量から
・重要媒体掲載数
質から
・スコアリング
をピックアップしてみました。
(ちなみに、重要媒体掲載"率"も検討したのですが、こちらでのハンドリングが利きづらいという観点から"数"を選びました)

※LIFULLの重要媒体について
定量(一定のPV数を持つメディア)+定性(業界誌・LIFULLが力を入れている領域に特化したメディア)の双方の観点で重要メディアを選定しています。
※LIFULLのスコアリングについて
メディアパワー✕記事の質✕ポジネガで露出のスコアを付けています。

④Action指標をピックアップしてみる

LIFULLの場合はPR会社さんにご支援をいただくこともあるので、記者リスト数や記者面会数で見るのは最適ではなさそうです。

相関を見るためにはある程度ボリューム(数量)があるのが良さそうなので、
・リリース配信本数 の他、
・リリースの閲覧数
も見てみようと思います。

⑤指標は揃った!相関を見てみよう!

改めまして、以下の指標で直近1年間の相関性を見てみます。
①Action(アクション)指数
 ーリリース配信本数
 ーリリースの閲覧数
②Output(アウトプット)指数
 ー重要媒体掲載数
 ースコアリング
③Outcome(アウトカム)指数
 ー指名検索数
 ーブランド認知率
 ーサービス(事業)認知率
 ー企業姿勢・事業内容認知率
 ー報道認知率

まずは①Action(アクション)指数と②Output(アウトプット)指数の相関から。



どん!

※リリースの閲覧数についてはLIFULLの場合PVでもUUでも大きく変わらず、相関係数は一緒でした。

✔ リリースの配信本数とOutput指数(重要媒体掲載数/スコアリング)との相関は若干弱い
→推察できる要因は2点です。
①インハウスのメディアプロモートに力を入れており、リリース配信に依らない露出が獲得できている。
②時期により予算を掛けての大々的なPR施策を打っており、リリースの本数的には1件だけど、露出数が爆増することがある。

✔ リリースの閲覧数と重要媒体掲載数/重要媒体のスコアリングには強い相関

続いて②Output(アウトプット)指数と③Outcome(アウトカム)指数の相関を見てみます。



どん!どん!

すごくモヤモヤする結果ですね…(笑)

Outcomeへの相関になったら急に相関性が弱くなってしまったのですが、その理由は明確でした。

LIFULLはマスターブランド戦略を取っているのです。

なのでマスターブランドPRも行っているし、サブブランド(事業)PRも行っています。
マスターブランドPRとサブブランドPRでは目的も違うのに、それを分けずにグロスで相関を見たがために相関が弱くなってしまったのです。

ということでこの後、PRチームはメディア露出の仕訳の旅に再び出たのでした…。
(余談ですが、「報道認知率」の相関が見られなかったのはCMを報道と認識してしまっている人がいることが大きく起因しており、聴取の仕方も検討しなければならいないと感じました)

⑥重要なこと

こんな中途半端な結果を披露し、お恥ずかしい限りではありますが、今回パンドラの箱を開けてみて気付いた重要な点が3つあるので最後にお伝えさせてください。

1)あらゆる可能性を鑑みてデータをストックしておく

正直、見てみたい指標の中で「今まで取得/見てこなかったから扱えないな…」と涙を飲んだものもいくつかありました。
(先述のメディア露出がそれぞれ何を狙ったものなのかの仕訳だったり、掲載メディア/掲載メディアSNSのリーチ数だったり)
検証をするにあたってあらゆるデータのストックは改めて大切だなと感じました。
(当たり前すぎてごめんなさい)

2)会社のフェーズによって置くべき指標も変わってきそう

例えば、LIFULLのPRの中期計画のGOALは「社会課題解決型企業(ソーシャルエンタープライズ)=LIFULL」という認知獲得です。
そのようになってくるときっとインバウンドでの取材獲得も今以上に増えてくる(=自走しはじめる)でしょうし、そうなると「メディアからの問合せ数」なんかも指標に入れたいなと思いました。

3)分かりやすい結果が見えなくても、一旦出してみて、あーだこーだ言い合う機会を設けることが大切

業務を遂行していると、どうしても目の前のことをこなすのにいっぱいいっぱいになってしまいがちです。
そうすると、「自分が何のために目の前の業務をやっているのか?」ということに意識が行かなくなり、メディアに出て良かった/出なくて悪かったみたいな浅い思考で成果を測ったり、PR施策が終った際に虚無感だけが残った…なんてことにもなりかねません。

キレイな結果が見えなくてもチームで共有し、「ああじゃない、こうじゃない」と言い合うことで改めて全員が目的を見つめ直し、結果として目的を意識したメディアリレーションを図れるようになるのでは?と考えています。

⑦もっと重要なこと

まだまだ途上のPRグループ。一緒にあーだこーだ言ってくれる仲間を募集中です!


また、「うちではこんな感じで計測してるよ!」みたいなご意見・アドバイスも各社広報さんからいただけましたら大変嬉しいです!



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