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【京都からだ研究室】中期第2回ワークショップ(8月28日)参加レポート

(100円設定ですが、全文無料にてお読みいただけます)
この記事は、先に別のSNSに投稿したものを"下書き"として用いて、適宜加筆したりリンクを貼付したりなどして、note向けに再構成したものです。


前回(中期第1回)のレポートはこちらから

後藤サヤカさん主宰による、身体の構造やはたらきを真っすぐな眼差しで見つめ直して、それを手がかりにいまここで起きている身体感覚に丁寧に繊細に、その都度あたらしく気づいていく身体探究のコミュニティ、京都からだ研究室
8月28日に行われた中期第2回ワークショップに参加してきました。
そのレポートを始める前に、前回7月31日に行われた中期第1回の簡単な振り返りは、こちらからご覧いただけます。


運営さんのご努力に感謝

このワークショップシリーズは、京都での現地リアル開催をメインとして、現今のコロナ禍という状況の下、どうしても現地に行くことができないけれども参加したいという方たちのために、現地での学びのクオリティをzoomでは完全に伝えることができないかもしれないことを了承していただいた上で、当日のWSの模様をzoomで生配信するというハイブリッドスタイルをとっています。

とはいえ前回は、現地リアル開催がある意味一方的に盛り上がってしまい、それがzoomでは伝わらなかった、置いてきぼりになってしまった…というような意見が寄せられたそうです。
それを受けて、ゲスト講師の田中ちさこ先生とサヤカさんはじめ運営メンバーが、facebook上に設けられた参加者専用メンバーページで共有される事前学習動画資料を追加で作ってくれたりなどの準備を、綿密にしてくださいました。

また、WS開催中にもサヤカさんがzoomのコメント欄などからzoom参加の人たちにこまめに働きかけていたのも、すごくよかったと思います。運営さんたちのそんなご尽力があって、今回の第2回ではzoomから多くの質問やコメントが寄せられ、積極的に参加してくださっていたようでした。

運営の皆さん、お疲れさまでした、ありがとうございました!

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頭蓋-頸椎の関係と眼のクオリティ

今回で、ちさこ先生ご担当の中期2回のワークショップが終わりました。(参加者はこのあと9月に、中期の学びを振り返る懇親会的な催しでzoomに集まることになっています)
この2回を通じて、身体感覚を感じるヒントというかコツをたくさんいただけたと感じています。
頭蓋骨と頸椎1番とが、かえって安定しづらい"曲面"で接していて、常にロッキングチェアのように揺れ動いていることで感じられる様々な感覚の例の中で「眼がよくなったような気がする、明るく見える感じがする」ということが挙げられていました。

私自身、今回までの1か月の間に、この「頭蓋骨と頸椎1番の接点の感じ」に焦点を当てて過ごしていて、一般的な準備体操的なムーブメントで首を回すやり方とは少し違う、首はあまり動かさないで頸椎1番の上で頭だけが揺れ動いている感覚ってこんな感じなのかな...というのが感じられると、なぜか不思議と眼が遠くのほうを見たがるというか、見通しのよい一本道の奥のほうまで眼が届くと身体が全体的に気分がよい感じを覚えたものでした。

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一照塾での体験との新たな出会い、出会い直し

ちさこ先生のご専門であるアレクサンダー・テクニーク(AT)の観点から眺めてみると、一照さんや塾生たちと過ごした塾での4年間の経験が、また新たな経験となって理解が深まりました。

上記の塾レポートの中で、一照さんは「坐禅のあの姿勢は、"止まるという動き"である」とお話してくださっています。
頭蓋骨と頸椎の接点も曲面になっていれば、足首の関節や股関節も曲面・球面になっていて、動きやすく安定させにくい構造に元々なっていることを、今回のWSでは学びました。

そうした身体の全てが互いにorganicに、あるいはecologicalにと言ってもよいかもしれませんが、全身が動き合って、外からは静止しているように見えるあの坐相を、その都度瞬間ごとに立ち上げている…という坐相の理解に、また新しい角度から光が当たりました。

また、「大念処経(マハー・サティパッターナ・スッタ)」という初期仏典では、瞑想の初歩であり最も重要な観法として「四念処」が示されています。

四念処のいちばん初めには「身体において身体を観る」と説かれていて、身体感覚を身体感覚として身体感覚のままに感じるというこのWSでの学びが、ブッダの瞑想のついての理解の大きな助けになりました。


まだまだ力を抜ける余地(目線が導く寝返りワークから)

今回は、生後3~4か月くらいでまだ四肢が十分に使えない、いわば"背骨だけの存在"の赤ちゃんがどうやって寝返りをするのかを体験するワークを実修しました。
(下記動画はATではなく「フェルデンクライス・メソッド」関連のものですが、参考になると思いましたのでリンクしておきます)

このWSでも、またかつての一照塾でも「ひろさんは身体の力を抜くのが上手いね」とよく言われたものでしたが、実はもっと力を抜く余地はまだあったし、力を抜くやり方は他にもまだまだたくさんあるよ!というのを教えていただきました。


身体(感覚)に根差した言葉(眼のワークから)

ちさこ先生ならではの工夫で、トイレットペーパーの芯を使って眼の中心視野と周辺視野の感覚、立体視の感覚を通じて眼の使い方を学びほぐすワークを実修しました。

「(眼を使って)見る」ことを言う英単語は、

watch
see
look
view
glance
...

など、思いつくだけでも5つくらいあります。
また日本(日本語)でも、例えば「津軽には七つの雪が降るという…」と唄う演歌があったりします。

見る動作を5つに言い分けている以上、その背景には眼に関する5つの異なった身体感覚があると思います。また、雪の態様に応じた7つの異なる感覚受容があるから「こな雪、つぶ雪、わた雪、ざらめ雪…」などという異なる表現が生まれてくると思います。

「身体・身体感覚への肯定、信頼感」というテーマを提示してくださった方もいました。身体感覚への深い信頼がベースになった言葉は、やはり語りかける力があると思います。他者とのつながりや世界への関与について弱みを感じている人がもしいたら、身体感覚を丁寧に感受して、それに根差した言葉を上手に使えるようになることで自信がついてくるかもしれませんね。

武術では「"自然体"というのは、身心をそのまま放ったらかしにしておくのが自然体ではなくて、それは稽古しなければ身につかない」という考え方があるといいます。

また、羽黒修験の修行の指導者(先達)の星野文紘さんも「感じて、それから考える。その逆じゃないんだ」ということをよく仰います。

「自然体を稽古する」「感じたことを考える」…。ひとくちに聞いてもなかなか難しいですが、「感じて、考える」を体認するにはそれ相応の稽古の筋道があるのだと思います。その道が、例えば武術だったりアレクサンダー・テクニークだったり、修験道だったり仏道だったりするのでしょう。

「いまここ」という共通項

WS終了後に、サヤカさんに「一照塾の経験がない人あるいは仏教に縁がない人にとっては、この研究室に飛び込んできたらいきなり仏教の話が始まったりするのはビックリしただろうね」と言われました。

この「京都からだ研究室」というコミュニティにも、様々なバックグラウンドをもった人たちが集まってきています。私は、サヤカさんが言うように"一照塾経験者"という背景がありますが、他には僧侶の方やヨーガの先生、ダンスをなさっている方などもいらっしゃいます。

例えばヨーガであれば、身体技法を通じて身心統一に至るという点でゴータマ・シッダールタが仏教として大成する以前からあってその元となった古代インドの思想があるわけだし、ダンスにしても、言語を用いずに身体一つで芸術的な表現をするためには、自らの身体の感覚に繊細であることが必要になることでしょう。

「いまここの瞬間瞬間に立ち現われている身体感覚に目を向けること」は、背景は違えどこのWSに参加している方たちに何らかの共通項として活きてくると感じました。

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身体の聲を聴くのは祈りなのではないだろうか

"目で何かが見えている"身体の感覚。
"耳が何かの音をとらえている"身体の感覚。

そうした身体の内外で起きている感覚に寄り添う営みは、そのまま「祈り」になっていくのではないかと思っています。しかもそれは、いわゆる宗教者でなくても、ちょっとした工夫とコツがあれば誰でもできる祈りだと思います。

いま、いわゆる"コロナ禍"を話題にすることはなかなかデリケートなことでもあるのですが…。誰も確かな正解を知らないコロナ禍という世界。いや、「コロナがなかったとしても確かなことなど実は何もなかった」ことに気づかされたこの時代であればこそ、いまここの瞬間瞬間に立ち現れている身体感覚に目を向けることの重要性を再認識することができた、ちさこ先生担当回でした。

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後期予告(参加申し込み受付中!)

さて、この中期はこのあと9月に、中期参加者のためのzoomでの感想シェア会がありますが、来たる10月から12月にかけて開催される後期の参加申し込み受付が、下記公式サイトにて既に始まっています。

後期のゲスト講師としてお招きするのは、松田恵美子さん(身体感覚教育研究家)です。
松田先生のご紹介として、過去に行われた別の講座の紹介動画を下にシェアします。

上記動画や、本レポートをお読みいただいてご興味を持っていただいた皆さん、ぜひ、京都からだ研究室公式facebookページや、「京都からだ研究室」公式サイトをご覧いただき、ご参加をお待ちしております。

京都からだ研究室公式facebookページはこちら
https://www.facebook.com/kyotokaradalab


京都からだ研究室公式Webサイト(参加申し込み受付)はこちら。
https://peraichi.com/landing_pages/view/kyotokaradalab



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