見出し画像

【大学生の学びとキャリアを接続する・前編】「学び宣言」プロジェクト~動画づくりの授業実践から、卒業生座談会まで~ with 立命館大学スポーツ健康科学部

私たちLiCは乳幼児教育施設の運営支援や学童経営を通じて、未来の社会を生きる子どもたちのためには、社会に「楽しい大人」があふれることが大切だと考えています。そのための取り組みの1つが、大学生へのキャリア教育です。これから社会に羽ばたいていく大学生が「楽しい大人」として生きていけるよう、立命館大学と取り組んだプロジェクトについてご紹介します。

本プロジェクトは、2020~21年にかけて、立命館大学スポーツ健康科学部の河井亨先生と協働し『大学生の学びとキャリアを接続する』をテーマに実施しました。多くの大学生が抱える「大学の学びって社会でどんな風に役に立つの?意味はあるの?」「大学を出たあとに自分が何をしたいのかわからない」といった思いや不安を本プロジェクトを通じて解消し、将来に対してよりポジティブに、主体的になってもらいたいと願い、取り組んでいます。

▼プロジェクトの全体像

|全体の目的と経緯

本プロジェクトは「大学での学びとキャリアを接続することによる学習者の主体的な学びを促進」することを目的としています。
大学でのキャリア教育の重要性が高まっている社会的背景を踏まえ、2019年3月に3名の卒業生に対し「大学での学びの意義」についてのインタビューを実施しました。それを受け、「大学での学びとキャリアを意識的につなげて考えること」「受け身ではなく、能動的に学習したことがその後の社会でも活きていること」を発見し、2019年度、本プロジェクトのプロトタイプとなる授業開発・実践に取り組みました。

▼2019年3月の卒業生インタビュー(LiCアトリエにて)

画像2

▼2019年の授業

画像2

2019年度では、「学部での学び」を動画で表現する授業を行ないました。実施にあたり、LiCが大切にしている2つのことを大学教育の場で導入することにチャレンジしました。それは「教室の中の関係性の見直し」と「学びの記録化(ドキュメンテーション)」です。これらは参加する学生自身が、より能動的な学び手へと変化することを目指したチャレンジでした。

まずは、先生と学生という「学びの場での関係性」に、下の図のように「プロデューサー」「ディレクター」「ファシリテーター」「ドキュメンテーター」ちという役割を加え、一方向的な「教える」から、学生同士も含めた「共に創る」という関係性にアップデートしました。
こうすることで、学ばされるから自ら学んでいる状態を目指しました。学生からは従来の授業よりも主体的に取り組むことができたという声が上がりました。
また、乳幼児教育で取り入れられている「ドキュメンテーション」を導入し、学びの記録化、学びの見える化にもチャレンジしました。テキスト、写真での記録に加え、授業後のインタビューを撮影し、学んだこと、気づいたことを言語化、記録化することで、客観的に自分の成長を捉えるという効果が見られました。

▼学ぶ場での関係性を置き換える

スクリーンショット 2021-04-16 172331

こうした取り組みを通して、動画制作という多くの学生にとって初体験の活動であったにもかかわらず、自分の考えを1つの作品として、自分の力で最後まで作りきる楽しさに多くの学生が触れているのが、見て取れました。
「学ぶ場での関係性」「ドキュメンテーション」が学生自身の主体的な学びを促進できることを再認識できました。
その一方で、「アセスメント基準とテーマ設定の不明確さによって、課題に対する自分事化が進まない学生が多く出た」といった課題が浮き彫りとなり、2020年度は授業の再設計およびそこから先の発展を目指し、プロジェクトをスタートしました。

|各取り組みの概要

上記の経緯を踏まえて、2020年度の本プロジェクトは大きく4つの取り組みを実施しました。①授業開発・実践②授業実践の学会発表③卒業生へのキャリアインタビュー&座談会④インタビューのWeb原稿化です。
それぞれの取り組みの概要を下記にまとめました。各取り組みの詳細は別途後述しています。

①授業開発・実践|ティンカリングをベースにした直接的なキャリア教育へのアプローチ
「学び宣言」をテーマにした動画制作活動を実施しました。授業の開発・実践という、学生との直接的な関わりを通じてプロジェクト全体の目的である「大学での学びとキャリアを接続することによる学習者の主体的な学びを促進」にアプローチしました。

201217_スクリーンショット4


②学会発表|アセスメントに対する取り組みのアウトプットの作成、発信および効果測定
①で実施した授業の実践報告および結果の考察と今後の課題点を京都大学主催の「大学教育研究フォーラム(外部リンク)」にて報告発表を行ないました。実践事例およびアセスメント結果の共有と考察をアウトプットとしてまとめ、その発表を通じて、第三者からの評価やフィードバックをもらい、今後のプロジェクト展開の示唆を得ることを目的に取り組みました。

学び宣言プロジェクト』の授業実践


③卒業生インタビュー&座談会|身近なロールモデルとの交流の場づくりを通じたキャリア教育
授業実践の終了後から、スポーツ健康科学部の卒業生へのインタビューおよび座談会を企画・実施。特徴的な学部名から、特定の職種以外のキャリアがイメージしにくいという学部独自の課題に対して、さまざまな進路を歩む卒業生へのインタビューと座談会を通じて、先輩をロールモデルにキャリアのイメージを拡張することを目指しました。

210120_三島先生2


④インタビューのWeb原稿化|既存、未来の学生に向けたキャリア教育資源の蓄積と実践的な職業体験
③のインタビューを会に参加できない学部生への共有や、受験生や保護者に向けた学部紹介の一環として、Webで発信し、キャリアや大学での学びの設計に役立ててもらうために実施。参加学生が原稿づくりを行なうことで、実践的な職業体験(情報発信)を積む機会としても当取り組みを設定。

▼各取り組みは、次の記事にて詳しくお伝えしていきます

各取り組みの詳細な内容は、後編の記事にてお伝えしていきます。

お問い合わせ:授業の共同開発や学校の広報から、環境・空間づくりまで

私たちLiCは教育機関のプログラム開発と合わせて、空間のデザインと組織のデザインを掛け合わせた「環境デザイン」を行なっています。
動画制作以外の授業開発や空間、組織のご相談もぜひお気軽にお問い合わせください!

ご興味のある方は、お問い合わせ先より、ぜひお問い合わせください。
オンラインでの情報交換などもお受けしています。

Learning in Context(ラーニング イン コンテキスト)
Webサイト:https://learning-in-context.com/
電話:03-6663-8960
メール:info@learning-in-context.com