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提唱者ピーター・カーニックが語る「ソースプリンシプル」〜ソースとは?3つの役割とは?〜


はじめに

Leadermorphosisというポッドキャストがあります。

こちらは、ホストのLisa Gillが「新しい働き方」「指導方法」などの最先端にいる世界中の実践者、作家、思想家との話をお届けするものです。過去には、「ティール組織」著者のフレデリック・ラルーも出演したことがあります。

Lisa Gillのプロフィール(ポッドキャストから引用)

リサは、セルフマネジメントチームとの取り組みが評価され、Thinkers50 Radar 2020 に選ばれており、『Moose Heads on the Table: Stories About Self-Manageing Organisation fromスウェーデン』(2020)の著者でもあります。彼女は組織自己管理コーチ、タフ・リーダーシップ・トレーニングのトレーナー、そしてReimaginaireの創設者です。

今回は、「ソースプリンシプル」提唱者のピーター・カーニックが出演した時のものから、ピーターが「ソースが持つ役割」について語っている箇所を引用・翻訳してお届けします。

ピーターカーニックの語るソースが持つ役割とは?

以下は、すべて翻訳文です。翻訳は主にはDeepL翻訳を活用しています。

1.イニシアチブ、プロジェクトなどのビジョンを実際に受け取ること

『1つは、イニシアチブ、プロジェクト、エンタープライズなどのビジョンを実際に受け取ることです。

多くの人がアイデアを持っています。アイデアを持っている人と、ソースである人の違いは、ソースは、実際にリスクを取って、「これは実現する、これは私がやることだ、あなたも一緒にやろう、よかったら入ってくれ」と言う最初の人であり、2番目、3番目の人に招待状を出すような人です。

つまり、ソースとは、ビジョンを受け取り、実際に実現への第一歩を踏み出す人のことです。そのためには、自分自身を投資し、ある種のリスクを負う必要があります。リスクにはさまざまな形があります。これが最初の役割です。』

2.何かを明確にしたときに、それを伝えること

『2つ目の役割は、何かを明確にしたときに、それを伝えることです。明確であることは、ソースにとって組織的な原則です。ですから、ほとんどの場合、私たちは自分のプロジェクトやイニシアチブについて明確になっていません。そして、これは人生における単なる事実である傾向があります。おそらく、少なくとも80%以上の時間は、次に何をすべきかわからず、次に何をすべきかを探しているのだと思います。しかし、はっきりしない状態で決断を下すと、ほぼ必然的に悪い決断になる。だから、ソースは、自分のプロジェクトを知るために、次に進むべき方向性を明確にするために、多くの時間とエネルギーを投資しなければならない。

そして、ほとんどの場合、自分自身が明確であれば、それを顕在化させるために必要なことは、一緒に働く人たちにそれを伝えることだけです。ですから、明確さを伝えることが第2のステップであり、第2の役割なのです。』

3.エネルギーフィールドの境界を管理すること

『私は、ソースワークの観点から、組織をエネルギーのフィールドとして見る傾向があります。このようなリスクを持ってイニシアチブを始めると、創設者は実際にエネルギーフィールドを作り出しているようなものです(と呼べるかもしれません)。エネルギーという言葉が好きでないなら、影響力のあるフィールドと言うこともできます。

だから、どこの国のどんな創業者を見ても、彼らは他の人に影響を与える影響力のある人物であり、物事に影響を及ぼしているのです。リチャード・ブランソンやスティーブ・ジョブズを見てください。でも、パーティーを開くと決めたり、明日料理を作ると決めたりするだけで、他の人に影響を与え、物事に影響を及ぼしているのです。私は、組織をもっと有機的なエネルギーや影響力の場としてとらえたいと考えています。

そして、第三の役割が見えてきます。これは、従来の人々の管理、構造の管理、この戦略計画の管理とは異なり、実際にこのフィールドの境界を管理することです。

なぜなら、ソースは、そのフィールドに何があるかを決定する必要があるからです。何が入っていて何が外れているか、そのフィールドに属するものは何か、私が始めた影響力のフィールド(これを「組織」と呼ぶかもしれません)内で何が起こるか、そしてその中にあるべきではないものは何か。

当初のビジョンに対してある種の整合性が保たれるように、それが実際に現れ、実際に起こっており、あなたがそう思うように、境界線を維持することに努めます。そうしたものを受け入れないと、実際にはこの誠実さが弱まり、(フィールド内に)不快に感じることが起こり始めるでしょう。』

上記3つがソースの役割ですが、ピーターはこのソースワークはフルタイムジョブと言っています。

ビジョンは静的ではなく動的であるため、それを管理すること、明確になったときに実行する必要がある次のステップを伝えること、しかし多くの場合、明確ではないため、多くの時間を費やすことになります。あなたの業務において次に何が起こる必要があるのか​​を明確にすることに多くの時間を費やす。

創業経営者と現場のギャップを埋められる?

私が学び始めて感じた価値の1つが、今回紹介した3つの役割をはじめとするソースプリンシプルにまつわる叡智が共有されることで、経営者(小さな会社、創業経営者のイメージで使っています)の行動の意味が分かるようになり、創造のための協働がよりスムーズになっていくということです。

注意
会社において必ずしも経営者=ソースではありません。創業経営者は、その会社(イニシアチブ)のソースであるケースが非常に高いと言っていいでしょう。また、前提としてはあらゆる役職に関係なく、誰もが自分の人生のソースである、と捉えるのがソースプリンシプルの重要な前提となります。

現場としては、経営者のある種、朝令暮改的な動きに振り回される感覚があったり、実際にプロジェクトを進めていく中で途中からフィードバックが入った時に「そうだったなら最初から言ってよね」と感じる機会はあるのではないでしょうか。

もちろん全てが当てはまるわけではありませんが、実際のところは経営者自身も動いてみて初めて分かったことがあり、それに基づいて指示を変えたり、やることを変えたというケースは多いでしょう。

このことが分かっていれば、物事はスムーズに進むように思えます。

しかし、経営者と現場の双方には、「役職が上がっていけばいくほど、会社のことについて分かっている(何が正解かを知っている)、経営者はその最たるもの」という常識が根深いように思います。

これは、ある方が言っていた「工場パラダイム」と呼ばれるこれまでの時代の主流においては事実そうだったからこそ、機能しており、無意識の前提となったと言えます。

また、経営者自身も「分からないことがある自分を受け入れられない、不明確であることは弱さだ、その弱さは克服されるべきものだ、そんなことでは組織の長として失格だ」としているケースもあるように思うのです。

これはそのまま、昔の家庭における父親像そのものであるとも思えます。

これらの認識が、ピーターのいう「ソースは80%以上の時間は不明確な状態、不安定な状態にいる」とは思わせない状況をつくっていると言ってもいいのではないでしょうか。

そして、だからこそ創造のための協働において不要な摩擦が生まれているケースもあるように思うのです。

さいごに

私自身、小さな会社の創業経営者と仕事をさせていただく機会が多いのですが、なぜ価値提供できてきたのかというと、今回紹介した「ソースの役割」について感覚的に掴んでおり、その前提の上でサポートしていたからなのだと気づきました。

なぜそれができていたのかは、私のどちらかというとネガティブな原体験によって育まれてきた強みが影響していると分析しており、「禍福は糾える縄の如し」だなぁと改めて思わされますね。

現在、日本語でアクセスできるソースプリンシプルにまつわる書籍は『すべては1人から始まる――ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』があります。(ピーターから長年指導を受けているトムニクソン氏が原著を書いています)この内容を知った一定数の方は、自身の経験をうまく言語化してくれていると言っていましたが、私も原書を読み始めた頃に同じように感じたことを覚えています。

なんと、この書籍がHRアワード2023年 書籍部門で入賞を果たされたそうです!

じわじわと注目されてきているソースプリンシプル、まだ手に取ったことがない方はぜひ読んでみてくださいね。


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