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住宅・不動産テック事業成長 虎の巻【アライアンス戦略編】

みなさんこんにちは。
リブ・コンサルティングの篠原です。

いつもどおり虎の巻シリーズをお届けしてまいります。
今回は住宅・不動産業界におけるアライアンス戦略、いわゆる代理店活用のポイントです。

戦略的外部活用の可能性

事業グロースを実現するため、多くの経営者様が日々多くの営業手法に取り組まれているところだと思いますが、近年、スタートアップの成功事例として、「パートナーセールス」という言葉を目にする機会が増えています。

LINEWORKSの事例に代表されるように、加速度的なグロースを引き起こす起爆剤となりうるパートナーとの連携は、従来の「代理店活用」の文脈を大きく飛び越え、事業グロースにおいて必要不可欠なものにまで昇華しています。

ただし、代理店活用で現実的に成果を出すのは非常に難しい側面が強いです。

住宅・不動産業界攻略手法~代理店活用~

今回は代理店活用による住宅・不動産業界攻略手法を3つのポイントに絞ってご紹介します。

①代理店活用が有効な事業フェーズ


「どのタイミングで代理店活用に踏み込むべきなのか?」
よくある疑問です。
代理店活用をされている会社は、大きく2パターンあると思います。
❶ 社内リソースが無いので、接点のある業者に代理店として動いてもらっている
❷ 自社の直販体制では加速度的な販売活動が出来ないので外部代理店を活用している
という2パターンです。
どちらも、「社内でやり切れない分を外部販売する」という点では同じです。

但し、
❶はPMF期(社内で採用活動や人材配置するほど事業がスケールするかまだわからない)
❷は拡大期(市場の競争環境が激化し一気に事業グロース/シェア奪取しなければならない)
に必要性を感じて動かれるケースが多いです。

特に❷のケースでいくと、ある程度自社でWEBプロモーションを中心に開拓を進めてきたが、そこで獲得できるアーリーアダプター層以降をどのように開拓していくかということが論点として上がりやすいです。
こういったケースにおいては代理店活用がかなり力を発揮してきます。  

②業界特有のネットワーク構造


続いて、「誰に売ってもらうか?」も重要ですね。
結論から言うと、住宅不動産業界攻略と代理店活用は、とても相性が良いです。

建築業・不動産業は、原則エリアビジネスであり、各都道府県には、何百・何千という住宅不動産会社が地域密着で事業を営んでおります。
地方の場合、情報感度が低いため、通常のプロモーションではなかなか引っかからない層が多数存在します。こういった層の情報収集経路は基本的には知人や既存のネットワークになり、よそ者の不動産テック企業がこれらの企業にアプローチするのは、至難の業です。

そのような地域密着の企業群を、フランチャイズ・ボランタリーチェーン・協会・流通商社等のネットワーク団体が束ねており、商材の流通や、情報/ノウハウ共有をしています。
このようなビジネスモデルは業界の商慣習に根付いており、各地域に存在しています。
このネットワークこそが代理店網として有効になることがあります。

あとは市場規模が大きい分、業界特化の広告代理店やWEB関連業者、コンサルも多数存在します。

こういったチャネルをおさえておくことにより、自社プロモーションでは到達できないターゲットへのリーチを広げることが可能となります。

③代理店サクセス戦略

これまでの話でええやんと思ってくださった方もいらっしゃるかもしれません。
概ね業界内での導入事例が揃っていれば、提携契約自体は進みやすい部分もあるのですが、提携後に結局紹介が発生しないことが多いのが実情です。

これにはいくつか理由が挙げられます。
「商材のセールス難易度が高い」「代理店フィー(インセンティブ)が魅力的ではない」「代理店の方々も忙しい」・・・等々。

多くの理由はありますが、1点に絞ると
「売るメリットが弱い」の一言です。

②でご紹介の通り、住宅不動産業界を攻略しようとした時に、魅力的なネットワークやフランチャイズ本部などが多数存在します。
しかしながら、保険を売る保険代理店や広告を売る広告代理店とは違い、どの会社も「他社の商品を売る事だけが専業ではない」ということです。

したがって、皆様がやるべきは「売ってください」「フィーをお支払いします」ということを伝えるだけでなく、「御社(代理店)が売るメリット」を明確にしてパートナー契約を結ぶことです。

初期のグリップの段階でうちの商材を売るほど、既存事業の売上も上がる・新規加盟店開発が出来る等のというシナジー効果を生み出すようなシナリオを設計しましょう。
そしてキーマンを巻き込んだ上で、加盟店向け勉強会の開催や社内説明会の設定などを早期に固め、初動の動きをつくっていくことで安定的に紹介が発生するようになります。

あまりそこにリソースをかけられない状況であれば、初期は代理店開拓の量ではなく、質(1社あたりの発生数)を追いかけるほうが得策となります。

おわりに


いかがでしたでしょうか?
他にも、代理店様と良好な関係を築き、代理店様に売上をつくってもらうマネジメント手法や育成体制などの「代理店サクセス戦略」には、様々な手法があります。

不動産テック市場も過熱してきた中で、次の一手として是非取り入れてみて頂ければと思います。
ありがとうございました。

株式会社リブ・コンサルティング
住宅・不動産インダストリーグループ
マネージャー
篠原健太

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