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【京都からだ研究室】中期第1回ワークショップ(7月31日) 参加レポート

(この投稿は、先に別のSNSに投稿したレポートを骨格にして適宜加筆して、note向けに再編集したものです。100円設定ですが、全文無料でご覧いただけます)

京都からだ研究室の概略

昨年で終了した「藤田一照仏教塾」の"ファウンダー"ともいえ、また、私にとっては"盟友"ともいえる、後藤サヤカさんが今年2021年に新たに開き、一照塾の善友たちによって運営されている、"これからの時代を、いのちを活かして生きていくための身体探究のコミュニティ"、「京都からだ研究室」。

(運営メンバーご紹介動画はこちら ↓ )

4月から6月までの前期には、ボディワーカーの小笠原和葉さんをゲスト講師としてお招きして開講されました。


(前期の簡単な振り返りと、研究室中期に向けてのご案内はこちら ↓ )

ゲスト講師は田中ちさこ先生

7月から9月までの中期には、ゲスト講師としてアレクサンダー・テクニーク(AT)教師の田中ちさこ先生をお迎えして、きょう7月31日に第1回ワークショップが行われ、参加してきました。

(ちさこ先生の独自のボディワーク「Evolutionary Somatic Work(現在は"アニマル進化体操")」のプレゼン動画)


それぞれのソマティックな課題に応じたワーク

本日の第1回では、フェイスブック上に設けられた参加者専用のグループページを通じてあらかじめ配信されていた「事前学習動画」を基に、ちさこ先生やサヤカさんはじめ運営メンバーで準備してくださったプログラムに加えて、きょう現地に集まった人たちから、取り組みたいソマティックなテーマや身体についての問題・課題をその場で集めて、一人ひとりの課題に合わせたワークを実修する、自由で自発的・創発的な学びの時間となりました。

ちさこ先生に私から"オーダー"したテーマは、

①「ゆがみのない体幹部のクオリティを保って立つ・座る」
②「立位でロックした(固まった)膝がゆるんで、身体の重さを足裏と床の接点で支えるようになるには?」

という2点でした。

テーマ②については、からだ研究室メンバー専用のFBグループページで予めシェアされていた事前学習動画でちさこ先生がレクチャーしてくださっていた、頭蓋と頸椎の接点、それから足首の関節が"ロッキングチェア"のように可動する感じや、膝関節が曲がっていく方向性の感じに気をつけると、とてもスムーズに立ったり歩いたりすることができ、身体のある部位の問題(この場合は膝ですが)は、その部位だけの問題というよりは、その近隣や周囲との全体的な関連の中でとらえる…ということがとてもよく理解できました。

静止するという運動

また別の視点からの気づきとしては、

「直立している、あるいは坐蒲の上に坐っているという静止した姿勢は、頭蓋骨と第1頸椎(環椎)の関節、足首の関節、その他全身の関節や筋肉や靭帯などが協調して少しずつ精妙に揺れ動きながら動的に成立している」

ということでした。
この点に関しては、陸上競技短距離の元選手の為末大さんも「直立二足姿勢の人間の体は常時揺れている」という観点からの考察をされていますので、参考として以下にシェアいたします。

股関節が消えている?!

テーマ①については、私が学習している中国武術「韓氏意拳」……といっても、最近はお稽古会に参加できていないのですが、意拳のお稽古会でもよく行う「2人で正面から押し合う」という動きの中で、ちさこ先生が

「ひろさんは股関節が"消えている"」


という指摘をくださった上で、頭頂部から尾骨までの背骨の方向性を示してくださりながら、

股関節が「こう曲がってもいいよ」
腰やお尻が「こう後ろに出てもいいよ」

と、手で触れてくださりながら"提案"してくださった後に、また押し合ってみると、身体の重さや先生に押されている力が床にしっかりと伝わって、なおかつ、

"背中が働き出す、押しに参加し始める"感覚

が、ありありと感じられて、非常に驚きました。

「今の僕には難しすぎるのではないだろうか、僕にはできないのではないだろうか(お稽古してないんだからできないのは当たり前なのですが)……」と、足が遠のいていた意拳のお稽古に、また取り組んでみたくなりました!

その他の参加者の皆さんにも、それぞれの課題や問題意識に合った"提案"がなされると、動きの質がその場で変わっていって、横から見ているだけでもすごく参考になりました。

undoing、non-doingのワーク- ATの核心部分へ

最後に皆で取り組んだワークは、

椅子に着座した状態から、「立とう」という気持ちが起こったら、それをやめて手放していく。また別のやり方で立とうという気持ちに気づいたら、そうしないでその気持ちを横に置いていく…

というように、「立とうとして、やめる」をどんどん繰り返し繰り返して、立とうというあらゆる思い、考え、アイデアが断たれてその先にもう何もなくなっていった先に、全く経験したことのない新たな立つ動作とどのように出会えるのかを体験するものでした。

ほんとうはもっとじっくり時間をかけて行なうのだそうですが、この日の最後の15分くらいの短い間でも、まるで公案修行(禅問答)のように、思考の退路がどんどん断たれて、崖っぷちに追い込まれていくような静かな緊迫感の中で、参加者の皆さんそれぞれの「自分らしさ」が自ずと表現されてくるような立つ動きに出会うことができました。

この日のセッションは全体として、アレクサンダー・テクニーク(AT)のワークそのものではないかもしれませんが、

「不必要な・過剰なことをやめていくと、必要なことが必要なだけ起きてくる」

という、ATのエッセンス、核心部分がまっすぐに伝わってくるものでした。

現地参加者の皆さんは、身体感覚を繊細に的確にとらえて、なおかつそれを言葉にしていくのがとても上手で、講師から受講者への"一方通行"ではなく、ちさこ先生と参加者とで、また参加者同士で相互に、即興的に学び合える、非常に創意に満ちたワークショップになったと思います。

和葉さんと取り組んだ前期全3回に参加された方たちも、ソマティックなことに関心が高く、経験したことを素直に吸収できる人たちでしたが、この中期にお集りの方たちも、感受と表現のレベルが非常に高い人たちばかりでした。そして、そんな人たちの中に入って一緒に学ぶことを、和葉さんもちさこさんも存分に喜んで愉しんでくださっていたことが、参加者の一人としてとても嬉しかったです。

今回残念ながら欠席された方、今回はZoomでご参加の方にも、都合が合えば次回はぜひ現地で、リアルに、ソマティックな学びを体験されることを、グループページを通じて絶賛おすすめしたところです。

次回もすごく愉しみです。ちさこ先生、運営メンバーの皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました!

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