見出し画像

インド発OYO、日本上陸の衝撃

インド発のホテルベンチャーが「OYO(オヨ)」が今年の3月から日本でサービスを開始する。OYOはインドと中国で急拡大中の格安ホテルチェーンである。驚くべきは、2013年に誕生したばかりにも関わらず、総客室数は世界最大のマリオットグループに迫る勢いだ。

日本ではホテル業ではなく、ヤフーと共に不動産賃貸仲介業を開始する。スマホで入居から退去まで済ませられ、敷金・礼金がかからないのが特徴だ。いよいよ引っ越しシーズンが迫り、来年にはオリンピックが控えているこのタイミングは絶妙である。推測ではあるが、ホテル業でのノウハウを活かした受給のバランスを即座に反映した柔軟な賃料設定や、住みたい街に住みたいときに住める利便性と言った付加価値が追求されるものと考えている。UberやAirbnbのように、ライフスタイルやそのニーズの変化に着目した新しいマーケットが創造されるかもしれない。

衝撃的なのは、このスピード感とインド発であることだ。まさにOYOが誕生したときにインドにいたが、あっという間に街中のBnBやゲストハウスの看板が「OYO」の赤い看板に変わっていく様を目の当たりにした。ソフトバンクの出資が決まったときは周囲のインド人スタッフが誇らしげに話題にしていた。

OYOはホテルと提携して一部の部屋を借り、無料Wi-Fi、朝食、エアコン、テレビをふくむ30項目のチェックリストを独自に作成し基準を満たしているホテルにOYOブランドを与えて部屋を提供している。現在はホテルを丸ごと借りて運営するサービスも提供している。
(「Wikipedia」より)

実は今話題の「PayPay」もインドのサービス(「Paytm」)がベースである。Yahoo!の社員に話を聞いたが、PayPayの開発には多くのインド人が関わっている。インドでは2016年11月に突然高額紙幣を廃止し、社会が大混乱に陥ったものの、その副次的な効果であっという間に電子マネーが浸透した。パパママ・ストアでも電子マネーが使える。このような環境で磨かれ、勝ち抜いてきたサービスは強い。また圧倒的な資金も有する。インド発のサービスが徐々に日本に、世界に凄まじいスピード感で浸透し始めている。

翻って、日本のサービスで海外に浸透しているものは何か? 日本のアプリはどうか? 残念ながら思い浮かばない。私自身もOYOの誕生と時を同じくして、インドであるサービス・リリースのプロジェクト・マネージャーを経験した。一定のお客様には支持をいただいているが、品質を保ちながらスケールさせるのはとても難しかった。OYOとはサービスの内容等、前提が違うため比較は難しいが、ほぼ「同級生」であるOYOが遂に日本上陸を果たしたことは、驚きとともに焦燥感も滲む。

「リバース・イノベーション」がいよいよ本格していることを実感する。「不便」を解消するために次々と生まれるサービスと、それを支える圧倒的なIT人材。タイムマシン的に欧米や日本のサービスをインドや中国に持っていく時代ではなくなった。

「戦う」という対立軸ではなく、一緒にサービスを創るパートナーとしてのインドの存在感が益々増している。インドは独特の商慣習や文化などからビジネス上のパートナリングは高難易度であるが、もう避けては通れない。インドから学ぶことはたくさんある。


いつも読んでいただいて大変ありがとうございます。