嬢に想う
ある本で「夜の店で働く女性への敬意がないやつは最低だ。」という一説を読んだことがある。
私は、夜の世界で働く人たちに敬意を持っている。とはいえ、残念ながら私は1度も働いたことがない。しかし「嬢」とつく仕事の人のことをバカにした発言をされると、耐えられない。
福岡(博多・中州)は、夜の街で働くこと自体に寛容。「夜、やってます。」と言う、聞く、に慣れているという意味で。まとまったお金が必要になったら、サクッと数日間働きに行く人もいる。借金をしているとか、ブランド物の何かが欲しいという事ではなくとも、旅行に行きたいとか、個人事業のキャッシュがヤバい、でも全然OKらしい。
20年前には「駅前を通ればキャッチされて、簡単に夜の店で働くことができる」という場所が多々あった。私も「うちの店でなら、No.1になれるよ!」と言われていた。No.1じゃない想定かよ、って思ってたけど。
高時給と思われがちだけど、その頃の友人たちは、心身ともに割に合わないと言っていた。バカにされてなんぼみたいなのはキツいと。
そそもそも夜のお店に来る男性は、女性をバカにしてくる。バカにするストレスを発散しに来てお金払っているんだから当然だろう、というその感覚を私は許容することができない。書くことすらできないほどの彼女たちが屈辱を受けた話を思い出すだけで、今でも発狂しそうになる。
福岡出張に「リーズナブルでクオリティが高い夜の店に行ける」のを楽しみにしている人たちがいる。「博多に行く理由が欲しい」というだけで取引しようとしてくる人も、それを営業ツールにする人も多い。夜のお店に行かなくてもお金をかけずに博多の女子社員と呑みましょう!と呑み会要員の女性をどれだけ集めることができるか?が広告代理店の営業力と言っても過言ではなかった。
私も同席することはあったけど、そこで見る男性の態度を知って良いことはなかった。私のことも嬢と勘違いするから、最速で逃げるノウハウを身につけた。経済が回るのでお店に行っていただくこと自体はいい。わたしが一番耐えられないのは、その嬢たちに大変お世話になっているにも関わらず、嬢とよばれる職業の人に対して偏見発言をすること。
嬢たちにお世話になっている人ほど、自分の彼女はそういう場所とは無縁であるべきだと思っているし、何の関わりもない通りすがりの嬢っぽい人に対しても、うわ・・という目線と発言を流したりする。
録画、配信などでもお世話になっているのに、モデルや俳優に転身すると、「嬢のくせに」とか言ったり、結婚しようものならもっとひどいことを言うとか本当に信じられない、それはやめた方が良いと思います~!!と学級委員長の気持ちが止まらない。
私は、嬢に対して何を言ってもいいと横柄な態度をとる人間のことを見抜いてしまう。「この人は大したお金も払わず、飲み放題の範囲で楽しんでいるにも関わらず、さらに自分のさまざまな吐け口として嬢を使うタイプだな。」と。
それは、女性に対する本性が見えるに等しい。
女性に対して「自由を尊重し敬意を持つ」ということがそもそもできない。お金払ってれば何してもいいというわけではないし、もちろんバカにするなんて血の通った人間としてちゃんと向き合ってない。それが本性なのだ。
奥さんが毎日節約してつくったご飯と弁当に文句を言って、会社のお金で行ける福岡出張、接待されることで美味しいものを食べ、嬢にもお世話になる。
もう少しくらい場所と女性に敬意を払っていただきたい。と、この手の話を書いていて思うのは、結局そういうことをする人にはこの文章は届かないんだよな。悔しい。