「リジェネラティブなビジネス」×「生命論的パラダイムに基づく経営・マネジメント」という潮流の日本事情について調べたくなりました
はじめに
2022年の春から秋にかけて、友人たちと書籍「Regenerative Leadership」について読んでいました。
書籍のChapter3では、The Dawn of a New Leadership Era(新しいリーダーシップの時代の幕開け)というタイトルで、「世界で次のステージのリーダーシップや組織意識が出現している」という内容が書かれていたのですが、この潮流は「日本ではどうなのか?」が気になったので今回はそちらについて書きます。
「次のステージのリーダーシップ、組織意識」とは?
次のステージとは何のこと?と思われると思いますので、書籍にDeepL翻訳をかけたものを引用します。
上記を眺めると、書籍「ティール組織」を彷彿とさせるようなフレーズが頻出していることが分かります。
あえて、単純化するならば次のステージとは「生命論的パラダイムに基づいた経営観・組織観」と言えるでしょうか。
書籍「Regenerative Leadership」が出版されたのは2019年であり、「ティール組織」の原著が出版された2014年より約5年後のことです。
内容をみると、実際に書名も出てきますし、ティール組織の影響を受けているように思えました。
「次のステージのリーダーシップ、組織意識が出現している」潮流について日本の場合は?
では、このような潮流は日本においてどうなのでしょうか。
以前こちらの記事で書いたように2018年に日本で書籍『ティール組織』が出版されて以降、日本の実践者による書籍の出版が少なくとも2022年当時までで10冊販売されています。この意味では、新しい潮流が顕在化し、話題として扱いやすくなってきているとは言えそうです。
私が調べた範囲によると昨今語られているティール的と見立てられる日本企業の事例は古くは名南製作所(1975年に出版)、前川製作所(1987年に出版)について書かれた書籍に見出すことができます。
その後、2006年にセムラー社について書かれた2冊目の書籍である『奇跡の経営』(原著は2004年に出版)が出版され、多くの経営者が手にとり衝撃を受けたと当時を知る経営者の方々に直接聞いていますので、この頃が第1次ブームと呼べるのかもしれません。
実際、同じく2006年にセムラー社について書かれた1冊目である『セムラーイズム』の文庫版が出版されたり(原著は1994年に出版)、
日本において次世代型のリーダーシップや組織論について先駆的に提唱された元SONY上席常務の天外伺朗氏が『マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ』の出版を皮切りに、人間性経営学シリーズを出版していきます。
また、天外氏の書籍でロールモデルとして紹介された株式会社ヒューマンフォーラム創業者の出路雅明氏の書籍『ちょっとアホ!理論 倒産寸前だったのに超V字回復できちゃった!』も同年に出版されています。
また、「自然経営(じねんけいえい)」を提唱し、生命論的パラダイムに基づく経営を伝導している社会システムデザイナーの武井浩三さんが創業されたのは2007年のことです。
リジェネラティブなビジネスを行っている日本企業における事例は?
ちなみに、上記の和書で紹介された企業は出版された当時、従来のCSRやサステナビリティ・それらを越えたリジェネラティヴな取り組みという文脈で紹介されていません。
リサーチ不足の中の仮説ですが、日本においてニューパラダイムのリーダーシップや組織体制と、リジェネラティヴビジネス(サーキュラーエコノミーなど)はまだ距離があると言えるのかも!?
ちなみに日本人も知っていて、どちらとも重なっている事例としてはパタゴニアがあります。書籍『ティール組織』でも取り上げられています。
これはこれで日本における環境ビジネスの変遷というテーマで扱っても面白そうです。
組織体制という観点で調べた訳ではありませんが、サーキュラーエコノミーに先駆的に取り組んできた企業と言えそうなユーグレナは2005年、日本環境設計は2007年の創業と「次のステージのリーダーシップ、組織意識」の第一次ブーム(仮)の時期が似ているのは興味深いですね。
さいごに
書籍「Regenerative Leadership」で紹介されているような、リジェネラティヴなビジネスを生命論的なパラダイムに基づく経営・組織運営で行っている会社の例が日本にどのくらいあるのか?については「ティール組織」という文脈で国内の情報収集をしてきた私が見知った範囲においてはすぐに浮かびませんでした。
(ここがそうだよ!というのをご存知の方、ぜひ教えてくださいませ)
ですので、この辺りは私としても気になるのでアンテナを立てていきたいと思います。(そのためには改めてこの書籍におけるリジェネラティブなビジネスの定義について読み直さねば!)
おまけ
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