自分の価値は自分の中にあるもの。
人間の価値ってなんだろう？個人的には人間なんて価値のない生き物であり地球のガン細胞でありどこまでも私利私欲に突っ走る醜く愚かな生き物だと思っている。もちろん自分自身も含めて。
でもそれじゃあまりにも希望がない。いくら私の人生のスタンスが絶望だとしても、人間なんて生きる価値がないと断言してしまえば「こいつ何言ってんだ？」と思われるだろう。人によってはこの段階で「じゃあ死ねよ」と思っておられる方もいるかもしれないが、私のためにもその言葉は胸に閉まっておいてほしい。
くだらない言い分はさておき、本題の人間の価値について考えてみよう。ミダス王はデュオニュソスの従者であり妖精であるシレノスに対し、「人間にとってもっとも最善の行為はどんなことか？」と尋ねた。
シレノスは笑いながら「愚かな人間よ。お前ら人間にとって最善のことはこの世に生まれなかったことだ。そして今からできる最善のことはできるだけ早くこの世を去ることだ」と述べた。
……。なんとも救いようのない話だ。冒頭の夢も希望もない言い分をさっさと終わらせ、人間の価値について考えようと言っておきながら、「人間にとって最善なことはさっさと死ぬことだ」との文章を引用した。自分の性格が悪いことはわかってる。今度こそ本当に人間の価値について考えていこう。
何もかも「数字」で決まる世界
一般的な認識でいえば、人間の価値は「数字」によって表されている。というか、数字によって決まると思っている人が大多数だ。たとえば、小学生は通知表の成績の数字、100m走のタイム、大きな身長、給食を食べるスピードなど、すべて数字によって大方「誰々が優れている」と判断される。
中学生や高校生、大学生になったとしてもそれは対して変わりはしないだろう。ある程度成長してくれば否が応でも他人と比較され、他人と競走することを求められる。競走の比較として用いられるのはもちろん「数字」だ。部活で何位になったとか、全国模試何位だとか、LINEの友達の人数だとか、すべてが数字によって判断される世界で生きている。
社会人になれば、今度は収入が人間的な価値で大きなウェイトを持つようになる。友達や知り合いとで収入について語り合い、自分のほうが収入が上だとわかれば自然と優越感を抱く。もちろんそんな態度を表向きに出したりはしない。でも多くの人は収入によって自分と他人を比較し、どちらのほうが優れているかをコッソリ判断している。
しかし、そもそも数字なんかで人間の価値がわかるのだろうか？数字は目に見える指標としては優れているが、それが人間の価値を表しているとは言い難い。いっぱいお金を稼いでいるのに、見るに堪えないぐらい頭の悪いバカはたくさん見てきたし、学生の頃は成績優秀だったが、仕事を任せれば何一つうまくこなせないバカもたくさんいる。
もちろん、仕事ができるかどうかといった観点からも、人間の価値は判断できない。仕事ができてもクソみたいな人格をして人間はたくさんいる。逆に、仕事で結果を出せていなくても人間的に優れていると感じる人もたくさんいる。
人間の価値はどこにある？
実際、人間の価値はその人の人間性にあると言える。どれだけ稼いでいようと、どれだけ異性からモテていようと、どれだけ仕事ができようと、どれだけ成功を収めていようと、人間性がクソな人間は根っからのクズで存在価値のない存在だ。さらに、そのことがわからない人間もクズで大馬鹿者だ。
現代では仕事で失敗したり、うまく結果を出せないことで落ち込む人が多いという。でもなんで仕事で失敗しただけで落ち込んでしまうのだろう？無論、他人に迷惑をかけたり、うまくできない自分の無能さに腹が立つのだろう。しかし、それは仕事と自分の価値を結びつけているからこそ感じるものであり、仕事が自分の価値を表すものではないと理解できれば、仕事の良し悪しでそこまで落ち込むことはない。
これは仕事でミスしても落ち込むなと言っているわけではない。ただ、自分の価値を仕事に求めすぎちゃいけない、と述べているのだ。仕事にアイデンティティを求めるのは、現代になってはじまったイデオロギーだ。仕事と自分を一体化して考えると、仕事で失敗したときに自分の価値がなくなってしまう。これほど脆い生き方はないだろう。
自分の中にある価値
私は、個人的には人間に価値なんかないと思っている。でも、人間の価値がどこにあるのか？と考えてみると、たどり着く先はいつだって人間性である。
つまり、家族や友人を大切にし、他人に寛容的であり、勇気と博識さを持ち合わせ、自分の為ではなく他人のために行動できる人。そんな人間性だ。
現代は人間の価値をさまざまなラベルで判断しようとする。数字はそのひとつだ。目に見える数字で人の価値を判断しようとするのは、治療薬のない現代病だと言えるだろう。悲しいかな、私たちの多くはすでに不治の現代病にかかりつつある。
自分の価値を数字や仕事のような外的なものに求めちゃいけない。自分の価値は自分の中にあるものだ。目先の欲に惑わされず、きちんと自分の中にある人間性に目を向けて生きていきたいところである。
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