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食雑記

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日々の食卓、食卓での会話、食材やレストラン、食に関する本や映画、イベントなど、食にまつわることだけ書く日記のような「食雑記」。節気毎に更新。
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#食

札幌の果樹庭の葡萄ジャム

今朝は、札幌の果樹庭をおまかせしているパティシエの友人のジャムを食べた。葡萄のジャムは色も味も繊細で美しい。彼女のつくる極上のお菓子みたいなジャム。私もずっと同じ樹の同じ葡萄でジャムをつくってきたけれど、びっくりするくらい違うものができあがるものだなあと思う。果物に砂糖をかけて煮詰めるという、シンプルな料理なのに。 私は、食材をそのまま味わいたいという欲求が常にある。だから、ジャムをつくるときも、食感とか風味とかを、できる限り残したいと思ってつくる。もちろん、砂糖を加え、煮

運命の無花果と出会う

ついに出会ってしまった。食べられる庭に植えたい無花果に。 8月以来、無花果にどれだけ気持ちとお金を費やしただろう。毎週買い出しに行く、兵庫六甲JAのファーマーズマーケットには、朝採れの無花果が並ぶ。今年は収穫量が少ないらしく、ちょっと出足が遅れると、もう棚が空っぽだったりするけど、とにかく、そこにあれば買う。見たことない種類があれば、それを優先して買う。そうやって、この夏、無花果を食べ続け、保存し続けてきた。 そして今日。昨日は快晴、今日も晴れ。いい無花果が必ず出てるはず

うるめいわしの梅煮

スーパーで、ずいぶん丸々としたいわしがいると思ったら、島根産のうるめいわしだった。残念ながら、頭と腹は落としてあって、うるんだ目は見られなかった。 いわしは大好きで、よく食べる魚のひとつだけれど、北海道でも、東京でも、生のうるめいわしは見たことがない。調べると、やはり暖かい海で回遊するという。また、いわしの中でも鮮度が落ちやすいので、鮮魚ではあまり出回らないらしい。 和食で食べたかったので、梅煮にしてみる。今年は梅干しを自家製したので、量を気にせずジャンジャン使える。

無花果の酢煮

お隣の川西市は無花果の産地で、近所のスーパーでも朝採れの無花果が普通に買える。無花果の実らない北海道から引っ越してきたので、とにかく嬉しくて嬉しくて、買い物の行くたびに、狂ったように無花果を買っている。 今は、この喜びを長く味わい続けるために、保存の方法を考えている。昔、同じく関東では無花果の産地である南房総の食のイベントに参加したときに、友人が提供していた無花果の酢煮を思い出し、瓶詰め保存できないか実験中。 この無花果の酢煮とバニラアイスを合わせると、素晴らしく幸せな気

ぼたん鍋

もう2月も終わるという日、ついにぼたん鍋を食べた。 毎週買い出しに行くJAの直売所の精肉コーナーに、はじめて猪肉を見つけたのは12月だったけど、一度見送ったら、それっきり並ばなくなってしまった。恋人は、北海道の蝦夷鹿料理への対抗するかのように、どうしても私にぼたん鍋(猪鍋)を食べさせたがっていて、ずっと機会を狙っていたのだけど、ようやく手に入れることができたのだ。 まず、鰹と昆布でしっかり出汁を取り、そこに結構濃いめに味噌を溶き入れる。猪肉には、粉山椒を振っておき、最初か

鯖のきずし

1月に3週連続、鯖のきずしをつくった。きずしとは関西の言葉で、関東でいうなら、しめ鯖だ。 毎週買い出しに行く伊丹の公設市場に魚屋があって、まるまるとした鯖が安く売っていた。値札に「きずしできます」と書いてあったので、恋人とふたりで顔を見合わせ、やってみようか、と買ったのが始まりだった。 店長さんに、きずしにチャレンジしようと思って、と言ったら、じゃあ3枚に下ろして、塩までしときます?と言われたので、言われるがままにそうしてもらう。家に帰って、レシピを探す。塩を落として、砂

きつねうどんのしくみ

とにかく甘めの味付けの料理が苦手だ。母は料理に砂糖をあまり使わなかったから、甘味の薄い家庭で育ったというのもあるし、実家を出たあとに出会って夢中になったイタリア料理も砂糖を使わないので、単純に好みということもあるのかもしれない。 先日、恋人が昼食にきつねうどんをつくってくれた。人生で数えるほどしか食べたことがない料理。もっと甘くしてもよかったかな、と言っていたお揚げさんは、それでも私には甘かった。ただ、関西の食文化の典型みたいなものを苦手と思ってしまうと、ただただ苦手なもの

神戸のパン

先日、神戸までドライブした。目的地はポートアイランドのIKEAだったのだけど、いろいろ寄り道していたら、お昼の時間になってしまった。 神戸は全国でも有数のパン屋の多い街だ。ちょうど岡本というパン屋が多く集まる辺りにいたので、「パン屋をリサーチして食べくらべしよう」と、恋人が言い出す。要は、時間がないから、パンを買って車の中で食べながら行こう、ということなのだけど「食べくらべ」という言葉には、間に合わせになってしまいそうな買い食いを、特別な楽しみに変える魔法がある。彼は本当に

おせちピクニックと本物の凧揚げ

新年早々、ピクニックに出かけた。元旦に引き続き、晴れ上がった2日、「おせち詰めて、外で食べようか」と、恋人が言い出したのだ。 考えてみれば、おせちは、家の中で重箱に詰めたお弁当を食べるようなもの。蓋をして風呂敷で包めば、すぐにでかけられる。まさに、ピクニックのためのような料理だ。 元旦は、食事のたびに重箱と器を組み合わせて盛りつけていたので、ピクニックのために、あらためて重箱におせちを詰める。伊達巻は卵焼き、チーズ入り蒲鉾は、チーズちくわ、鶏団子はミートボール。お弁当のお

ご近所おせち交換

今年は、ずいぶん久しぶりに実家の家族以外と過ごすお正月になった。一緒に暮らしたら、おせちをつくりたいね、と恋人が言っていて、楽しみと思う反面、相当大変だぞと思っていたら、意外な展開になった。彼が、ご近所の友人たちとおせちを交換しようと言い出したのだ。4家族が、それぞれ2品ずつ担当して他家族の分もつくって持ち寄るルール。言い出しっぺの私たちは、彼の母上からのことづてもあって、4品。栗きんとん、柿なます、鶏団子、鰤の照り焼き。大晦日の今日、14時に集まって交換することになった。

朝びき丸鶏のローストと世界のクリスマス

関西で驚くことは、朝びき鶏を扱う鶏肉屋が普通にあること。東京にいた頃は、ここぞという時には、築地にある老舗に行って買っていたけど、札幌ではそんなお店には出会わなかった。でも、こっちだと駅ビルの専門店街に入っている。 鶏肉はなにより新鮮さが一番だから「朝びき鶏が普通に買えるなんて!」と私が興奮したのをきっかけに、去年から、クリスマスには毎年丸鶏を焼こう、ということになった。とはいえ、今年はクリスマスイブに恋人がかかわるイベントがあるのに加えて、クリスマスのすぐあとが彼の誕生日

マナガツオの煮付け

先日、古い友人から悲しい知らせが入って暗い顔をしていたら、少しでも気持ちが晴れるようにと、恋人が小ぶりのマナガツオを買ってきてくれた。彼は、こういうささやかな贈り物がとても上手だ。マナガツオのかわいらしい顔に、少しだけ心がほぐれる。 マナガツオを料理するのも、食べるのも初めて。ちょっと調べてみて、醤油で煮付けにする。煮ても形は崩れず美しいけれど(最後にちょっと触ってしまって、額がはげたのはご愛嬌)、箸を入れると身はやわらかくきめ細かい。上品な魚だ。美味しいのはもっと大きいサ

大阪此花と「お好み」焼き

先日、恋人に誘われて、大阪の此花区を自転車でめぐる街歩きに参加した。ライターのスズキナオさんが、妹尾豊孝さんの写真集 「大阪環状線 海まわり」に写っている場所を、写真と見比べながらめぐりたい、とTwitterでつぶやいたことがきっかけで、実現することになったらしい。 そもそも大阪自体、よく知らない中での、此花。行きの電車でグーグルマップとウィキペディアで予習をする。伝法という古からの漁港があること、樽廻船発祥の地であるが、その後、新しい川が掘られたことで、港湾としての地位は

朝食のおしゃべりと自由なサラダ

朝食は、目玉焼き、ベーコンとサラダ、トーストとコーヒー。そこに、小さいグラスのジュースとヨーグルトをつけたり、つかなかったり。あとは、恋人のお母さんと私がつくった自家製ジャムを並べる。もともとは恋人の定番の朝食だったけど、北海道と関西でお互い滞在しあううちに、いつしか私も同じものを食べるようになった。 役割分担は、どちらか早くキッチンに入ったほうが、コーヒーをセット、パンと目玉焼き、ベーコンは、彼が焼いて、私がサラダをつくる。彼はレタスのサラダが定番だったみたいだけど、私は