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日本で1975年以前から役員を投票で決めたり、全員で相互評価する会社がありました

現在こちらの書籍を読んでいます。

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1953年創業、1975年に出版された書籍の時点で

・役員は投票で決定
・役員はいるがそれ以下の役職者はなし
・全員の相互評価

といった特徴の経営をされていたという名南製作所について書かれている本です。

ちなみに2021年現在でも以下の特徴を持っているそうです。

■部課長制度が無い
社員同士がフラットな立場で意見を交わし合うために、部課長制度を採用していません。プロジェクト毎にチームを編成する流動的な人員配備を行い、様々な成功パターンや失敗パターンを共有することで社員の成長を促しています。

■社長の給料を決められる
年に一度、社員同士が評価を行います。決定された評価が、次の年度での給与に反映される「相互評価制度」を採用しています。社長や会長も評価の対象であるため、若手も社長を評価します。普段からコミュニケーションを密に取っている名南製作所独自の制度です。

■気づいた人が次のリーダー
新規開発機械のスタートは変化が必要だと感じる人から始まります。
アイディアを実験的に取り組み、結果を周りの人たちにシェアし、多くの賛同者が集まった時、新たな開発テーマとして進行していきます。

■"社員は株主"役員の選出も社員全員で
入社5年目を迎えた社員は、株主となるのが名南製作所の習わしです。株主総会はいわば、経営者会議の場でもあり、経営の現状分析や将来の展望などを社員全員で議論。社長や役員の選出についても、一人一票の信任投票で社員が行います。

会社HP2022年の新卒採用サイトから引用

この本は絶版ですが幸運なことに安く手に入れることができました。

以下は、別な記事の引用ですが創業者である長谷川克次氏はこのようなことを言われています。

『社員に言っていることは「会社のためにではなく、自分のために働け」ということです。人間には3大本能があります。自分を守る、家族を守る、集団を守る、の三つです。この三つが満たされないと人間は苦しくなります。

私たちの場合、集団が名南製作所です。名南を「自分の集団」と感じられるよう、名南での居心地がよくなるよう、どうぞ自分のために働いてくださいと言っているのです。名南には同僚や後輩に教えようという社員がたくさんいます。自分の居心地をよくしようと、他人に教えているのです。それがいいのです。

矛盾だらけの人生にあって、この3大本能のバランスがとれるよう、名南は模索を続けています。社是としている自然法則F=ma(力=質量×加速度)と同様、逆らうことのできない人間の本能に向き合っているのです。』

(東洋経済のこちらの記事からの引用)

「自然経営」の著者であり、社会システムデザイナーである武井浩三さんにその視点をいただいてから自分でも探求していたことの1つにティール組織的な特徴を持つ企業の人間観は、性善説でも性悪説でもなく、性弱説ではないか?というものがありますが創業者のこの言葉をみるとその確信が強まります。

最も、性弱説とは人間、善き時も悪き時もあるよねという含んで超えている捉え方なのでどっちが良い悪いというものではないです。

また、本の内容が気になる方には有り難いことにすでに内容をまとめてくださっている方がいたので紹介します。

ちなみに、先駆的な経営スタイルとして世界的に著名なセムコ社のリカルド・セムラー氏も大いに参照したと言われるゴア社の創業は1958年です。

名南製作所の創業は1953年とほぼ同時期、そして2社共に創業者が亡くなられてから今日に至るまで独自の特徴を保持し続けている(マイナーチェンジはいくらでもあったでしょうが)という共通項があります。

だからなんだ、ということはありませんが情報が伝わっている範囲における世界のパイオニアと言える会社と同時期から日本にもそんな会社があったというのは興味深いなぁと思ったのでした。


追伸、

途中で紹介した性弱説についてはこちらの記事でより詳しく書いていますので興味持っていただいた方はご覧いただけたら嬉しいです。


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