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伊藤雅和選手/愛三工業レーシングチーム

先日Twitter上に「あれ?」と思う写真を見かけ目を止めた。そして以下のリンクしたのがその目を止めた写真である。

体内に金属が入った痛々しい写真であるが、このツイートの投稿者は国内の自転車プロチーム・愛三工業レーシングチームに所属するプロロードレーサー・伊藤雅和選手だ。

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そしてこれは同じ個所、僕の現在の身体の中だ。MTBトレーニング中にアスファルトに叩きつけられ緊急手術を受けたのは昨年の9月。左右の違いはあるが、同じ場所を同じように骨折し施術されたことに疑いの余地はない。

そんな怪我という共通項を持つプロロードレーサー伊藤選手が自身の活動や考察を綴るブログはとても興味深い内容が多く、その情報提供は根拠と共に正確であり、またはきちんとしたデータなど情報分析に基づいており、自転車に関わるものとしてはいつもその情報発信を楽しみにしている読み物のひとつだ。

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Photo by Kanako Takizawa(伊藤選手のブログよりお借りしました)

伊藤選手の記事はレースのレポートであれ、何かしらの考察であれ、きちんとしたデータ、検証、経験、そして無駄のない丁寧な日本語できちんと書かれている。例えば「今日は○○しました。きつかったけど、楽しかったです!」というような自転車日記ではない。

今回の記事は伊藤選手自身の2度に及ぶ大腿骨骨折の経験をもとに、今年のツール・ド・フランスへの出場を狙う(本日出場しないことが発表された)クリス・フルーム選手の骨折からの復帰、ペダリングやフォームに見るその影響などを考察とともに書かれた記事だった。

そして自身の経験談として実際にこうした複雑な場所を大きく骨折するとどのような強いストレスがかかり、生活面でもいかに思うようにならないかが丁寧に書かれている。それは僕自身よく聞かれる「(自転車やランニングなんかして)大丈夫なんですか?」や「どんな感じなんですか?」ということへのわかりやすい説明のような気がしてコメントと自身の骨折の写真を付けリツイートさせてもらった。またこうした情報を共有し残すことで、同じような怪我に苦しむ人やその怪我からの復帰を支える人達などに「そういえばそんなことが書いてあったな」と何かしらのヒントになればと思った。

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Photo by Kanako Takizawa

そんな何気ないリツイートをきっかけに伊藤選手からわざわざ怪我を気遣うメッセージをいただいた。自転車プロツアーなどで間接的に「がんばれ」と応援することはあっても伊藤選手とは直接のやりとりや会話などを交わしたことは一度もない。けれど同じ痛み、同じ状況を抱える縁がつながった人に対し、それがプロであれ、アマであれ、また全くもって置かれた環境が違ったとしても、ひとつの関りを持った人に対し、そんな誰かを気遣うことのできるとても誠実な人だと感じた。

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そしていつも読む文面を書く人がまさにそうした文章を裏付ける人柄であったことを素直に喜び、何よりこうしたやりとりを短いメッセージを通じ感じられることを本当に嬉しく思うし、それは僕にとってはまたひとり少し身近な存在として、普通の人では想像もつかない過酷な自転車ロードレースの世界で戦う「応援したい選手」が現れたことでもあり、とても幸せなことだ。

伊藤選手のその優しい心遣い、誠実さに感謝しかない。こうやって人と人がつながり、「がんばれ」と応援できるひとがまたひとり現れることが、この魅力ある自転車ロードレースを支えていくことになればと強く願う。

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